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<コロナ禍で疲弊した経済の立て直しを図るべく、今回の衆院選(31日投開票)では、与野党ともに「バラマキ」、つまり国民への投資を前面に打ち出した。緊縮財政によってデフレが長引いてきたことを考えれば極めていい傾向だ。

 各党の公約を見ると、与党の自民党は非正規雇用者や子育て世帯、学生らへの経済的支援を示し、公明党は「0歳から高校3年生まで」に一律10万円相当を給付するとしたが、どちらも消費税減税については言及なし。昨年、消費税減税を打ち出した自民党の政治家集団がいたが、どうなったのだろう。

 一方、野党側は「時限的消費税率5%引き下げ」(立憲民主党、日本維新の会、国民民主党)で足並みをそろえつつ、現金給付についても「低所得者へ年額12万円」(立憲民主党)、「一律10万円で、かつ低所得者に10万円上乗せ」(国民民主党)となっている。
 もっとも、立憲民主党や国民民主党の前身である民主党は政権獲得当時、「増税はしない」と明言していたのに、あっさりと消費税増税にかじを切った前歴がある。

 ともあれ、与野党がともに「バラマキ」政策を打ち出し、しかも野党が「消費税減税」で足並みをそろえたのは画期的だ。ようやく中央銀行による金融緩和と政府による財政出動の連携によって景気を拡大し、雇用を改善するという「普通の国」の財政・金融政策が、与野党のコンセンサスになりつつあるということか。

 問題は、この「バラマキ」のやり方だ。「現金給付」と「消費税減税」の2種類が存在する。実はこの2つは同じ財政政策でありながら、その意味は全く違う。
 昨年、政府は一律10万円給付をしたが、その事務費だけで約1500億円かかっている。そのほか、政府、地方自治体の公務員たちの人件費のコストもバカにならない。
 しかも一律ではない場合、誰に給付するのか、その基準をめぐって政治家と官僚たちの「権限」(=いわゆる利権)は拡大する。そして、給付されたからと言って必ずしも消費に向かうとはかぎらない。

 一方、消費税減税は、値札の差し替えやレジや会計ソフトなどの対応が必要だが、政府のコストは少なく、すべての人に公平に適用される。つまり、誰にいくら配るのかという政治家と官僚たちによる恣意(しい)的な選別がない。それは言い換えれば、彼らの「権限」を増やさない政策なのだ。
 しかも消費税減税は、お金を使わないと、その恩恵を受けることができないので確実に個人消費の拡大につながっていく。昨年来のコロナ禍で多様な給付金が実施されたこともあって実は家計の金融資産は2000兆円に迫っており、過去最高額を更新している。

 選挙は、政治家に国民の要望を伝える絶好のチャンスだ。消費の拡大から経済成長へ。莫大(ばくだい)な金融資産を消費へと誘導するためにも消費税減税が望ましい。減税が無理な場合でも、金融資産課税を含むあらゆる増税に反対するよう、地元の候補者たちに働きかけたいものである>(以上「夕刊フジ」より引用)



 税制により政治を誘導する、というのは政治の王道だ。それは江崎道朗氏(評論家)が改めて指摘するまでもない。引用した記事では現金給付になれば給付するだけで1,500億円もの費用が掛かるという。さらに支給に所得基準などを設定すると公務員にかかる労働負担が増大する。
 だから現金給付ではなく、消費税廃止が最も簡単な経済成長策だと主張する所以だ。しかも貧困層ほど消費税廃止の恩恵は大きい。ことに食料品や生活必需品に関して消費税を課すべきではない。それは生活弱者に鞭打つことでしかないからだ。

 財務省の「財政規律」宣伝に洗脳された評論家や政治はたちはまだ多くいる。彼らはデフレギャップを埋める財政出動を「バラ撒き」だと称している。引用記事を書いた記者氏も今回の選挙は「バラ撒き合戦」だと称している。
 しかし経済成長するためには、まずデフレギャップを埋めて需給バランスさせる必要があることを知らなければならない。同時に打つべき手は強力な選別的税制だ。もちろん消費税減税や廃止も税制政策だが、それは高度経済成長期になかった、日本を衰亡させる税制を廃止する第一歩でしかない。

 夕刊フジの記者氏は何を考えているのか知らないが、国民貯蓄額が2,000兆円に迫っているとして、そこに目を付けて国民貯蓄を消費させるべきだとしている。そのための消費減税だというが、消費減税が必要な国民は「貯蓄のない」貧困層だ。だから、そうした意味ではクルーザーや大型乗用車などの贅沢品に課税していた物品税の方が合理的だった。高級官僚たちが富裕層に配慮して物品税を廃して、すべての消費に課税する消費税に切り替えたのだ。
 また企業の内部留保に課税すべきだ、という議論があるが、それこそ法人税を課した後の内部留保に課税するのは二重課税になる。そうした「資産」に課税するのは賛成できない。課税により財源を確保するのではなく、経済成長によるGDPの拡大を目指すべきだ。

 GDPが拡大すれば当然国民所得も増え、個人消費も活発になる。企業も内部留保を企業規模の拡大と未来への投資に積極的になるだろう。経済成長すればすべてが好転する。もちろん国民のファンダメンタルも好転する。
 そのために政治家は汗をかくべきだ。グローバル化ではなく、国民ファーストの政治に舵を切るのだ。国内各地に工業団地を造成すべく、地方自治体に選択的交付金を支出すべきだ。そうした国内にUターン企業の受け入れ地を用意して、新工場建設の補助金や投資減税などを行い、安定的な国内雇用を確保すべきだ。

 労働者所得を引き上げるのは最低賃金を引き上げることによって実現すべきではない。それは人手不足によって実現すべきだ。非正規雇用では労働者が集まらなくなるように政策誘導すべきだ。だから安倍自公政権が制定した外国労働者移民34.5万人など即座に廃止すべきだ。
 高度経済成長期がどれほど人手不足だったか。それを乗り切るために生産ラインの省力化が進み、ロボットが多量に導入された。そして労働生産性が向上して労働賃金が上昇した。現行の雇用率の高さの実現要因は飲食料飲やコンビニなどの非正規労働が大半を占めている。それでは若者が安定した高収入を得ることは出来ないし、異性と婚姻して家庭を営むことは出来ない。少子化の原因の一つが非正規労働の拡大にあることは論を俟たない。

 選挙により政治は始まる。民主主義国では政治の責任はすべて国民に帰す。そのことを忘れてはならない。漫然と歌舞伎の襲名披露のようなものだと理解して、選挙の時にだけ帰郷して「ふるさとの皆様~」と街宣カーから叫ぶ候補者に熱狂してはならない。冷静に「お前の考えは何だ、」と傾聴する判断力を持たなければならない。
 「○○ジュニア」と熱狂的なファンが付いていた政治家の実態が知れたため、彼が街宣のマイクを握っても人が集まらなくなった、という。政治に熱狂は無用だ。有権者には冷静な判断力こそが必要だ。そして誰が本当の明日の日本を見据えているかを見抜く眼力が必要だ。

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