四人の対中観を見る。

<自民党総裁選の4候補は17日、中国による環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟の正式申請に言及した。河野太郎規制改革相と岸田文雄氏、高市早苗氏は同意に慎重な姿勢を示した。

 共同記者会見で岸田氏は「中国が高いレベルの要求をこなすことができるか見る必要がある」、高市氏は「ほかに関係国もいるので議論しなければならない」と述べた。野田聖子幹事長代行は「(中国の対応)レベルを確認し、世界経済の安定のため前向きに検討すべきだ」と話した。
 河野氏はテレビ東京番組で「今の中国の様々な貿易ルールではTPP加盟条件を満たすことはできない」と語った>(以上「日経新聞」より引用)



 TPP参加表明した中国に対する、総裁候補四人の見解が掲載されていた。短い記事だが四人の対中観と国際感覚が良く解る。
 岸田氏の「中国が高いレベルの要求をこなすことができるか見る必要がある」発言は尤ものようだが、今更「見る必要」などないのは明白ではないか。中国が「高いレベルの要求」をこなすことなど出来ないし、こなそうとしないで彼らの要求を通すべく画策するだけだ。

 高市氏の「ほかに関係国もいるので議論しなければならない」は言語道断だ。日本の「首相となったら」という判断能力を訊かれているのに、他の関係国もいるから「相談」しなければならないとは当事者能力を自ら放棄しているに等しい。TPP加盟国中最大の経済力を有し、盟主としてTPPの未来を担っているなら、自由主義世界に入り込んで「破壊」しようと企む中国を排除すべきが当然ではないか。
 野田氏の「(中国の対応)レベルを確認し、世界経済の安定のため前向きに検討すべきだ」とは能天気というしかない。世界経済の安定を破壊し「世界の工場」たる役目を逆手に取って医療物資サプライを意図的に止めた昨年の「マスク騒動」を野田氏は忘れたのだろうか。「唯我独尊」的な発想しかしない中国をTPPの輪に入れるのは11ヶ国の協調体制を破壊するもとだ。しかも日本は米国、印国、豪州の四ヶ国でクアッド体制を構築して、海洋進出を図る中国を大陸へ封じ込めようとしている「責任者」だ、という現状分析すら瞬時に出来ないようでは、たとえ短期間といえども日本の首相を任せられる人物ではない。

 四人のうちで最も正鵠を得た回答をしているのは河野氏だ。「今の中国の様々な貿易ルールではTPP加盟条件を満たすことはできない」と切って捨てた政治感覚はマトモだ。国内に於いても「株を売却してはならない」と株式市場に介入し、「不動産を廉価販売してはならない」と不動産の自由販売を禁じるなどは「自由経済」とは相容れない。
 もちろん対外経済政策でも経済弱小国に過剰投資して債務返済不履行を理由に港湾や空港を99年租借するなど「前近代的国家間契約」を押し付ける悪辣さは「国際ルール」を守る国の所業とは到底思えない。しかもたとえ関税撤廃しても国内で国営企業に投じている補助金などで製品価格を引き下げてダンピングを平気で行う国だということは鉄鋼製品などで身に沁みているはずだ。

 対中発言で解釈の余地の残る発言など、決してしてはならない。日本人相手の遠慮した曖昧な発言は未来に大きな禍根を残すだけだ。尖閣問題を棚上げしよう、と日本を訪問した鄧小平氏が発言したが、日本は曖昧に微笑んでいただけだった。それが現在の尖閣諸島に中国が付け入る隙を与えてしまった。
 なぜ即座に「尖閣諸島に未解決な領土問題などない」と時の政府は切って捨てなかったのだろうか。もちろん鄧小平氏は機嫌を損ねるだろうが、そんなことなど気にしてはいけない。それが外交というものだ。世間の近所付き合いと一緒にしてはならない。

 TPPは貿易ルールは勿論のこと、国内ルールも国際基準にしなければならない。中共政府にそうしたことは出来ないではないか、と民間企業を「強制的」に国家支配下に置こうとしている習近平氏の「国進民退」政策を批判すべきだ。
 そんな社会主義然とした計画経済を推し進める中国へ進出しようとする日本企業が未だにあることに言葉を失う。しかも最先端の個体電池を含む電気自動車工場を中国に新設するというから開いた口が塞がらない。もちろんトヨタのことだ。トヨタの経営者は気でも狂ったか、と批判せざるを得ない。

 国際感覚とは英語を喋ることではない。英語に堪能なボンクラも沢山いる。国家間関係を冷静に判断できる能力のことだ。

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