経済安全保障にしては予算規模がミミッチ過ぎはしないか。

<政府が来年の通常国会への提出を目指す経済安全保障推進法案(仮称)の概要がわかった。〈1〉サプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化
〈2〉基幹インフラ(社会基盤)の機能維持
〈3〉特許の非公開化
〈4〉技術基盤の確保――の四つが柱となる。
 米中両国が経済や技術分野で覇権を争うなか、半導体の確保や機密情報の保護、技術の海外流出を防ぐ仕組みなど経済安保に関する国内体制の整備を促進する。

 複数の政府・与党関係者が明らかにした。法案には、供給網の強靱化に関して、半導体などの国内生産基盤の強化を図る支援制度が明記される見通しだ。半導体などの国内供給が滞る事態を避けるため、工場建設への補助金交付などを通じて、海外企業の誘致や日本企業の国内回帰につなげる。
 半導体はパソコンや自動車など多くの製品に不可欠だが、日本は国内需要の6割強を台湾や中国などからの輸入に依存する。コロナ禍では供給網の混乱などで半導体が不足し、国内の自動車メーカーが減産を余儀なくされる事態も生じた。

 基幹インフラの機能維持では、通信やエネルギー、金融などの事業者が重要設備を導入する際、安全保障上の脅威となり得る外国の製品やシステムを導入しないよう、政府が事前審査する制度を盛り込む方針だ。インフラの安定運用に影響を与えかねない中国製の排除などが念頭にある。経済産業省幹部によると、各業界を規制する既存の法律では、安保上の理由で脅威国を排除する措置が十分には取れないという。

 特許の非公開化は、次世代兵器開発などに利用できる先端技術の流出を防ぐ目的がある。日本の特許制度は一定期間の経過後、出願内容が公開されてきた。非公開対象に指定された場合、国が特許出願者に補償金を支払う仕組みも検討する。
 技術基盤の確保では、人工知能(AI)など先端技術の研究開発に、政府が保有する情報や資金を提供できる仕組みを検討する。民間の技術を将来的に防衛分野で活用する展開も見込む。
 政府は19日、岸田首相をトップとする経済安保の関係閣僚会議の初会合を開く予定だ。首相は有識者会議の設置を指示する方向で調整しており、法案具体化の作業を加速化させる。

戦略物資の確保、「民間任せ」に限界
 政府が経済安全保障を巡る法整備を急ぐのは、半導体などの戦略物資の確保や、先端技術の育成・保全の分野では、民間任せの取り組みに限界があるためだ。
 日本の半導体産業は1980年代後半、世界シェアの半分を占めたが、現在は1割ほどの水準だ。「産業のコメ」と呼ばれる半導体産業の再興と安定供給の確保は、ものづくり大国・日本の復権に欠かせない。
 政府の働きかけが奏功し、半導体受託製造の世界最大手・台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県での工場新設を表明するなど、前向きな動きもある。政府は、国内生産基盤の強化に向けた支援制度を法案に盛り込み、さらなる誘致を狙う。
 法案は先端技術研究の振興にも力点を置く。文部科学省によると、自然科学分野で引用数が上位10%に入る質の高い論文数で、1位の中国に対し、日本は10位。政府にとって、規制強化にとどまらず、先端技術を生み出す、産官学による研究開発への投資も重要になる>(以上「読売新聞」より引用)

<政府は19日に決定する経済対策に、経済安全保障で5000億円規模の基金を設立することなどを盛り込んだ。
 経済安全保障の強化に向けては、先端的な重要技術の研究開発や実用化の支援のため、将来的に5000億円規模となる基金を作る方針を固めた。
 関係者によると、人工知能(AI)や量子技術、宇宙開発が念頭にある。これらは、日本が今後も国際競争力を保つために必要とされる。政府は今年中に関連するシンクタンクを作る予定で、大学など研究機関を支援する。
 経済安全保障は、国益のために欠かせない経済的な分野を自前で確保・維持する意味がある。「産業のコメ」と言われる半導体も重要分野で、現在は国内需要の6割強を台湾や中国からの輸入に依存する。政府は国内生産の拡大を目指し、台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県で計画している工場の建設に対しても補助金を出す方向だ>(以上「読売新聞」より引用)



