財務省の御用を勤めて飯食って来た評論家たちの退き時が来たようだ。

自民党総裁選挙で、野党との差が見えなくなった
 総裁選挙では4人が立候補しているが、野田さんは、出馬が遅れた影響が大きく、あまり票が集まらないようである。
 高市さんは、安倍前首相の応援で票の上積みが起こり、党員票では岸田さんを抜く勢いになっているようだ。河野さんは党員票で圧倒的に優位であるとみられたが、あまりにも酷いネガティブキャンペーンで、党員票が目減りした感じを受ける。反対に、高市さんの応援団が嫌いな人も相当数いるようだ。
 ということで、どうも、河野さん、岸田さん、高市さんの三者での争いになってきたが、1回目で過半数を超える人がいないようである。

 決選投票は、1つに河野・岸田、2つに河野・高市、3つで岸田・高市の3つの組み合わせがあるが、1の場合は、高市さんの票が岸田さんに回るので、岸田優位になり、2の場合は高市さんの応援団を嫌うために、岸田さんの票が割れるので、河野さん優位になり、3の場合は、可能性としては低いと思うが、河野さんの票は岸田さんになり、岸田優位となる。
 ということで、河野・高市での決選投票となると河野さんの芽が出てくる。他では、岸田さんが優位となる。

 安倍さんの頑張りで、河野さんの芽があることになる。高市さんは河野さんより岸田さんの票を相当に食ってしまったと思える。
 年金改革など、河野さんは50歳代以下の若者を意識した政策で、若者層を狙っているが、もし、河野首相になると、野党は改革を自民党に取られてしまい、苦戦になるような気がする。というより、野党と自民党の差が見えないことが問題である。米国では、共和党の国民に干渉しない小さい政府対民主党の国民を保護する大きな政府という明確な相違点がある。
 それに比べると右派の高市さんは、まるで民主党の左派オカシオ=コルテスさんと同じ主張(MMT賛成)をして、大きな政府指向である。自民党右派は米民主党左派と同じようでトンデモ思想という感じだ。

 自民党右派は、財政再建の芽を潰し、バブル崩壊寸前の時代にその状況を酷くする人たちと見えてしまう。野党の同様であり、日本の終焉が近いように感じる。
 中国に対応するスタンスも、野党は河野さんと同じようであり、野党と与党の差がない。特に両民主党との差を見つけずらい。
 共産党との違いは、企業姿勢であるが、労働組合をバックにしている両民主党は自民党と同様である。ということで、自民党の河野さんと高市さんの違いの方が、野党と与党の差より大きい感じがする。

 共産党は、非正規社員やそれ以下の人たちを代弁するので、自民党との違いが明確である。しかし、共産党支持層が大きくないことで、政権を取れない。
 立憲民主党は、共産党と組むというが、主張の差が大きいので、労働組合は反発することになる。総裁選挙後の衆議院選挙が面白くなってきた。河野さんだと野党は大変である。岸田さんであると年金改革をぶつけることができ、若者層の票を狙える。

米中対立とTPP加盟申請
 中国と台湾がTPP加盟申請をした。その前に英国がTPP加盟申請をしている。環太平洋経済連携であるが、英国の参加で世界規模の経済連携になると見える。
 一方、米国はTPP加盟を拒否している。トランプ前大統領が米国一国主義で、保護貿易にシフトして製造業の復活を目指したからであるが、バイデン政権も同様な経済政策を継続して、米国の製造業復活を目指しているからである。その意味では米国一国主義である。

 米国内では貧富の差が開いて、その差を解消しようとしている。主に巨大IT企業への増税と規制強化、製造業復活である。それと相似形で中国も「共同富裕」という政策で、貧富の差を解消しようとしている。その取り組み方の差とは、資本主義内で取り組むバイデンと資本主義を捨てて、社会主義で取り組む習近平、同じような目標に対して、違う方法で行っている。

 この2人は同じ目標点を目指している同志である。その感覚があり、バイデン大統領は、本気に中国対決とはならないようである。中国からの裏金の匂いもする。ということで、米中対決を望んでいない。それに対して、どうも気になるのは、日本のタカ派評論家の強気な発言や高市さんの発言であり、米バイデン政権の目指している方向とは違う。尖閣への防衛は必要であるが、あくまでも防衛であり、対決を煽ることはない。

 貧富の差拡大のそもそもの原因は、米国が中国に新自由主義的資本主義を押し込んだことで、米中は、どちらも貧富の差が拡大したのである。米国は富裕層の相続税を取る方向で検討しているが、富裕層への税金が少なかったことによる。
 日本は新自由主義的資本主義を徹底しなかったことで、貧富の差は拡大したが大きな差ではなく、何とか自由貿易ができる資本主義の中での取組みで、解消を望めるレベルにいる。

