独裁者の独善的な「政治ゴッコ」

<2021年は世界で「強権政治」が台頭した。中国では習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)の権威付けが加速し、22年秋の党大会で異例の3期目就任へ足場を固めた。「共同富裕(ともに豊かになる)」を掲げ社会主義路線を進めるとみられ、台湾問題などでもより強硬になる可能性がある。米国をはじめ国際社会の接し方が問われることになる。

 共産党は11月に開いた重要会議、第19期中央委員会第6回全体会議(6中全会)で、党の歴史上3度目となる「歴史決議」を採択した。歴史決議は党の政治体制や基本政策を方向付ける重要な決定だ。主導した習氏は党内での権威を大幅に高めた。
 歴史決議はこれまで建国の父、毛沢東と改革開放を進めた鄧小平の時代の2回だけ。毛は1945年の歴史決議でかつての党指導者の路線の誤りを指摘し、独裁的な権力を手中に収めた。
 鄧は毛が発動した文化大革命を否定し、改革開放を進めるための布石として81年に歴史決議を起草した。
 3度目の歴史決議では、鄧が主導した第2の歴史決議の核心部分ともいえる個人崇拝の禁止、集団指導の堅持、終身制の禁止の3点が引き継がれなかった。才能を隠して、内に力を蓄える鄧の韜光養晦(とうこうようかい)路線から強国路線への転換を鮮明にした。党内では「習氏は毛のように独裁的な終身制に道を開くのではないか」とのざわめきが広がる。

強まる締め付け
「共同富裕」を掲げる習氏のもとで、大企業や富裕層への締め付けは強まった。IT(情報技術)分野では、ネット通販大手アリババ集団などがやり玉に挙がり、独占禁止法違反などで巨額の罰金を科せられた。過大な債務を抱える不動産大手の中国恒大集団が経営危機に陥ったが、企業救済の動きは限られている。
 もっとも、強権的な姿勢が強まるにつれ外交面では国際社会の反発も招いた。台湾はリトアニアの首都ビリニュスに大使館に相当する代表機関「台湾代表処」を開設。中国の猛反発にもかかわらず、欧米議員団が訪台を繰り返して蔡英文(ツァイ・インウェン)総統と会談するなど、関与を強めている。
 新型コロナウイルスの起源調査を求めたことから中国が制裁を科したオーストラリアは米英と安全保障の新枠組み「AUKUS」(オーカス)を立ち上げ、原子力潜水艦技術の供与を受けることになった。「戦狼」路線が裏目に出ているとの指摘もある。

 経済面では、22年1月に発効する東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)の国内手続きを早期に終わらせ、21年9月には環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟も正式に申請した。米国が先端技術の中国企業への輸出制限などで圧力を強める中、米国抜きの枠組みで影響力を高め揺さぶる思惑も透ける。
 バイデン米政権は「専制主義国家」との対決姿勢を鮮明にしており、習指導部が重視する北京冬季五輪へ外交団を派遣しない「外交ボイコット」も決めた。22年も米中対立は収まりそうにない。

ミャンマー、国軍主導の政権へ
 21年には国際社会が身構えたもう一つの「強権国家」が誕生した。2月1日、ミャンマー国軍は国民民主連盟(NLD)党首で国家顧問として国政を指揮していたアウンサンスーチー氏や大統領のウィンミン氏らを拘束し、クーデターを起こした。国軍トップのミンアウンフライン総司令官は立法・司法・行政の全権を掌握。11年の民政移管で始まったミャンマーの民主化プロセスはいったん途絶えた。
 クーデター後は国中で抗議デモが盛り上がったが、治安当局はまもなくデモ隊への発砲を始め、社会生活はマヒ状態に陥った。クーデターからまもなく1年がたつが、国際社会では国軍の政権を承認する動きはない。
 孤立が深まる中、国軍は23年までに総選挙を実施して正当性を訴える方針だ。もっとも、12月に裁判所がスーチー氏に有罪判決を下し、国軍系政党が一定の議席を確保できる比例代表制への移行準備も進む。新政権が国軍主導となるのは確実な情勢だ。
 国軍の拘束を逃れた一部の政治家はオンライン上で「挙国一致政府(NUG)」を立ち上げ、武装抵抗を宣言した。北西部などで継続的に武力衝突が続いている。

