日本は世界を牽引する経済大国の復活を目指せ。

海外からの日本への投資、北朝鮮に次ぐ最下位
 『フォーリン・アフェアーズ』(Foreign Affairs)は、アメリカの外交問題評議会が発行する外交・国際政治専門誌です。
 英誌『エコノミスト』とならび大きな権威があります。
 ここに「日本への海外からの直接投資の比率(対GDP)は、196国中で北朝鮮に次ぐ最下位である」との衝撃的な記事が掲載されました。
 2021年10月13日記事「なぜ誰も日本に投資しないのか」との表題です。
 以下、抜粋編集します。

 中国はその代表だが、インドや東欧の新市場経済圏など、多くの国が外国企業を積極的に誘致している。自国の成長を促進するために、外国企業が国内に新しい施設を設立したり、国内企業を買収したりすることを奨励しているのだ。海外直接投資(FDI: Foreign Direct Investment)である。FDIは、外国企業の新鮮なアイデアを自国の経済全体に波及させ活性化させる。こうしたメリットに「ノー・サンキュー」と答えた国は、主要国では日本だけである。
 国連貿易開発会議(UNCTAD)は2019年(最新データ)でGDPに占める累積対内FDIの割合を196カ国でランキングした。結果、日本は北朝鮮に次ぐ最下位だった。日本のFDIのGDP比率は4.4%。それに対して韓国では1990年代後半の2%から現在では14%にまで跳ね上がっている。インドでも、1990年にはわずか0.5%だったFDIの割合が、現在では14.0%にまで上昇している。東欧の旧ソ連圏8カ国では、共産主義の終焉に伴い、その比率は7%から55%へと爆発的に上昇した。一般的な富裕国の平均は28.0%。日本だけが取り残されているのだ。

 対内直接投資の拡大を阻む主な要因は、外国企業が健全な日本企業を買収するのが難しいことにある。一般的な豊かな国では、対内FDIの80%はM&A(会社買収)の形で行われるが、日本では14%に過ぎない。これは、第二次世界大戦直後、日本政府が外国企業の支配を恐れてFDIを制限していた時代の名残である。
 1960年代、日本が規制を自由化しなければならなかったとき、政府は「自由化対策」と呼ばれるものを考案し、インバウンドM&Aの間接的な阻害要因を作り出したのである。
 現在、表立った障害はほとんど取り除かれているが、企業グループ制は依然として残っており、大きな障害となっている。
 外国人投資家は、親会社のグローバル展開を強化する優良企業を買いたいと考えている。しかし、日本においては大企業であれ中堅企業であれ、最も魅力的なターゲットは、残念ながら「系列」に属しているために、ほとんど手が届かない。
 そして日本政府はFDIの不名誉な統計数字が明確にならない形で隠すように発表している。

 FDI(海外からの直接投資)の比率、196カ国中、北朝鮮に次ぐ最下位とはびっくりです。その要因として、日本では会社買収しにくいためと論じています。
 また後継者不足で2025年までに60万社の収益性の高い中小企業が閉鎖せざるを得なくなる可能性があるが、そういった企業が買収されれば、結果的に最大600万人の雇用が守られるとも論じています。
「外国企業に買収される」というのは悪い語感があります。
 大事な日本の技術が海外に流出するのではないか、という懸念もあるでしょう。
 外国人投資家を「ハゲタカ」や「血を吸う者」として書いた本の影響もあるでしょう。
 しかしながら、すべての政策にはよい面と悪い面があります。

 黒字でありながら、後継者不足で消滅していく中小企業、失業する人の事を考えれば、海外からの投資をもっと受け入れるべきでしょう。
 本記事では具体的に「日本の既存の官僚的なインフラを活用することが有効だ」としています。
 「日本貿易振興機構(ジェトロ)は、外国企業が日本で新たに事業を始めることを積極的に勧めているが、外国企業が日本企業を買うことを勧誘する努力はしていない」「危機に瀕した中小企業の外国人バイヤーを見つけることは、ジェトロの任務に含まれるべきである」との提言です。
 最後は「日本への直接投資が飛躍しインバウンドM&Aが増えなければ、日本の成長は今日のように低調なままであろう」と結論づけています。

