岸田氏の「成長と分配」は偽物だ。

<政府は15日の閣議で、岸田文雄首相が掲げる「成長と分配の好循環」を具体化するため「新しい資本主義実現本部」を設置すると決めた。有識者が参加する実現会議のメンバーにはZホールディングスの川辺健太郎社長ら15人を起用し、月内にも初会合を開く。

 本部長には首相、副本部長には山際大志郎経済財政・再生相、松野博一官房長官が就任する。同本部は15日、本部の下に実現会議を設置すると持ち回りで決定した。会議の議長は首相が務め、鈴木俊一財務相、後藤茂之厚生労働相、萩生田光一経済産業相ら関係閣僚が出席する。
 会議のメンバーの有識者15人のうち、半数近い7人が女性だ。日本総合研究所の翁百合理事長や人工知能(AI)のスタートアップ、シナモン(東京・港)社長の平野未来氏らが参加する。経済3団体と連合の代表、中小・新興企業の経営者も出席する。

 首相は14日の記者会見で「各界から第一人者に参画いただき、新しい資本主義のグランドデザインを描いてもらう」と述べた。「民と官がともに役割を果たすことで、温かい改革を進め、成長の果実が国民一人一人に幅広く行き渡る成長と分配の好循環を実現する」と訴えた。

 岸田文雄新首相の経済政策の看板は「新しい日本型資本主義」だ。これを自民党総裁選で「小泉改革以降の新自由主義的政策を転換することだ」と宣言した。規制緩和・構造改革が経済成長の半面で「格差と分断も生んだ」と指摘。成長と分配の好循環による「令和版所得倍増」を説くが、「改革」はどこへ行ったのか>(以上「日経新聞」より引用)




 岸田内閣の「新資本主義会議」が発足した。しかしメンバーを見ると、とても「新資本主義」を実現しようとする「会議」とは思えない。ましてや「令和の所得倍増計画」を具体的な政策を提言する「会議」でもない。ただ国民向けに女性委員を半数ほど揃えた、というだけのことだ。
 総裁選に立候補した際の「新自由主義からの決別」を高らかに宣言した勢いは消え失せ、総花的な助成医院を半数集めただけの「会議」になったのはなぜだろうか。しかもメンバーには緊縮財政派の経済同友会会長の名前もある。それではデフレギャップを財政出動で埋め、力強い経済成長をプッシュする政治すら心許ない。

 岸田氏は「各界から第一人者に参画いただき、新しい資本主義のグランドデザインを描いてもら」い、「民と官がともに役割を果たすことで、温かい改革を進め、成長の果実が国民一人一人に幅広く行き渡る成長と分配の好循環を実現する」という。そんなお遊び感覚で何が出来るというのだろうか。
 岸田氏は新自由主義が「自己責任」を徹底追及する「小さな政府」だったことを知らないのだろうか。「新自由主義」から脱却して、経済成長を目指すというのなら高度経済成長期の「大きな政府」を復活させなければならない。そうした自明の理すら理解しないで「令和の所得倍増計画」を提起したのだろうか。そうだとしら、岸田氏は何もわからないまま、誰かの助言をオウム返しに口パクで発言しただけではないか。国民をバカにするのも好い加減にしてもらいたい。

 日経新聞は骨の髄から「新自由主義」に染まっているから、下段の記事に「改革は何処へ行ったのか」と的外れの論を掲げている。岸田氏が総裁選で「規制緩和・構造改革が経済成長の半面で「格差と分断も生んだ」と指摘して「成長と分配の好循環による「令和版所得倍増」を説くが、「改革」はどこへ行ったのか」と「日経新聞」と社名を名乗りながらも、経済が全く分かっていない実態を晒している。
 日経新聞は新自由主義の「構造改革」により日本社会が格差拡大し、(派遣業法の)規制緩和により労働者が貧困化した歴史的事実すら分からないのか、「改革」は何処に行ったのかと書く始末だ。所詮は株式投資家を相手にするだけの株式相場予想屋・新聞でしかないのか。「日本経済新聞」の社名が泣きはしないか。

 岸田内閣にはガッカリだ。新自由主義との決別だとか、令和の所得倍増計画だとか、すべては総裁選のために口から出まかせに言った戯言でしかない。内閣が発足してみれば目玉の「新資本主義会議」は国民の関心を買うために女性委員を半分集めてみました、というアリバイ作りでしかない。
 そもそも女性議員(委員)を何%にする、というのは女性差別をしてはいないか。能力のある人を性別に関係なく登用する、というのが本来のあり方だ。それとも委員の半分を女性にしたら「新資本主義会議」が新自由主義から決別する委員会になるのだろうか。

 30年間ゼロ成長だったということは、平均3%前後の成長を続けて来た世界各国から見れば、日本は明らかに衰退している。先進諸国の中で国民一人当たり所得は最低だ。韓国にすら劣っている。
 もっと政治家は危機感を持つべきだ。なぜ日本は成長なき30年を過ごしたのか。そして格差が拡大し、貧困化したのか。新自由主義は労働者を正規と非正規に分断し、非正規労働者という一定の不遇な層を作ることによって、新自由主義により所得減となった正規労働者の不満を抑制した。国民は分断化され、お互いに憎み合うようにマスメディアによって仕向けられた。そして岸田氏は「分配」を掲げる。これも分断策の一環ではないか。

 分配ではなく、所得に対する「課税の公正化」を謳うべきだ。配当所得の20%源泉分離課税を廃して、配当所得等も総合所得課税に一本化すれば済む話だ。そして法人税を旧に復せば、消費税を廃止しても税収は減らない。消費税を廃して税制を旧に復すだけで、個人消費は増大する。
 元々日本は「和」の国だ。正規と非正規が同じ職場で同じ仕事をしている方がどうかしている。それこそ労働者を分断支配する手法ではないか。派遣労働に反対して来なかった連合に労働者の味方といえるのか。新自由主義の名の下に既得権に胡坐をかいて来たのは労使の幹部双方だ。今度の選挙で国民は新自由主義からの決別を政治家に問うべきではないか。

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