 中米では反体制派を締め上げたニカラグアのオルテガ大統領が11月の選挙で再選を決め、米政府は民主主義を損なったとしてオルテガ政権の高官に制裁を科した。
 欧州でも長期独裁体制を敷くベラルーシのルカシェンコ大統領が不法に移民を西欧側に送り込んでいるとして欧州連合(EU)との対立が激しくなっている。22年は国際社会がこうした強権国家とどう向き合うのかが問われることになる>(以上「日経新聞」より引用)



 中共政府の中国は習近平氏に並び立つ者の存在をすべて排除しているようだ。それは政治的ライバルだけでなく、IT企業経営者であろうと映画俳優であろうと著名なピアニストであろうと、物販のインフルエンサーであろうと著名な富豪であろうと、世間に名の知れた者たちすべてを敵視しているかのようだ。
 その様はまさに狂気の沙汰だ。いや習近平氏は「狂っている」としか思えない。自らを最高地位の独裁者に仕立て上げるためには手段を択ばないし、中国経済を破壊しても構わない、と決断しているようだ。

 そこまでして「終身主席」の地位を獲得したとしても、習近平氏はいつまで生きるつもりだろうか。69歳の習近平氏が後50年生きることは不可能だろう。いや30年ですら難しいだろう。なぜ終身国家主席の地位に拘るのか、習近平氏の考えが理解できない。
 始皇帝と称した古の中国皇帝は、独裁者となって「シン」を統治したのは僅か15年間だった。永遠の命を欲して、始皇帝は延命の妙薬を求めて学者を世界各地へ派遣した。そうした学者の一人が古代日本へも渡来したという伝承がある。しかし永遠の命を約束する妙薬などなかったし、彼も「限りある命」としての運命に従わざるを得なかった。

 習近平氏は自由主義先進諸国によって「生かされている」中国の実態をご存知ないのだろうか。中国経済は自由主義先進諸国からの投資と企業進出などの「産業革命」によって、強大な経済力を手中に収めた。
 だから自由主義先進諸国が投資を引き揚げ、進出した外国企業が撤退すれば中国には空っぽの「組み立て工場」しか残らない。外国企業経営者がよほど愚かでない限り、その企業の核心的な技術を進出した工場に持ち込んでいない。だから中国内だけで完結する「内循環経済」など成立不可能だと知って、習近平氏ですら路線変更せざるを得なかったのではないか。

 中国経済を絶賛していた日本の経済紙が独裁体制を強める習近平氏に疑問を呈する記事を掲載するのも、中共政府の中国がおかしくなっている証拠ではないか。情報社会が進展した現代で毛沢東が実践した蛮行を習近平氏が繰り返すことは出来ない。
 たとえば中国民を数千万人も餓死させた「大躍進」や、数千万人も虐殺した「文化大革命」など、現代で行うことなど国際社会が許さない。習近平体制の確立のために香港の中国化を急いでいるが、それにより中共政府の中国が失った国益が見合うものか、中南海から批判が湧き上がっても不思議ではない。世界で取引される穀物の約六割を爆買いしている中共政府の所業がいつまでも許されるわけではない。

 中国と同じく10億人を超える人口を擁するインドが自給率111%でコメを中国へ輸出していることに鑑みれば、中国の農政がいかにお粗末かお分かりだろう。それは自給率が低迷している日本にも当てはまることだ。
 中国は食糧自給出来ない国になっている。これは超大国を目指す習近平氏にとって致命的だ。食糧自給率124%を誇るロシアとは基本的に異なる。そのロシアもソ連といわれていた1920年代には食糧不足により国民が餓死する状況だった。計画経済のはずだが、政府がすべてを仕切る共産主義がいかに欠陥だらけか、人類は歴史を通して学んだはずだ。

 習近平氏は時計の針を逆に回して、歴史的に失敗が実証された毛沢東的共産主義の中国へ戻そうとしている。そして、そのことを諫める側近はいないようだ。中国民はいつまで習近平氏の独善的な「政治ゴッコ」に付き合わされるのだろうか。

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