 英国は、新自由主義を徹底したことで、自国産業を破壊して、製造業を外資に頼る必要があり、このため、日本などの資本と技術の出し手を求めて、TPPに加盟してくるようである。
 TPP自体が対中国戦略の中心として、米国が企画したが、ウッドロウ・ウィルソン米大統領が国際連盟を提案しながら、国際連盟に加盟しなかったように、このTPPに加盟をしていない。中国の目的は、米国が加盟しない空きに、TPPの理念を中国に有利な方向にねじ曲げることである。アジアの盟主として、環太平洋を取り仕切りたいのであろう。
 台湾は、中国が加盟すると、加盟できなくなるので急遽、加盟申請したようである。というように、TPPにをめぐる駆け引きで、世界の今後が見えてくる。そのキー・ポイントは、貧富の差の解消方法である。日本も差の解消で、年金改革や所得税の改革などを行う必要があると見えている。世界的に富裕層の冬の時代が来る予感がする。
 さあ、どうなりますか?>(以上「MAG2」より引用)



 以前MAG2に掲載された津田慶治氏(国際的、国内的な動向をリアリストに批判する批評家)の論評を批判した。今回も批判せざるを得ない、と思って書いている。
 なぜ批判せざるを得ないのか。それは津田氏の政策論が日本を衰亡へと導いているからだ。過去30年間のGDPゼロ成長の元凶が「財政緊縮論」と「構造改革」であったことに津田氏が気付いてないからだ。

 しかも自民党「右派」の財政出動政策が日本を滅ぼす、とは飛んでもな誤りだ。そもそも現代政界で「保守」対「革新」あるいは「右派」対「左派」といった対立構造は存在しない。なぜなら「右派」と自認する安倍-菅自公政権ですら「改革、改革」と叫び続けて来たではないか。総裁候補も異口同音に「改革、改革」と改革の安売り競争をしているではないか。
 津田氏が財政拡大策で日本が破綻する、と主張する論理は経済学を知らない者の妄言だ。自国通貨建ての国債は幾ら発行しても決してデフォルトしない。ただ国債発行に制限があるとすればインフレ率だけだ。それが2~3%超えない限り、決して破綻しない。

 政策で競うべきは「構造改革」の是非であり、「財政」緊縮か拡大かであり、「グローバリズム」の推進か決別か、である。第二次安倍自公政権下の七年有余で、日本のGDPが民主党政権下の1.47%よりも低い0.94%(ただし、2020年を除いての数字だ。なぜなら2020年は経済政策以外のコロナ禍でマイナスになったからだ)となっている。アベノミクスがいかにアホノミクスだったかご理解頂けるだろうか。
 なぜアホノミクスになってしまったのか、それは緊縮財政に舵を切ったからだ。公共事業費は民主党時代よりも減らされ、大学や研究機関への研究費も削減された。そうした国民の命や財産を守る国土強靭化や未来への投資を減らして、日本を衰退させたのが安倍-菅自公政権の八年有余だった。私が消費税を廃止し積極財政を展開せよ、と主張すると「財源は何処にあるのか」と反論する声が聞こえるが、「財源は経済成長」だ。確実に経済成長させる政策展開すれば、財源は自然と付いて来る。

 津田氏の根本的な誤りは「右派の高市さんは、まるで民主党の左派オカシオ=コルテスさんと同じ主張(MMT賛成)をして、大きな政府指向である。自民党右派は米民主党左派と同じようでトンデモ思想という感じだ。自民党右派は、財政再建の芽を潰し、バブル崩壊寸前の時代にその状況を酷くする人たちと見えてしまう。野党の同様であり、日本の終焉が近いように感じる」という個所に尽きる。
 日本を終焉へと導いているのが「緊縮財政論者」たちだ。消費税を10%に上げて個人消費に冷や水を浴びせ、積極的な財政出動しないでデフレ・ギャップを放置した結果が日本経済の惨憺たる現状ではないか。若者のみならず50歳以下の婚姻率が見事に低下して、少子化を招いたのが「構造改革」による非正規労働者の拡大策ではないか。

 日本を蘇らせるためには非正規・派遣労働者規制法を旧に復すことだ。同じ職場内に正規職員と非正規職員が存在して、同じような労働に従事している現状こそが「異常」だ。現在の派遣業者とかつてのタコ部屋・ピンハネヤクザと何処が異なるというのだろうか。
 労働人口の減少が経済成長のネックになる、などといった陳腐な議論に耳を傾けてはならない。労働生産性の向上こそが経済成長の原動力だからだ。必要は発明の母という、人手不足こそが労働生産性向上の原動力になる。そのことはかつての高度経済成長が慢性的な労働不足で「中卒の新卒労働者」や「高卒の新卒労働者」が「金の卵」と呼ばれて、集団就職列車で東京へ向かっていたではないか。

 産業革命とは労働生産性の飛躍的向上だった。一人が一台の織機で生産していた綿布が、蒸気機関の導入と「自動織機」の発明により、一人で百台もの織機を管理できるようになった。それまで価格で太刀打ちできなかったインド産の綿布を英国産の綿布が駆逐した。
 労働生産性の知恵を全従業員が出し合わなければ生産性向上の技術革新は生まれない。非正規社員が自らクビなる生産性の向上に力を尽くすわけがないではないか。家族主義経営を排し、45歳定年制を打ち出すバカな経営者が大きな顔をしているようでは日本企業の生産性向上は心許ない。老害と化したグローバル化経営者こそ退陣すべきだ。日本はやっと本気で緊縮財政論者の洗脳から醒めようとしている。大きな転換点を迎えようとしている。論壇で長らく財務省の御用を勤めて飯食って来た評論家たちの退き時が来たようだ。

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