「自宅療養」とは患者を自宅に「遺棄」しているに等しい。

<東京都は濃厚接触者や感染経路を詳しく調べる「積極的疫学調査」を縮小する方針を各保健所に通知した(10日付)。重症化リスクの高い高齢者施設や医療機関の調査を優先させる。保健所の負担が軽減される半面、陽性者の発見はおろそかになる。この先、「隠れ陽性」と「死後のコロナ判明」が激増する恐れがある。

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 新型コロナウイルスの感染拡大を止めるには、陽性者の行動歴をさかのぼり、濃厚接触者を特定するのが必須だ。積極的疫学調査を縮小すれば、隠れ陽性者が野放しになり、際限なく感染が広がるリスクが高まる。
 一方、表向きの数値は改善する。追わなければ、新規感染者数は積み上がらないからだ。例えば、感染拡大が深刻な川崎市では保健所業務が逼迫し、濃厚接触者を追い切れていない。
「保健所業務が追い付かず、区によっては同居家族の濃厚接触者もPCR検査をできない場合があります。しっかり検査をできていれば、感染者数は増え、陽性率も上がるでしょう」(川崎市感染症対策課)
 同居家族は典型的な濃厚接触者だ。感染力の強いデルタ株(インド株)の登場以降、同居家族が「陽性」になる確率は大幅に高まっている。ところが、川崎のようにPCR検査が実施されなければ、同居家族は陽性者にはなり得ず、市が発表する新規感染者数にはカウントされないのである。療養者数も増えず、自宅療養者数の増加や入院率の悪化にも“歯止め”がかかったように見えるのだ。

新規感染者数などの数値改善は“見せかけの減少”に
 都の調査縮小も見た目の“数値改善”の効果がありそうだ。西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。
「積極的疫学調査の縮小により、一見、新規感染者数などの数値が改善されたように見えても、水面下で感染拡大は進行します。検査を受けられなかった潜在陽性者に対する治療もできなくなり、死後、コロナの陽性が判明するケースが増えてもおかしくありません」

 都は今年1月の第3波で保健所業務が逼迫し、1月22日から「調査縮小」に踏み切った。この時は新規感染者数のピークは過ぎ、減少傾向に転じていた。第5波はいつピークアウトするのか分からない。調査縮小により、数値と実態がかけ離れれば、第5波の全貌も把握できなくなる。
「検査余力はあるはずです。小池知事は調査縮小ではなく、検査拡充を行い、実態を直視すべきです。調査縮小では、後々、大きなツケが都民に回ってくるだけです」(中原英臣氏)
 都は1日あたりのPCR等の検査能力を通常時7万件、最大稼働時9万7000件確保しているが、足元の検査数は1万~1万5000人程度にとどまっている。
 小池知事は16日、「縮小ではない。効率を上げるという意味だ」と言い繕った。トリックに引っかかってはならない>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)



 かねてからこのブログで日本のPCR検査数の絶対数の少なさに警鐘を鳴らしてきた。感染対策の大原則は「検査と隔離」だということは不変だ。PCR検査が100%の確率で陽性判定が出るのではないが、それでも無症状感染者を野放しにしないで、陽性患者を洗い出すのには役立つ。
 記事で「東京都は濃厚接触者や感染経路を詳しく調べる「積極的疫学調査」を縮小する方針を各保健所に通知した」とあるが、それは武漢肺炎の蔓延を「放置する」ことでしかない。地下でうごめくモグラを放置して、穴から顔を出したモグラを叩く「モグラ叩き」に武漢肺炎ウィルスをしてしまう。

 「積極的疫学調査」を縮小することは空港閉鎖や防疫検査態勢を厳しくする必要もなくなる、ということだ。つまり武漢肺炎ウィルスと共存する姿勢に転じる、ということだ。菅氏は否定したそうだが、武漢肺炎をインフルエンザなどと同様に感染病五類へ格下げしようと政府・厚労省が検討している、という噂は本当だったのか。
 菅自公政権は何を考えているのだろうか。政治は「国民の命と財産を守る」ことが第一義的使命だ。感染爆発して一日当たり2万人も新規患者が発生している今こそ「感染経路」を徹底して洗う必要がある。そして「検査と隔離」を徹底して行うことしか感染症対策はない。そうした原則すら理解していないのではないか、と政府・厚労省を疑わざるを得ない。

 インフルエンザには飲み薬としてタミフル・ゾフルーザ、吸入薬としてはリレンザ・イナビル、点滴としてはラピアクタといった特効薬がある。だから五類にして対応しても構わないが、武漢肺炎に関してはコレといった特効薬はない。「治療薬」として数種の薬が使用されているだけで、劇的に症状を改善する特効薬は未だない。
 だから武漢肺炎に関しては「罹患しない」ことが万全の対策だ。罹患しないためには感染源と接触しないことだ。だから感染経路を洗って感染源を突き止める必要がある。「検査余力はあるはずです。小池知事は調査縮小ではなく、検査拡充を行い、実態を直視すべきです。調査縮小では、後々、大きなツケが都民に回ってくるだけです」と中原英臣氏(感染症学)は声を上げている。専門家の意見にこそ門外漢の政治家は耳を傾けるべきだ。

 最も怖いのは「調査縮小により、数値と実態がかけ離れれば、第5波の全貌も把握できなくなる」という点だ。かねてから私は検査総数と新規感染患者数の両方を報道しないと正確な感染状況は判断できない、と指摘してきた。なぜなら新規感染患者数を減らそうと思えば検査数を減らせば良いからだ。
 実態を知らずして、いかなる有効な対策が打てるのだろうか。小池氏はバカな言い訳をしていないで一日も早く「野戦病院」を複数設置して、ウィルス株ごとに感染患者を分けて収容し、都内の「自宅療養」患者を全員収容することだ。そうしないと「自宅療養」している患者の家族が感染の危険にさらされるだけでなく、地域に広まる可能性すらある。「自宅療養」は断じて療養ではない。それは「自宅」へ患者を遺棄しているだけだ。

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