自由主義諸国は「超限戦」に備えよ。

上陸適地を忘れた台湾有事論
 台湾有事について、中国側には上陸部隊を輸送する船舶が決定的に足りないことを繰り返し指摘してきましたが、自衛隊の将官OBでも忘れているか、まったく知識のない人が少なくないようです。
 渡洋上陸作戦が成り立つかどうかは、必要な規模の上陸部隊を戦車などの装備品、燃料、弾薬、食料とともに輸送できるかどうかで判断することになりますが、その海上輸送の計算式は陸上自衛隊の指揮幕僚課程CGSでは必ず教育されたものです。ちなみに、私よりひとまわり若い方面総監OBに尋ねたところ、1989年当時にCGSで習ったとのことです。

 船の問題もそうなのですが、同じように忘れられているのが上陸適地の問題です。かりに必要なだけの船腹量を備えていたとしても、その輸送船団に乗った陸上部隊をきちんと上陸させることができなければ台湾の武力統一など夢のまた夢です。
 台湾の場合、中国の陸上部隊は台湾側の砲兵の射程圏外、沿岸から70キロほどの海域で輸送船団から上陸用舟艇やホバークラフトに移乗して海岸を目指すことになります。この段階では、対艦戦闘能力を突出させた台湾の海軍、空軍の攻撃によって中国の陸上部隊は既に相当な損害を受けていることは想像に難くありません。
 当然ながら、海岸に近づくほどに台湾側の攻撃にさらされます。上空からの攻撃も、中国の戦闘機部隊が航空優勢(制空権)を握らない限り、避けられません。

 中国側は来援する米軍の攻撃にも耐えなければなりません。台湾を国家として承認しているかどうかといった政治的な要素に関係なく、台湾を自国の国益として位置づけている米国が来援を躊躇うことはないのです。その点は中国も理解しています。
 これは渡洋上陸作戦では想定内の状況ですから、中国側もその損耗を前提に陸上部隊の規模を決めることになります。台湾への渡洋上陸作戦に100万人規模の陸上兵力が必要とされる根拠はそこにあります。
 そこで上陸適地です。台湾側の反撃や米軍の攻撃に堪えて上陸しようとするとき、中国軍を待っているのは容易に上陸できない海岸線ばかりだとしたら、この段階で狙い撃ちの標的にされてしまうのです。
 人員が3000人ほどの機械化歩兵の部隊を上陸させるには、岩礁などの障害物のない幅2キロの海岸線が必要とされます。そのような海岸線は、台湾本島の1139キロの海岸線の約10パーセント120キロほどと限られています。ざっと計算すると3000人規模の部隊を60カ所から上陸させられますが、それだけで18万人。果たして、そこを突破口にして後続部隊を送り込み、台湾本土を制圧することができるでしょうか。
 台湾側は上陸適地に強固な陣地を構え、陣地に対する背後からの破壊工作などに対しても部隊を急行させて排除できるという有利な条件を備えています。

 このようなことを考えると、米国のミリー統合参謀本部議長が指摘したように、中期的に見ても中国が本格的な上陸侵攻を考えているとは想像しにくいのです。むろん、それでも中国は上陸侵攻が可能な能力の整備を着々と進めるでしょうから、台湾、米国、そして日本の連携のもとに強固な防衛体制を構築し、中国に武力行使が可能だと思わせないことがなによりも肝心なのは言うまでもありません。
 中国は、中国寄りの世論を台湾国内に醸成し、内乱などの混乱に乗じて傀儡政権を樹立するなど、いわゆるハイブリッド戦に力を注ぎ、熟した柿が落ちるような形で台湾を手に入れようとしているというのは、台湾政府の認識でもあります。日本も気を緩める訳にはいきません>(以上「MAG2」より引用)




 引用した記事は小川和久氏(軍事評論家)によるものです。私もこのブログで度々中共政府の台湾進攻は少なくとも現在の段階ではあり得ない、と書いてきた。なぜなら中共政府に動員できる百万人規模の陸軍はないし、中共軍が制海権も制空権も、ましてや海中を制してもいないからだ。
 超高速ミサイルを開発したとか、万余の中距離ミサイルを中国全土に二万発配備したとか報じているが、台湾占領には最終的に百万規模の歩兵が上陸しなければならない。それが出来るのか否かを小川氏は問題にしている。

 あるいは中共軍の戦略は、まず日本国内の米軍基地及び自衛隊基地を万余のミサイルで攻撃して、制空権を確保すると同時に日米軍の支援体制を破壊してから台湾進攻を始めるのではないか、という「先制攻撃」危惧する軍事評論家もいる。しかしミサイル攻撃で日本各地の米軍基地を叩いたなら、中共政府は台湾進攻ではなく自由主義諸国と全面戦争を選択したことになる。
 そうすると中共政府は経済支援で繋ぎ止めている「友好国」に同盟関係を求めるしかなくなる。だが中国民に必要な輸入物資の取引をしている国の殆どは自由主義先進諸国だ。自由主義先進諸国が一致団結して対中攻撃の意を固めたなら、中共政府は食糧確保すらままならなくなる。

 そしてミサイルによる先制攻撃を日本国内の日米軍が手を拱いて「やられっ放し」一方とも思えない。中共政府及び中共軍の動きを日米が全く把握していない、と前提している方がどうかしている。
 中国のハッカーばかり目立っているのは中国のハッカーがお粗末だからではないか。米国政府も秘かに敵対する国々の主要機関の情報機関をハッキングして、彼らの動向を把握していると考えるべきではないか。そもそもインターネットは米国が軍事目的で開発した通信ネットワークだ。中共軍によるミサイル総攻撃の前に、通信衛星の破壊などネットワークを遮断するサイバー戦争が起きると推測すべきではないだろうか。

 いずれにせよ中国が無傷で、日本の軍事基地をミサイル攻撃ですべて破壊することは出来ないだろう。そしてそうした戦略を選択したなら全面戦争になることを中共政府は覚悟しなければならない。もちろん中南海も安全ではない。
 そして中共幹部たちが国民から掠め取り蓄財した巨万の富の大部分を占める米国内の金融資産を諦めざるを得ない。習近平氏の兆円を超える金融資産凍結は勿論、米国で暮らしている肉親や親族も拘束されることを覚悟しなければならない。

 あらゆる可能性を考慮するなら、中共政府が台湾を攻撃することはあり得ない。むしろ蔡英文政権を打倒して、馬英九氏のような親中政権を樹立させる方が現実的ではないだろうか。そのためのロビー活動と台湾マスメディアへの浸透を図り、「超限戦」を仕掛ける可能性の方が高い。
 それは対台湾だけではない。日本らも米国にも、おそらくEU諸国にも既に仕掛けられている「戦争」ではないだろうか。そして多分、それは大部分で成功している。なぜなら米国に親中派のバイデン政権が不正選挙で誕生したし、日本にも親中派の岸田政権が誕生して日中友好議連会長だった林氏が外務相に就任した。「超限戦」は着々と中共政府ペースで進められている。この方が自由主義諸国にとって最も危険だ。

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