 読売新聞で報じられた「経済安全保障推進法」なる法案の内容と、その実態とを並べて引用した。「経済安全保障推進法」というからには相当肝煎の事業展開がされるのではないかと期待したが、岸田自公政権の浅はかさを改めて思い知った。
 なんと「経済安全保障で5000億円規模の基金を設立する」という。日本の経済安全保障の何と安い事か。米国では半導体事業の推進だけで5兆円を超える産業支援策を検討中だというが。

 なぜ政府は経済三団体の会長を官邸に呼んで「中国へ進出している企業を国内へ回帰させよ」と要請しないのだろうか。その代わり国内回帰に伴う投資額の半額に相当する額を補助すれば良い。
 大盤振る舞いの財源をどうするのか、と問う愚かな評論家の声が聞こえてくるようだが、工場が国内回帰すれば生産性の劣る工場を造るわけがないし、当然ながら国内雇用が発生する。つまり生産性が向上すれば利益が上がるから税収増となり、国内で雇用が発生すれば労働者の個人所得も増えて、税収増につながる。何よりも質の高い雇用が増えることにより労働者の平均賃金も上がるだろう。

 人手不足だ、と騒いでいるのは飲食やコンビニといった「非正規労働者」だ。それらの人手不足解消にはIT技術の大胆な採用により省力化を図る絶好の機会ではないか。人手不足こそが生産性向上のカギを握っている。
 もちろん中国へ進出している邦人企業をUターンさせれば、サプライチェーンが国内で再構築されて経済安全保障のみならず国民生活の不安解消に大きく寄与するだろう。そして中共政府の影に怯えることもなくなる。

 基幹インフラの機能維持だけでは済まされない。なぜなら日本こそ「スマート・ハイウェイ」が必要だからだ。自動車の全自動運転が実現すれば、交通事故が減少するだけでなくトラック運輸の概念が根本から覆ることになる。
 そうした未来の陸上運輸も含めた自動車の全自動運転の技術開発と政府は全力で取り組むべきだ。そして今度こそ中国に盗まれないようにして、日本の世界へ向けたインフラ投資の主力製品とすべきだ。既に基本的な部分部分の技術は開発されている。それらを統合して管理するIT技術を開発すれば良いだけだ。中央管理室によるハイウェイの制御は新幹線で既に開発済みだ。

    特許の非公開化もさることながら、外国人留学生を大学や各研究機関に受け入れるのを限定すべきではないか。ことに中国人留学生は「千人計画」を用心すべきだし、韓国人による各種種苗や種の窃盗により日本が開発したイチゴやサクランボやブドウなどが「韓国名産」になって世界へ輸出されている。
 他にも技術基盤の確保掲げているが、具体的に何をどうしようとしているのか意味不明だ。技術は現場でこそ開発され継承されていくものだ。では「現場」を政府がいかにして「確保」出来るというのだろうか。

 総じて経済安全保障と銘打った割に予算規模は余りに少な過ぎる。まず全国の研究機関に対して、安倍自公政権下で削減した研究費を旧に復し、さらに増額すべきだ。日本の大学や研究機関に対する政府補助は先進国で余りに少な過ぎる。
 そして産学協同に軸足を置いた「大学の独立法人」化などは純粋な基礎研究を阻害するばかりか、失敗を恐れて未知の分野に研究者が踏み込むのを躊躇わせている。短期利益の追求は科学技術の研究支援にそぐわない。基礎研究にこそ研究費を注ぐべきだが、基礎研究の重要性に政治家が気付くことはないのだろうか。

このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。