崩壊する習近平体制。

<予想以上の状況の変化や体制崩壊につながる要素はたくさんある。持続不可能な統治モデル、高水準の債務、誇張されたイデオロギーの宣伝と現実社会の間に横たわる内在的で克服できない矛盾、市場と国家の両立できない二重所有システム、貧富の差の格差拡大、継続する汚職、それに後継者を巡る激しい内部の権力闘争などだ。

 いまや中国の企業家は金儲けにについて何も語らない。誰もが関心を抱いているのは自分の安全だ。自分の生計を守るために、中国を脱出して資産を海外に移す手段がある人は、とっくにそうしている。金持ちや逃げられる人はもう逃げている。後に何が残ったか。赤い党エリートと移民の手段など持ち合わせていない膨大な数の貧しい人々である。
 残っているのは、そんな二種類のグループだけだ。逃げられる人は、みんなとっくに逃げた。そんな国に希望はあるだろうか。ない。

中国社債不履行2兆円、上期最高企業の信用揺らぐ
 低格付け社債の利回り10%台で、中国社債の債務不履行(デフォルト)が増加の一途を辿っている。2021年1~6月のデフォルト額は約2兆円と、上期として過去最高額を記録した。
 海外投資家も警戒感を強め、外貨建ての低格付け債の資金調達への悪影響が広がれば景気の重荷になりかねない。>(以上「週刊現代」より引用)




 引用した記事は米スタンフォード大教授・蔡霞氏の「中国共産党の目から見た米中関係」と題する論評からのものだ。蔡霞氏は2012年まで中共中央党校で党建教研部教授として活躍していたが、トップリーダーに対する公の批判を出した後、2020年8月17日にCCPから追放され米国へ亡命した。
 蔡霞氏は「紅二代」のバリバリの体制内の研究者だった。しかし習近平氏が登場するや中共政府のあり方を批判する姿勢に転じた。奇しくも彼女が教授を退任した年は習近平氏が主席に就任した年だった。

 党建教研部教授として彼女は中共内部から中国を見て来た。彼女が退任する前後の中国は経済成長の最盛期で、年率10%近い発展を遂げていた。ただ腐敗も著しい発展を遂げていて、官吏たちは袖の下が常識化していた。
 だが、習近平氏の登場を機にして、経済成長は鈍化の一途を辿るようになった。目標に「保八」と掲げて「経済成長8%」を死守すべきと檄を飛ばしたのは彼の二期目に入った頃の2018年だった。しかし世界の平均成長率3%前後の三倍近い「経済成長8%」を維持できるはずもなく、現在では6%成長を堅持する、と全人代で発表するようになっている。しかし、それも嘘っ八で、中国経済の実態は成長どころかマイナスに陥っているのではないだろうか。

 かつて「ヤオハン」や「ダイエー」など日本のスーパーが中国の「消費」に目を付けて中国で店舗展開を図ったが、それらは失敗して撤退した。当然といえば、極めて当然の結果だ。なぜなら中国民の大半は貧困状態にあるからだ。
 かつて中国民の9割は農民だった。都市戸籍のある者は極めて限られていた。だから改革開放で都市労働者が不足すると「農民工」と称する出稼ぎが都市へと流れ込んだ。しかし彼らはあくまでも「農民工」であって、都市戸籍の民になれるわけではない。

 中国民の格差は戸籍による「差別」が原点だ。貧困問題は戸籍差別に起因している。原理的な差別は一般中国民と中共党員とにもある。中共(中国共産党)は憲法の上に君臨している。憲法が権力者を縛らない国など存在してはならないが、中共幹部たちはそうした国の成り立ちすら理解してないようだ。
 そして決定的なのは経済が崩壊へと向かっていることだ。引用論文で蔡霞氏がしてきしているように、中国の大企業が相次いでデフォルトしている。近くは中華紫光集団が破産したが、中国内不動産業者第三位の恒産集団が破産したのも「不動産投資経済」の終焉を告げる象徴的な出来事だった。

 国と地方政府の累積赤字は1京円に迫っているといわれる。巨額資金を中国に貸し込んでいるのはウォールストリートのDSたちだ。その資金の出所は日銀の異次元金融緩和で増刷された「日本円」だ。株高でマスメディアが日本国民を囃し立てている間にも、米国のDSたちは濡れ手に粟で中国企業(その殆どが中国営企業であり、人民解放軍支配下の企業だ)に投資して利ザヤを稼いでいる。
 米国FRBは来年にも金利を引き上げて、金融緩和策から「出口戦略」を実施しようとしている。ババ抜き・ゲームから米国は撤退して、最後に「ババ札」を日本に引かせるつもりのようだし、日銀や日本政府はそれを了承しているフシがある。米国ウォールストリートで「ゴミ箱ファンド」と揶揄されている「郵貯」の資金運用担当者たちは、一日も早く「ゴミ箱」から卒業すべきだ。350兆円もの日本の富を「ゴミ箱」に投じて失うには、あまりに巨額過ぎはしないか。そして政府も「株ゲーム」に投じている年金基金を引き上げる潮時を誤ってはならない。少しばかり素人に儲けさせるのはイカサマ師が使う常套手段だ。

 蔡霞氏の中共は「張り子のトラ」だという比喩は全く同感だ。ガタイばかり大きいが、中身は空洞で何もない。ベーキングパウダーで膨らまして膨張して大きくなっているが、中身の外国企業が撤退したり、外国投機家たちが投機資金を引き揚げたら、アッという間に中国経済は萎んで、元の「農本経済」の中国という小麦粉を練った状態に戻るだろう。
 たとえ中国内のすべての外国企業を接収して製造を維持したとしても、その製品を買う消費市場が中国内には限られている。6億人の国民が月収千元(1万4千円)以下の貧困状態にあるからだ。しかも失業率が上昇しているから事態は今後とも悪化していくだろう。

 習近平氏が中国民を救う手立てがあるとすれば、彼が速やかに退陣して中国共産党を解党し、対外姿勢を改めるべきだ。もちろん核兵器を廃絶して軍拡路線を放棄し、政治体制を民主制度へと転換し、平和国家を目指すと世界に宣言することだ。そうした大改革のみが中国民を救う唯一の道だ。

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