北方領土は「四島一括返還」が大原則だ。

<外務省の森健良事務次官は26日、ロシアのミシュスチン首相の北方領土・択捉島訪問を受け、ガルージン駐日大使を同省に呼び、強く抗議した。北方四島での日ロ共同経済活動をめぐり、プーチン大統領が言及した新たな提案についても日本政府は「中身が判明しなければコメントできない」と慎重な見方が支配的だ。

 茂木敏充外相は同日出した談話で、北方領土訪問について「日本国民の感情を傷つけるもので極めて遺憾だ」と指摘。「平和条約締結交渉の進展に向け、建設的に対応するよう強く求める」とロシア側に促した。
 北方領土訪問と同じタイミングでプーチン氏が共同経済活動に関する新提案を出してきたことにも政府は「いつものやり方だ」(同省幹部)と、硬軟両様のロシア側の対応に懐疑的だ。加藤勝信官房長官は「わが国は法的立場を害さないことを前提とし、ロシア側との協議を精力的に行ってきた。今回のプーチン氏の発言は留意している」と述べるにとどめた。
 菅政権は新型コロナウイルス対応もあり、平和条約交渉を進める機運に乏しいのが現状。対面での会談は首脳同士はおろか、外相会談も行われていない。
 領土交渉をめぐる環境は悪化の一途をたどっている。ロシアは2020年7月の憲法改正で「領土割譲禁止」条項を明記。プーチン氏は日ロ関係発展に意欲を示しつつ、「憲法に反することはしない」と述べ、引き渡しに否定的立場を示す。今年6月にロシア軍が北方領土で演習を行ったり、7月には国後島海域で射撃訓練を行うと通告したり、軍事拠点化も進んでいる。
 ガルージン大使は日本政府の抗議後、記者団に「南クリール諸島(北方領土)に関するロシアの基本的立場に照らして受け入れられない」と従来のロシア側の主張で反論した>(以上「時事通信」より引用)




 日本が対ロ政策として実施して来たすべての「真意」が微塵もロシア側に伝わっていない。日本政府が北方領土に関係して開発援助や協力して来たすべてを、ロシア側は北方領土のロシア化に利用しロシア領土として頑なに日本の要求を拒絶してきた。
 何度もこのブログで書いてきたが、北方領土は疑う余地のない「日本領土」だ。ロシアは終戦直前になって、突如として日ソ不可侵条約を一方的に破棄して日本領へ攻め込んだ。それですら「二国間条約」に悖る行為だ。

 しかも連合国と日本がポツダム宣言に基づく「降伏」を受諾した1945年8月15日以後も旧・ソ連は千島列島から北方領土へかけての進軍を止めず、武装解除したそれらの列島を次々と占領していった。
 もちろん進駐と占領は異なる。進駐とは「他国の領土に進軍し、そこにとどまること」であり、(軍事)占領とは「 戦争または事変に際し、他国の領土を軍事力をもって占領すること」だ。ポツダム宣言受諾後の日本に旧・ソ連軍が「進駐」したのなら理解できる。しかし国際ルールに則った宣言受諾後の日本領を軍事占領するとはルール違反も甚だしい。国際ルールに依らない軍事侵攻だから、私はロシアを「火事場泥棒」だと批判している。

 プーチン氏は一旦は「四島返還」に言及していた。しかし相手が組みやすい安倍氏の時代に足元を読んで「二島先行返還論」をムネオハウスで有名な鈴木氏に言わしめ、さらに「北方領土は戦利品であり、返還することはあり得ない」という姿勢に転じてしまった。
 北方領土交渉の主な経緯は「ゴルバチョフ大統領の訪日(1991年4月)」に際しての「日ソ共同声明において、ソ連側は、四島の名前を具体的に書き、領土画定の問題の存在を初めて文書で認め」さらに「エリツィン大統領の訪日(1993年10月)」に際して「(1)東京宣言(第2項)において、(イ)領土問題を、北方四島の帰属に関する問題であると位置付け、
 (ロ)四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結し、両国関係を完全に正常化するとの手順を明確化し、(ハ)領土問題を、1)歴史的・法的事実に立脚し、2)両国の間で合意の上作成された諸文書、及び、3)法と正義の原則を基礎として解決する、との明確な交渉指針を示した」。そうした前進を見せた時もあったが、それらは一様にロシアが経済的に逼塞し、日本の援助が喉から手が出るほど欲しい時だった。

 つまり日本の援助をうまく引き出すときのカードとして北方領土を利用しただけだ。彼らが日本と真摯に向き合おうとしたことは一瞬たりともない。つまり「上手く出し抜く」ことだけを考えて行動してきた、と日本政府は腹を括るべきだ。
 そうではない、というのなら旧・ソ連から続くロシア政府の申し送りとしてプーチン氏は四島返還についてエリツィン時代の東京宣言を引き継ぎ、それを交渉の起点とすべきだった。もちろん安倍氏も一歩たりとも退いてはならなかった。

 「ロシアは2020年7月の憲法改正で「領土割譲禁止」条項を明記」したというが、それこそ噴飯モノだ。「火事場泥棒」で奪った地を「領土」だと認定することは、ロシア国は泥棒国家だと認定したことに他ならない。プーチン氏はなんと愚かな憲法を制定してしまったのだろうか。
 今後、日本政府はロシアを「火事場泥棒」を働く泥棒国家だと認定した上で、すべての交渉に臨むことだ。もちろん「互恵主義」も対ロ関係に限っては適用することがあってはならない。日ロ国交を断絶しても構わないし、北方領土返還を具体的な行動として徐々に拡大することも考えるべきだ。その偉大な師匠として尖閣諸島を狙う中共政府がある。最終的には北方領土を海上封鎖してロシア国民の北方領土からの撤退を促すことだ。彼らも銃口を向けて北方領土で平和に暮らしていた日本国民1万5千人を強制退去させたように。

 そうした「泥棒」に対処する警務官の態度で処す他に、いかなる対処法があるというのだろうか。ロシアでは義務教育で「北方領土は先の大戦で勝利した戦利品だ」とロシア国民に教えている。そうした国民が「北方領土を返還すべきだ」と自発的に考えるようになるのを待つのは絶望的ではないだろうか。

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