中国経済の実態は「張子の虎」だ。

<中国恒大集団危機が「リーマン・モーメント」を引き起こすことを防ぐために中国政府は行動するだろうと、シティグループのアナリストらが予想した。ただ、一部の銀行は犠牲になる可能性があるとの見方を示した。

 ジュディ・チャン氏らアナリストはリポートで、「債務リスクを解決するための時間を稼ぐ目的で当局はシステム全体へのリスク波及を防ぐという最低限のラインを維持する公算が大きい」 と分析した。
 中国恒大と中国の不動産セクターの取り締まりへの懸念は今週、世界のリスク資産全体に連鎖反応を引き起こした。銀行の高リスク不動産開発業者向けローンエクスポージャーに関するシティの分析によると、中国民生銀行、平安銀行と中国光大銀行の信用リスクが最も高い>(以上「Bloomberg」より引用)



 中国最大の不動産企業がデフォルトする、という事態からニューヨーク株式市場が1,000$台の引き下げを記録し、日本の株式市場も3万円台割れを記録するなど、余波が世界を駆け巡っている。それでリーマンショック並みの景気悪化が世界を襲うのではないかとニュースが騒ぎ立てている。
 しかし、そんなことはない。もちろん中国経済はマイナスに陥るだろうが、それが世界に大きな影響を及ぼすことなどない。なぜなら、中国経済の実態は見た目以上に小さいからだ。

 しかも中国は「世界の工場」であって「世界の消費市場」ではない。確かに中国の一握りの富豪が日本に土地やマンションを買い漁っていたが、今後そうした動きは止まり、特に東京の地価の異常な高騰は一服するだろう。それはむしろ望ましいことではないだろうか。
 なぜ中国の不動産バブル崩壊の影響がそれほど世界に大きな影響を与えないとみるのか。その主たる要因は「元」がドルや円やユーロと異なりローカル・カレンシーだからだ。「元」を溜め込んだ国や投機家なら、中国の不動産バブル崩壊は一大事だが、中国「元」債権を買い込んでいる国があるとは聞いたことがない。

 もちろん中国と取引しているニューヨーク証券取引所は甚大な影響があるだろう。中国企業(その殆どは国営企業だが)の多くはニューヨーク市場から資金調達していた。しかしトランプ大統領が中国の軍需産業を証券取引所から追放し、中国の軍関係の企業までもリストを示して取引停止措置を取っていた。
 ただウォール・ストリートに巣食うDSたちは対中金融取引で巨額の利益を上げていたため、何とかして彼らの対中取引「利益構造」を維持しようと画策して、トランプ氏を大統領の座から引き摺り下ろした。だがトランプ氏もホワイトハウスを去る前に中国企業に免じていたSEC監査を実施すべきとしていたため、中国企業は撤退せざるを得ない羽目になっていた。

 そうしたトランプ氏が大統領最後の日々に果たした数々の措置が、中国経済バブル崩壊の米国への影響を最小限にしている。前任者・オバマ氏時代のDSと中国とがズブズブの関係のままだったなら、ウォール・ストリートは現在の比ではなく大騒ぎになっていただろう。
 ただウォールストリートでゴミ箱ファンドを掴まされている郵貯資金は大変なことになる可能性が高い。日本の郵貯資金が米国と中国の投機家たちの食物にされる晩餐会が始まっている。だがゴミ箱ファンドのうち郵貯資金が恒大集団にどれだけ投じられているのか判然としていない。しかし年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が中国恒大集団に対し2021年3月末時点で96.7億円を投資していたのは明らかだ。このままでは恒大集団は破綻するが、自公政権はどう責任を取るつもりだろうか。

 中共政府は不動産バブル崩壊が中国経済に深刻な影響を与えることを避けるため、何とかソフトランディングしようと腐心しているようだ。つまり恒大集団を破綻させるのではなく、整理・清算しようとしているようだ。
 もちろん中国民1,000万人が投資したという恒大集団の「理財商品」の證券は紙屑となるだろう。だが恒大集団が銀行から借入れた債務に関しては所有する不動産を売却させて全額ではないにしろ回収するだろう。恒大集団は資金回収するために所有する不動産を大幅値引きして売却しようとしたが、中共政府はそれを許さなかった。日本の不動産バブルをハードランディングさせた場合の影響が凄まじかったため、中共政府はそうさせないために不動産価格引き下げを強権で禁じている。見かけ上は中国の「総資産」はそれほどダメージを受けていないが、実態は萎んだ紙風船のようなものでしかない。つまり自由主義国家では想像すら出来ないが、統計数字に見る経済力と、実態としての中国経済とは大きく異なることを知っておく必要がある。

 引用記事では「銀行の高リスク不動産開発業者向けローンエクスポージャーに関するシティの分析によると、中国民生銀行、平安銀行と中国光大銀行の信用リスクが最も高い」としているが、自由主義国家の観念で考えてはならない。そもそも「自由市場」すらない国だ。
 Bloombergが上げた三行は、日本ならバブル崩壊時の長銀などと変わらない債務超過の状況にあるのではないか。日本では二兆円もの公的資金を注入して破綻を避け、外資へ10億円程度の格安価格で売却させて外資に大儲けさせたが、中共政府はそんなバカなことはしない。おそらく強権で銀行破綻を回避し、輪転機をフル回転させて「元」を増刷するだろう。貨幣価値が下落しようと、中共政府は気にしないだろう。中国では国民の暮らしよりも、まずは国家体制維持が優先されるからだ。

 それにしてもDSたちは飛んでもない優遇策を中国に施していたものだ。米国に株式上場している企業に勤務した経験者ならSEC監査がいかに厳しいものか、ご存知のはずだ。国内の監査法人による法定監査などとは比較にならない厳格さだ。
 そのSEC監査を株式上場している中国企業には免除していたとは驚く。一般投資家に対する犯罪ではないだろうか。ニューヨーク株式市場が続落するようなら、損失を被った株主たちが証券会社を提訴するに違いない。これまではDSは中共政府とテーブルの下で手を握っていたが、儲けさせてくれなくなった相手は、もはや友人ではない。損害を与える迷惑な他人だ。ズブズブの関係が終わればどうなるか、日本のバブル後に国際投機家たちが日本を食い物にしていることから推して知るべきではないか。

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