アフガニスタンに必要な支援は。

<国連は13日、スイス・ジュネーブで、武装勢力タリバンが掌握したアフガニスタンへの人道支援について協議する会合を開き、各国は合わせて10億ドル(約1100億円)以上を拠出すると表明した。国連はアフガンに「大惨事が迫っている」と警告していた。 13日の会合には、国連の高官をはじめ、赤十字社などの支援団体や各国政府が参加した。
 国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、数十年にわたる戦争と苦しみを経て、「おそらく彼ら(アフガンの人々)にとって最も危険な時」がやってきたと述べた。 そして、同国の貧困率は「急上昇」し、公共サービスは崩壊寸前だとした。 「冬が近づく中、多くの人の食料が今月末までに尽きる可能性がある」と、グテーレス氏は警告した。 国連は数百万人に対して「重要な救済」をもたらすためとして、6億600万ドル(約666億4700万円)の支援を呼び掛けていた。 

■3分の1はWFPに 国連によると、各国が拠出する資金の約3分の1は世界食糧計画(WFP)が使う予定。
 WFPは先に、多くのアフガン人には十分な食料を得るのに必要な現金がないとしていた。 WFPのアンシア・ウェッブ氏は「食料の在庫が底をつかないよう、我々は文字通り懇願し、借金をしている」とロイター通信に述べた。 国連はタリバンに対し、支援者に自由なアクセスを与えるよう求めている。 先月にタリバンがアフガンを制圧する以前から、55万人以上が戦闘で家を追われていた。 現在は推定350万人がアフガン国内で避難生活を送っている。アフガンの人々は深刻な干ばつにも対処しなければならない。 

■人権問題は 会合では、支援の約束のほかに、タリバンによる虐待行為に対する懸念が示された。 
 国連のミシェル・バチェレ人権高等弁務官は、タリバンが人権に関する公約を反故にしていると非難。タリバン戦闘員がアフガンの元当局者の家宅捜索を行っているという「複数の」証言を挙げ、女性についても公的な生活から「徐々に排除されている」と指摘した。 BBCは、北東部パンジシール州でのタリバンと抵抗勢力との戦闘で、少なくとも20人の民間人が殺害されたことを突き止めた。 ドイツのハイコ・マース外相は声明で、基本的権利の尊重が、「開発援助の可能性を含め、アフガニスタン新政府との今後の関わりを決定する(中略)基準」になるとした。 一方、 国連のフィリッポ・グランディ難民高等弁務官は、「アフガンの深刻な人道的ニーズを評価するため」、13日にカブールに到着したとツイートした。 

■パキスタンの特別便で避難 タリバンが先月15日にカブールを制圧して以降、数千もの人々が国外へ逃れている。 
 13日にはパキスタンからの特別便がカブールに到着し、首都イスラマバードまで人々を運んだ。 35歳の避難者はAFP通信に対し、「女性が自由に働き、移動できる状況になるまで、ここには戻らない」と述べた。 こうした中、タリバン共同創設者でアフガン新政権の暫定副首相のアブドゥル・ガニ・バラダル師が死亡したとの話がソーシャルメディアで広まったが、バラダル師とされる音声が公表された。 音声による声明は、「私は旅に出ていた」、「私がこの瞬間どこにいようとも、私の兄弟や友人はみな元気だ」としている。 BBCは、タリバンの多数の公式サイトに掲載されているこの音声が本人のものか確認できていない>(以上「BBC news」より引用)




 アフガニスタンは652,225平方キロメートル(日本の約1.7倍)の面積を有し、3,890万人(2020年 世界人口白書)の国民が住んでいる。民族はパシュトゥン人、タジク人、ハザラ人、ウズベク人等でダリー語、パシュトー語(公用語)が用いられている。宗教はイスラム教(主にスンニ派であるが、ハザラ人はシーア派)となっている。
 経済はGDPが192.9億ドル(2019年 世界銀行)で国民一人当たりGNIは530ドルで、国民は貧困状態にある。主要産業としてはサービス産業、農業、建設業、鉱業・採石業等(2018年 アフガニスタン統計年鑑)だが、総貿易額に(輸出) 8.75億ドル(輸入) 74.06億ドル(2018年 アフガニスタン統計年鑑)とあるように、輸入が大きく超過している。

 その輸入超過の主たる要因は輸入別割合は食品(31%)、石油(13%)、機械類(11%)、金属類(8%)等とあるように、食糧輸入が31%を占めているからだ。それに対して輸出はドライフルーツ(35%)、薬草(15%)、果物(11%)、鉱物(11%)、野菜(8%)等(2018年 アフガニスタン統計年鑑)などとなっている。
 現在はガニ大統領政権が倒れて国内は混乱状態に陥っているが、混乱以前ですら「2020年の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年の経済成長率は1.9%減(世銀)となり、2021年に人道支援を必要とする人口は1,840万人に上ると見込まれる(2021年1月国連OCHA)等、国内経済は引き続き非常に厳しい状況にある」と日本政府外務省のホームページにあるように、国民の約半数が人道的支援を必要とする極貧状態にあった。

 アフガニスタンに対して日本など先進国は支援してきたが、物資や食糧支援などはアフガニスタン政府内で横領・着服や横流しが横行して、国民に行き渡っていなかった。タリバン政権下のアフガニスタンに援助物資を送っても、タリバンに私物化されるのがオチで、極貧状態の国民らに行き渡らないのは目に見えている。
 しかし、それでも人道支援は続けなければならない。ただそれだけでは米国が20年間も盗賊集団タリバンを政権から追放して、傀儡政権を樹立させて民主的な国家に移行させようとした努力はすべて無駄だったことになる。なぜ尊い米国兵の命が「無駄」のために失われたのか、喪失感が深い。

 アフガニスタンを支援するのに物資の援助だけでは駄目だ。それは長年の支援にも拘わらず、国民が極貧状態から脱却できていないことから明らかだ。アフガニスタンに必要なのは農業支援や産業支援といったアフガニスタン国民の「生活基盤」を築くことだ。
 そのためには男女を問わず、国民への教育普及が何よりも急がれる。タリバンが「イスラム教の範囲」で女性の人権を認める、などと嘯いているが、それは詭弁でしかない。イスラム教が認めて来た一夫多妻制そのものを廃止すべきだ。一人の経済力のある男性が多くの女性を妻に出来る、というのは女性の人権を無視した悪弊でしかない。そうした考えが女性の教育の機会を奪い、就職の自由を奪っている。

 アフガニスタン3890万人国民の350万人が難民と化しているとは驚くべきだ。彼らの悲惨な状況を招いたのは国連の責任でもある。なぜならアフガニスタンに軍を派遣したのは国連常任理事国だからだ。そして今も触手を伸ばしているのは常任理事国の一角を占める中共政府の中国だ。
 国連は「戦勝国クラブ」だが、いつまで「戦争ごっこ」に明け暮れて、人の命を弄べば気が済むのだろうか。タリバンが殺人強盗集団だから討伐した、という米国の理屈も理解できるが、討伐した後に、なぜアフガニスタンが自立できる国になるように、全土に義務教育機関を設置して国民教育に意を用い、そしてアフガニスタン国民が生活の糧を得られるように農業支援や産業支援を積極的に行わなかったのだろうか。食糧支援や支援物資を続けるだけではアフガニスタンの農業を破壊し、産業を破壊するだけだ。アフガニスタンに必要なのは日韓併合時に日本政府が行った政策だ。

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