中国経済は崩壊している。

<かつて中国一の販売実績を誇った不動産開発大手、中国恒大集団が崖っぷちに立たされている。混乱を伴って幅広い影響をもたらす形の経営破綻に追い込まれるか、あるいは「管理された倒産」を余儀なくされるのか。一方で、政府による救済の可能性は乏しそうだ。

 1996年創業の恒大集団は、中国当局が借金や建設事業を自由気ままに許していた時代の申し子と言える。だが、現在では2兆元(3050億ドル)近くの負債を抱え、ここ数年の中国で最大級の破綻を起こす可能性が目の前に迫ってきた。 近年、中国では金融リスク抑制と住宅取得促進の一環として、不動産開発会社に借り入れや土地購入を制限し、その他に何百種類もの新しい規制が導入されている。 そうした規制を受けて昨年、恒大集団は債務圧縮の取り組みを加速させた。来年初めまで主な外債の償還期限は到来しないが、サプライヤーへの支払いや債務利払いが遅れていることで、長年にわたって投資家の間にくすぶっていた懸念が顕在化する事態になった。 
 今のところ、恒大集団は新たな資金調達手段を手に入れない限り、サプライヤーに対する支払いや開発案件の完成、増収などがままならなくなった。アドバイザー起用に動くとともに、デフォルト(債務不履行)のリスクを警告している。このデフォルトに加え、身売り、解体もしくは救済などが、検討されているシナリオだ。 アナリストは、2008年の米リーマン・ブラザーズ破綻と同一視することには否定的だ。当時、リーマンのさまざまな取引相手にも危機が生じて、最終的には世界全体の金融市場が一時機能を停止させた。 それでも一部の投資家は、恒大集団もそれなりに負の波及効果を生み出すのではないかと懸念する。
  ディストレスト資産や高利回り債を専門に扱うSCレービのマイケル・レービ氏は「恒大集団が予想通りデフォルトに陥り、再建過程に入った場合、なぜ影響が伝播しないと考えられるのか。流動性を入手する手段がなく、事業の手を広げ過ぎたという同じ問題に苦しむ不動産開発会社は、ほかにも存在する」と述べた。
 さらに銀行の不動産向け融資焦げ付きや、痛手をもたらす兆候をよそに、当局が断固として不動産市場改革を推し進める構えであることにも、懸念の声が聞かれる。 今のところ、反応が見られるのは債券市場と、恒大集団や同業者の株価にとどまっている。恒大集団の株価は過去14カ月で約90%下落し、ドル建て社債は額面の3─4割で推移。ナティクシスのエコノミスト、アリシア・ガルシア・エレロ氏は、中国の不動産セクターという最も明白な「灰色のサイ(高い確率で大きな問題を引き起こすと考えられながら軽視されているリスク)」を巡り、緊張が高まりつつあるとの見方を示した。 

<不動産市場崩壊も>
  一番差し迫った不安は、リーマン型の金融危機ではなく不動産価格の暴落だ。恒大集団が保有資産を投げ売りすれば価格形成メカニズムが破壊され、借り入れに頼る不動産開発会社が破滅して、中国経済の4分の1を占める不動産セクターが機能不全になりかねない。 ロンドンを拠点とする独立系アナリスト、パトリック・ペレット・グリーン氏は「リーマン(の破綻)は金融システム全般に波及し、活動を停止させたという点で非常に異なる。多数の取引相手が抱えていた何百万もの契約があり、誰もがポジションを解消しようとしていた。恒大集団については、不動産セクター全体を抑圧する」と説明した。
  恒大集団には、数多くの銀行が融資を行っている。昨年明らかになった文書によると、同社は128行超の銀行と、121社を超えるノンバンクから借金がある。この文書を巡って、同社は「でっち上げ」と主張している半面、アナリストは真実味があると受け止めている。 もっとも各種データを見ると、中国の商業銀行の不良債権比率は4─6月期で1.76%と十分制御できる範囲に収まっている。
 米国と比べ、政府がずっと厳しく金融システムを統制しているのが、中国の特徴だ。 こうした中で、恒大集団はどうなるのか。信用分析情報を提供するリオルグのディストレスト債アナリスト、ジェームズ・シー氏は「政府は肥大化した不動産セクターで、債務圧縮に向けた取り組みを熱心に進めている。だから、恒大集団に救いの手を差し伸べる公算は乏しい」と話す。 14日には恒大集団本社に、怒りの声を上げながら債権の回収を求めて約100人の投資家が集まった。それらの状況を踏まえ、アナリストの間では小口投資家を守るための「管理された倒産」を想定する向きが増えてきている。 ノムラのアナリスト、アイリス・チェン氏は顧客向けノートに「政府が(民間資本の)恒大集団を救済する動機があるとは考えられない。だが、彼らは積極的に恒大集団を追い込むつもりもなく、万が一の場合、より秩序のあるデフォルトを取り仕切るのではないか、というのがわれわれの見解だ」と記した>(以上「REUTERS」より引用)



