「張子のトラ」を「猫」に手懐けよ。

<《わが国固有の領土、尖閣諸島周辺の領海へ、中国公船が侵入を繰り返している。海上保安庁は懸命に守ってきたが、政府は「遺憾」であると口先だけの抗議を行うだけだ》

 尖閣諸島は歴史上も国際法上も、まぎれもなく日本の領土です。中国の領土であったことなど一度もありません。それなのに日本政府は、事なかれ主義に終始し、自衛隊の駐屯どころか、公務員1人常駐させられないでいるのです。

 偽装漁民が先か、軍隊なのか、は分かりませんが、中国はいつか、尖閣に人員を上陸させるかもしれませんよ。そのときに日本のトップは国土防衛のためにすぐさま自衛隊の出動を命令できるでしょうか? 新型コロナウイルス禍や東京五輪などをめぐる対応でもリーダーシップを発揮できず、野党などの抗議に右往左往している姿を見ていると、どうも、そんな毅然(きぜん)とした対応を取れるとは思えません。

 結局は、「米軍頼み」なのでしょう。確かに、現在のバイデン大統領は、日米安保条約で共同防衛義務をうたった第5条の適用範囲内に「尖閣諸島が含まれる」ことを明言しています。ただし、それは尖閣諸島が日本の施政下にあることが前提です。日本は尖閣諸島を実効支配してきましたが、現状はかなり危うい。国際社会が果たして認めてくれるかどうか。

《この問題の解決をめぐって、日本は少なくとも2度チャンスを逃した、という》

 1回目は1972(昭和47)年の日中国交正常化交渉のときです。このとき、当時の田中角栄首相と会談した中国首相の周恩来(しゅう・おんらい)は、尖閣問題について「今は話したくない」と言いました。国交正常化を急いだのは国際社会で孤立していた中国なのです。日本にとっては、あわてて正常化しなければならない理由などなかった。ならば、田中首相は「(尖閣諸島への)領有権主張を引っ込めよ。そうでなければ、正常化交渉はやめる」と、席を蹴って帰ればよかったのです。

 2回目は78(昭和53)年、中国の最高権力者、鄧小平(とう・しょうへい)が来日したとき。このときも困っていたのは中国です。鄧小平が進めていた改革開放政策のために、日本と平和友好条約を結び、日本からの政府開発援助(ODA)と先端技術を欲しがった。ノドから手が出るほどに…。
 ところが、日本政府は鄧小平が打ち出した、尖閣問題の〝棚上げ論〟を受け入れてしまう。この問題にケリをつけるチャンスを自ら放棄してしまったのです。日本政府は国家の根幹である領土問題を軽く見ているといわれても仕方がない。国際社会の常識からすれば、到底、信じられない行動ですよ。

《尖閣問題で今後、中国はどう動くのか。日本はどう備えればいいのか》

 中国にとっては、まず台湾でしょう。習近平国家主席は自信過剰の独裁者で、国際社会から何を言われようが、聞く耳を持っていない。いちかばちかの行動(台湾侵攻)に出る可能性はあると思っています。そのときの米軍の動き次第では、次は尖閣を取りに来るでしょう。
 日本はどうするか? 政府というよりも「日本人の覚悟」が問われることになる。中国と一戦を交えても領土を守りたいのか、そうではないのか? そういう覚悟です >(以上「産経新聞」より引用)



 引用した記事は産経新聞記者が石平氏にインタビューしたものだ。改めて言うまでもなく、石平氏は中国出身で日本へ留学し、現在は日本国籍に帰化し評論家として活躍されている。
 石平氏は日本の「お人好し」を心配する。中国人の「面子」に拘る「厚かましさ」に、日本人の「お人好し」は通用しない、と批判する。キチッと筋を通さなければ、中国人の「厚かましさ」らやられてしまうと心配している。

 話し合いの際に、少しでも齟齬を感じたら即座に否定すべきだ。鄧小平氏が「(尖閣の)領土問題は棚上げして、子孫に解決を任せよう」と提案した際に、日本政府はキッパリと「(尖閣に)領土問題はありません。日本古来の領土です」と答えるべきだった、と指摘する。そうした石平氏の指摘に、私は全面的に賛成だ。
 たった1mmでも隙を与えれば、彼らはその隙間にカナ梃子を差し込んで、1mmの隙間を大きくしてしまう。まさに尖閣諸島がそうだ。彼らとにこやかに話していても、話の内容に全力で注視していなければならない。そうしないと1mmの隙を与えてしまう。

 石垣市が尖閣諸島を石垣市に地籍変更したことから、道標を設置したいと国に申し出ている。高さ1m余りの小さなものだが、それらを尖閣諸島の島々に立てようとしている。
 石垣市としては当たり前の行為をしようとしているが、国がいかなる返答をするのだろうか。これまで何度か国内の団体が尖閣諸島周辺で漁業をするために石垣島から出港しようとして海保に止められている。国は「触らぬ神に祟りなし」の態度で尖閣問題に臨んでいるようだが、中国相手に日本の格言は通用しない。

 「和を以て貴しとなす」という日本の格言も、中国相手には通用しない。中国は争いを求めて軍拡に乗り出している。彼らは戦争も辞さじ、との態度で強気に出ているが、中国の国内事情は強気に出られる状況でない。
 今日このブログで福島香織氏の評論を取り上げたが、福島氏が評した通り中国経済はボロボロだ。軍拡どころの騒ぎではない。つい先日も習近平氏は強気の態度を崩さず「台湾進攻は俺がやる」と「北戴河会議」で叫んで老人たちを黙らせたそうだが、人民解放軍をすべて習近平氏が掌握しているようではない。彼らの多くは米軍との戦争は避けたいと考えているという。

 米軍はアフガニスタンから「急遽」撤兵した。なぜか。習近平氏が「北戴河会議」で叫んだ情報がペンタゴンに入ったからではないか。二方面で軍事展開している場合ではない、と米軍は判断したのではないか。
 中共政府は「腰抜け米軍がアフガニスタン人を輸送機から振り落としながら、慌てて撤退している」と、あの映像を国内で繰り返しテレビ放映しているようだが、それが対中戦争に備えるためだと知ったなら青褪めるだろう。

 日本政府は対中姿勢を強行にして、1mmも隙を与えてはならない。もちろん机の下で中国が「話し合おう」と接触して来たなら拒否してはならないが、報道陣の前で中国政府報道官が強気の発言をするたびに、日本政府は厳しく反論すべきだ。そして対中デカップリングを日本政府は他諸国の先頭に立って推進すべきだ。
 経済を締め上げれば中共政府は大人しくならざるを得ない。なぜなら二百万人を超える人民解放軍を養い、最新兵器を揃えるための予算が枯渇するからだ。中国の軍拡も実態は「張子のトラ」でしかない。トラを猫に手懐けるのも日本の出方次第だ。ゆめゆめ親中対話などに逃げてはならない。

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