デフレ経済からの大転換を図る財源は「経済成長」だ。

<前国家公安委員長の小此木八郎氏(56)は22日夜、横浜市長選での落選が決まり、政界を引退する意向を明らかにした。横浜市中区の事務所で記者団の取材に応じ、「もう選挙には立候補しない。どのような形で生まれたまち横浜に貢献できるかを考えたい」と述べた。

 小此木氏はこの日、午後8時すぎに落選が報じられたことを受け、菅義偉首相(衆院神奈川2区)に携帯電話で「ありがとうございました」と、支援への感謝を伝えた。首相からは「ご苦労さま」とメールで連絡があったという。
  小此木氏は大学を卒業後、父の故小此木彦三郎衆院議員の秘書を経て、1993年の衆院選で初当選し、自民党県連会長などを歴任。横浜市長選に出馬するため、7月に衆院議員を辞職していた>(以上「神奈川新聞社」より引用)



 昨日投開票が行われた横浜市長選で野党が推す山中竹晴氏が506,392票を獲得して当選した。野党は欣喜雀躍しているようだが、自民党は二候補による分裂選挙になった小此木八郎氏の325,946票と林文子氏の196,926票を合計すれば僅かながら上回っている。
 欣喜雀躍するような状態ではないし、横浜市議会は定数86の内、林文子市長時代に与党を形成していた自民系36と公明16で圧倒的過半数を占めている。山中新市長は巨大野党が立ちはだかる議会でいかなる運営を行うべきか、困難に直面することになる。

 喜びに沸き返る野党は市長選の争点だったIRとコロナ対策が国政選挙でも有効だとでも考えているのだろうか。もちろんIR反対を標榜しつつ、実は小此木氏はIR隠れ推進派だと公然と知れ渡り、有権者を欺く選挙制度を蔑ろにする「選挙手法」は厳しく批判されるべきだ。
 安倍自公政権が目論んだIRによる地域経済の浮揚策、という愚策は断じて許されるべきではない。リゾート型カジノとは何事だ。そんな博奕推進策で経済成長を目論むような国に日本は成り下がったのだろうか。

 しかし多くの有権者はIRに反対でコロナ対策に関して無能・無策な行政にウンザリしているのは間違いないとしても、それだけで自民系候補に「ノー」を突き付けたのではないだろう。やはり日本全体を覆っている経済成長なき「失われた30年」に閉塞感を覚えているからではないか。
 バブルに湧いた「夢」から醒めて、日本は堅実な財政運営と制度改革すべきとの国民的合意(コンセンサス)を得て、闇雲に「構造改革」路線を突っ走った。その「構造改革」で何が起きたか、結果が明らかになり国民の多くが知るまで30年もの歳月が必要だったようだ。

 「構造改革」により「自己責任」が厳しく問われる野放図な「自由競争」が促進された。同じ仕事を同じ現場で行っているにも拘らず、雇用形態が異なる正規社員と非正規社員の格差が出現し、世界を席巻したグローバリズムによる「国際分業」が企業経営者の「常識」となり、それを中共政府に懐柔された親中派議員が政策面で後押しする、という格好で生産部門の中国移転がブームとなって、国内雇用が空洞化し労働賃金が「後進国並み」に抑制され国民が貧困化した。
 山中氏の勝利には国民がヒシヒシと感じている「衰退する日本」の閉塞感が根底にあったのではないか。その閉塞感を打破する経済成長がIRだというのでは「違うだろう」と誰でも思うに違いない。そんなインバウンドや博奕に頼った「まちづくり」など間違っている。それこそバブル以前の黴の生えた発想でしかない。

 まず暗雲のように垂れこめたデフレ経済からの脱却こそが喫緊の課題だ。その元凶は「プライマリバランス」を叫ぶ財務省と、「国民一人当たり「国の借金」は○○万円だ」と宣伝して来たマスメディアだ。断っておくが日本は借金大国ではない。世界随一の純資産国だ。
 巨額国債残は「政府」の借金で、それはいわゆる「借金」とは異なり、国民との「貸借関係」の「記録」でしかない。つまり「政府の借金」は「国民の資産」という関係だ。そうした貨幣論すら理解しない愚かな政治家連中が国会で財務官僚に洗脳されてバカバカしいプライマリー・バランス論などを振り翳して、日本国民を貧困化へ突き落し続けている。貨幣発行権を有する国家財政を「家計簿」になぞらえるプロパガンダをテレビなどで実演して来たNHKや多くの解説者など、日本を衰退させる陰謀者たちでしかない。

 財務省の幇間化した評論家たちは貨幣発行は日銀だけだと考えているのだろう。それなら異次元金融緩和により日銀が数百兆円もの貨幣を発行しているにも拘らず、市中流通貨幣がダブつかないのに疑問を持たないのだろうか。
 日銀が発行する貨幣は全市中流通貨幣の半分にも満たない。残りの貨幣は市中銀行が発行している。それは経済学で「万年筆マネー」と呼ばれるものだ。銀行が企業などに貸し出すに際して銀行小切手に金額を書いた瞬間に貨幣が発行されたことになるから、「万年筆マネー」と呼ばれている。バブル当時は日銀の貨幣発行は200兆円未満とそれほどでもなかったが、市中銀行の「貸出残」が500兆円を超えていた。現在は日銀の貨幣発行残は350兆円ほどだが、市中銀行の貸付残はそれを下回っている。つまりバブル当時と比較して市中流通貨幣量は少ないから、貨幣のダブつき感はないしインフレも起きていない。

 そうした基本的な知識を備えた上で、政治家は政治を行うべきだ。IRとかコロナ対策で自公政権が躓いているから「チャンス」だと欣喜雀躍するとは愚かそのものだ。
 まずデフレギャップを埋める即効性の財政出動を行うと同時に、遅効性の経済成長促進策をまとめて打ち出すべきだ。海外移転した企業の国内回帰を促進する強力な支援策や、国内企業の技術開発や研究開発費などへの「投資減税」を大規模に行うべきだ。そしてコロナで痛めつけられた飲食や観光などに対してはコロナ終息を条件に「交際費経費算入」を実施すべきだ。

 国民に対しては経済成長による「所得倍増」を約束し、国土の強靭化と少子対策に個人所得補償を含む抜本策を打ち出すべきだ。もちろん消費税は廃止し、それらすべての政策の財源は経済成長だと回答すれば良い。

このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。