 今、まさに選挙に向けて、各党が日本の成長戦略について論争していますが、国債を増やすような議論ばかりで、こういった具体的な政策がでてこないことは非常に残念です。
 外国企業が増えることは、日本の今までの統治方法も変わる事を意味します。
 日本人は法的根拠のない「お願い」でも役所のいうことを聞いたりしますが、外国企業はそんなわけにはいかないでしょう。
 それは、既存の統治に慣れている政治家・官僚にとっては面倒くさい事かもしれませんが、あるべき方向性であると思われます。
 借金に頼らない日本の経済成長のためにも、健全な統治への移行のためにも、海外から日本への直接投資が伸びる政策がされることを望みます>(以上「MAG2」より引用)



 大澤 裕氏(株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師)の論評を掲載させて頂いたが、その結論にはいささか首を傾げざるを得ない。外国からの投資資金が少ないからといって、それがどうかしたのか。
 つまり大澤氏の出した結論「借金に頼らない日本の経済成長のためにも、健全な統治への移行のためにも、海外から日本への直接投資が伸びる政策がされることを望みます」というクダリに問題がある。大澤氏が「借金」とするものが国債発行を指し、それに頼らない経済成長すべきだ、とするのは明確な間違いだ。何よりも海外からの投資はその投資により日本国内で稼いだ「利益」を外国へ持ち去ることに他ならないことを忘れてはならない。そこ意地悪い中共政府は「外国投資」と見せかけながら、後進国に過剰投資して償還できなくし、その投資で整備した港湾や空港を99年間もの租借地としている。

 外国からの投資が北朝鮮に次ぐ低さだとして、何か不都合でもあるだろうか。先進諸国で最低だとして、日本国内で外国からの投資資金が少ないために、日本の金融政策に何か支障が生じているだろうか。
 翻って外国から湯水のように流れ込む投資により高度経済成長を果たした世界第二位の経済大国・中国は投資資金の流出により、外貨準備高が危険水位を下回って、海外送金を規制している。海外からの投資資金に頼って経済成長させれば、それなりのリスクに甘んじなければならないのは因果関係というものだ。

 安倍氏は法人税が高いから法人税を外国並みに引き下げる、という理由で法人税を引き下げ、その穴埋めに消費税を増税した。しかし結論として法人税の引き下げは大澤氏が嘆くように海外投資家たちの呼び水とはならなかった。その代わり課税されなかった利益が内部留保として企業内に積み上げられた。
 安倍氏が法人税を引き下げた「大義名分」は崩れ去った。まさにアホノミクスの極みだが、そのことに評論家たちは一切触れようとしない。大澤氏も法人税法の引き下げは完全スルーしている。日本は世界基準からみても遜色ないほど法人税を引き下げたが、それで国外からの投資が増えたことはない。

 外国から投資が増えればそれだけGDPが増える。だが、それだけ国力が増すかといったら、それは別物だ。中共政府の中国のように、最終的には「接収する」というのなら外国投資は「自国のもの」だが、そうでない限り外国投資は債券や株式によって保護されている。つまり日本国内に投資されていても、それは紐付きとなっていて外国のものであり続ける。
 外国投資は恣意的にいつでも引き上げられる。それだけ経済と政治が強く結びつく契機となる。国家にとって、それは危険だ。中共政府は自由主義諸国から投資を大規模に受け容れたが、一転して鎖国策に舵を切っているのも、自由な風がこれ以上中国内に吹き込むと一党独裁体制に国民が疑問を抱き始めないかとの疑念からだろう。彼らは国家を富ますよりも、自分たちの懐を富ます方を選んだ。

 大澤氏はM&Aを推奨されているようだが、買収よりも企業合併を勧めるべきではないか。民は官と違って徹底的に経営効率を図るべきだからだ。一般管理部門は出来るだけ圧縮した方が良い。その代わり技術や研究開発部門は出来るだけ人数を揃えて間口を広げた方が良い。企業発展には技術や研究への弛まざる投資が不可欠だ。
 日本に必要なのは経済成長だ。それも中国型の外国投資を呼び込む「手っ取り早い」成長ではない。国内企業が切磋琢磨して生産性を向上させ、それに伴う経済成長でなければならない。そうでなければ真の世界を牽引する経済大国とはいえない。ただの「製造工場」でしかない。

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