行政はハザードマップの積極的な活用を。

<静岡県熱海市で7月に起きた土石流災害で、崩落起点となった盛り土のずさんな造成工事を行い、安全管理を怠ったとして、県警は28日、業務上過失致死などの容疑で、盛り土された土地を所有していた神奈川県小田原市の不動産管理会社や同社代表(71)の自宅など関係先を家宅捜索し、強制捜査に乗り出した。

 遺族の瀬下雄史さん(53)=千葉県=が8月、同社代表を業務上過失致死容疑で、現在の土地を所有する者を重過失致死容疑でそれぞれ県警熱海署に刑事告訴し、受理されていた。
 熱海市などによると、盛り土が造成された土地は小田原市の不動産管理会社が2006年に取得し、07年から盛り土造成を開始した。同社は市に対し、盛り土の高さを15メートルと届けながら、実際は3倍余りの約50メートルにまで上ったとみられている。土地は11年2月に現所有者に売却された。
 市は危険性を認識し、11年に安全対策を強制的に行わせる措置命令の発出を検討したが、防災工事が始められたため、発出を見送った。
 災害は今年7月3日に発生。崩落した盛り土が土石流となり、26人が死亡、1人が行方不明になり、約130棟が被害を受けた。遺族ら70人は前所有者の不動産管理会社などを相手取り、32億円余りの損害賠償を求め提訴している>(以上「時事通信」より引用)



 熱海市の土砂災害が起きた当初から、このブログで私は「人災」だと断定していた。なぜならテレビ画面に映される災害地周辺の山々を見る限り、山肌に土砂崩れの痕跡は土石流の発端となった「土盛地」からのものだけだったからだ。
 谷を埋め立てた「土盛」がなければ、熱海市の土砂災害は起きてなかっただろう。しかも発端となった土盛地の崖部分にコンクリート擁壁か防砂堰堤などが建設されていた痕跡がなかった。ただ谷を埋め土を盛り上げただけの「盛土」は必ず崩壊する。なぜなら谷は水の流れにより山肌が侵食されてできた地形だからだ。

 普段は川の流れがなくても、谷があるということは雨が降れば付近の雨水がその谷へ集まって流れることを示している。谷が盛土で封じられても、山肌に沿って雨水が流れ下り盛土の端から流れでる。水抜きの穴があけられたコンクリート擁壁が作られていれば、盛土は崩れにくくなっている。しかしそうした防災構造物を建設した痕跡が全くなかった。
 だから「盛土」で谷を埋めた業者の責任は免れられない。そして行政も「不法な盛土」に対して、しっかりと行政指導すべきだった。付近の住民や下流の住民は「盛土」の危険性に気付いていたはずだ。おそらくハザードマップにも「土砂災害危険地域」の色分けがされていたはずだ。しかし実際は何も対策が立てられないまま、悲惨な土砂災害当日を迎えてしまった。

 記事には「市は危険性を認識し、11年に安全対策を強制的に行わせる措置命令の発出を検討したが、防災工事が始められたため、発出を見送った」とある。しかし結果として崩落するまで防災工事は実施されてないまま放置されていた。行政当局の責任も問われて然るべきではないだろうか。
 さらに云えば、全国で作成したハザードマップで各種危険地域と指定された場所の危険除去を行政は積極的に行っているだろうか。ただ地図に「塗り絵」をしただけで放置しているとしたらハザードマップとは何だろうか。

 土砂災害危険地域と指定された土地は価格が低下する。もちろんその地で暮らす住民は雨が降るたびに土砂災害に襲われる恐怖を感じている。そのまま危険地域を放置していて、実際に土砂災害が発生したなら行政当局は「未必の故意」を問われても仕方ないのではないだろうか。
 急斜面に雨水が流れ下らないように、崖地の起点の防災工事を行い、雨水が崖地を流れ下らないようにしたり、土砂災害が民家を襲う経路を塞ぐように砂防堰堤を設置するなど、防災工事を実施して災害を未然に防ぐ方策を講じるべきではないだろうか。ハザードマップを生かすのは、危険地域とされた住民もさることながら、行政当局こそ活用すべきではないだろうか。

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