 引用したREUTERSの記事からは緊迫した様子が伝わらないが、9月12日に中国深圳にある恒大集団ビル前には恒大理財企業へ投資した1500人(日本の主要紙は100人と報じている)が集まって投資資金の返済を要求した。恒大集団は運営資金獲得のために年利20%という考えられない高利回りを謳い文句にした「理財商品」を販売していた。
 日本では考えられないことだが、中国ではそうした「理財商品」に投資するのは一般庶民だ。しかも12日に取り付け騒ぎがあったのは「理財商品」に投資した投資家たちだ。本業の不動産(中国の場合は「マンション」だが)に投資した人たちも不満を募らせている。その原因は資金不足によりマンション建設が途中で止まった物件が多数あるからだ。しかも中共政府はマンションのダンピング販売を禁じているため、恒大集団も資金確保のめどが立たない。

 引用記事では「現在では2兆元(3050億ドル)近くの負債を抱え」とあるが、飛んでもない。実際は恒大集団全体で35兆円規模の負債があるといわれ、理財商品などで集めた資金などの集団全体の負債総計は分からないのが事実のようだ。
 恒大集団の破産がシステマティックに中国金融全体に影響を及ぼすのではないかと機関投資家は心配しているが、既に中国の不動産市場全体にシステマティックな影響を及ぼしている。これまでは不動産は価格が下がらないという神話があったが、全国の都市部でもマンション価格が暴落している。ただ中共政府が値下げ販売のガイドラインを決めて厳しく値下げを販売を取り締まっているため、マンション価格暴落が表面化していない。

 だが中国GDPの20%を占めていた投資(その大部分が不動産投資だが)の大半が失われたため、中共政府が今年のGDP成長率8.8%(IMF予測は8.4%)が、どれほど荒唐無稽な絵空事か推測がつくだろう。中共政府が発表する統計数字は全くアテにならないが、IMFの統計数字も実にいい加減なものだと批判せざるを得ない。
 断っておくが、中国の不動産投資といえば「土地」ではなく、マンションや商業ビルだ。なぜなら土地は国有化されていて、売買できるのは70年間か50年間の「地上権」でしかないからだ。つまり投資した対象が耐用年数50年足らずで建替負債の塊と化す代物だということを忘れてはならない。

 そして恒大集団が破産すれば従業員15万人のみならず、その下請け建設企業なども連鎖倒産することも考慮していなければならない。去年から中国全土で中小不動産企業が500社も倒産しているといわれる。とてもGDPがプラスの国の状態ではない。
 中共政府は北京に証券取引所を開設して外資を呼び込もうと必死だが、何に投資しろというのだろうか。中共政府は外資特区を設けて、外国企業進出を「優遇」しようとしているようだが、事後法が遡及して適用されるような「人治国家」に外国企業が飛びつくだろうか。「戦狼外交」もさることながら、中共政府は国際基準の人権と民主化と、何よりも礼節を弁えた国家になることの方が先ではないだろうか。

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