ここでも習近平氏は正念場だ。

<中国政府は29日、中部で発生した洪水をめぐり、英BBCが「フェイクニュース」を報道しており、中国人に不人気なのは当然だと非難した。
 BBCは、洪水を取材した記者がネット上で激しい批判を受け、別のメディアも現地で嫌がらせを受けていると指摘し、「外国人記者を危険にさらす攻撃が続いている」と述べた。

 これに対し、中国外務省の趙立堅報道官は29日、BBCを「フェイクニュース放送局」と呼び、「中国を攻撃して中傷し、ジャーナリズムの基準を大きく逸脱している」と非難した。
 さらに、BBCが「中国国民に不人気」なのは当然で、「理由のない憎しみなど存在しない」と述べた。

 発端は、中国共産党の青年組織である河南共産主義青年団が27日、ソーシャルメディアで、BBCの記者の動向を追跡するようフォロワー160万人に呼び掛けたことだった。
 この投稿をきっかけに、愛国主義的なネットユーザーがBBCの記者に殺害予告をする事態となった。
 中国外国人記者クラブは声明で、河南省鄭州市で取材中の記者が怒れる地元民に囲まれてつかみかかられ、中国人アシスタントには「脅迫メッセージ」が届いたと述べた。
 さらに、「中国共産党に属する組織の発言が、中国で活動する外国人記者の身体的安全を直接危険にさらし、自由な報道を妨げている」と訴えた。
 AFPの記者も浸水したトンネルの取材中、鄭州の住民に映像を削除するよう迫られ、男性数十人に囲まれた>(以上「時事通信」より引用)




 中共政府の中国に報道の自由が存在しているのかが問われている。それは中国内の報道機関(中国の報道機関はすべて国営だ)に報道の自由が存在しないのは内政問題だとしても、外国の特派員に対しても「報道制限」を行っているのは由々しき問題だ。
 その証拠は鄭州へ洪水の取材で入ったBBC記者に対して、市民を名乗る人たちに囲まれて罵声を浴びせられたりした。もちろん、記者と雖も自由に中国内を移動することは出来ず、事前に当局へ「取材申請」を行い、当局からつけられた「案内人」の指示に従って移動するしかない。

 当局が付けた「案内人」はもちろん公務員だったり、あるいは人民解放軍の軍人であったりして、記者を監視するためにつける。そうすることにより国内の報道機関のみならず、外国記者に対しても情報統制を行っている。
 当局発表ではいかなる甚大な災害でも被害者数は30人台を超えないのが暗黙の了解だった。鄭州の京広トンネルが水没した現場だけでも6,000人を超える死者が出たことに対しても、犠牲者は20人前後だと未だに当局は大嘘を吐いている。しかし一般市民を騙すことは困難で、中国では初七日に魂があの世へ行くのを献花して送る風習があるため、京広トンネルの入り口に犠牲者の親族が献花する花が山のようになっていた。

 看中国(ニューヨークに本社を置く看中国株式会社 が運営する他言語メディアで「看中国」とは中国語で「中国を見る」という意味)では、「救援に参加していたレッカー車の運転手の話によると、4キロ以上ある上下6車線ある高速道路の「京広トンネル」内で6300人以上の遺体が発見されており、その数はまだ増え続けている」と報じている。
 同じく看中国によると「23日昼、インターネット上の情報によると、大量の軍隊が同日正午から京広トンネルに次々と到着したという。ネットユーザーは、大量の軍用車両と兵士の写真を投稿し、「今日、中国共産党軍は鄭州京広トンネルを占拠した。公式には、軍隊に引き継がれた目的はトンネルの清掃であると主張していた。しかし、清掃用機械を持ってこなかった、素手でトンネルを清掃するのか? 明らかに、軍の任務は、トンネルで亡くなった人の遺体を移動させ、トンネルでの死亡者数のニュースを封じることだ」と報じた。

 いかに当局が厳しく情報統制しようと中国のネットユーザーは当局の摘発と懲罰を逃れて国外へ情報発信している。京広トンネルは鄭州の中心部と郊外を結ぶ高速道路のトンネルで、市街地の地下に造られている。つまり巨大な「アンダーパス」であるため、洪水時には水没する危険性が常にあった。
 そうした高速道路の「アンダーパス」では出入り口に監視カメラや表示板や警報機などや防水壁が設置してあって、降水量が想定した基準を越えたら水没する危険性がある判断して、掲示板で伝えて進入を止め、トンネル内の自動車を速やかに出して防水壁で出入り口を塞ぐようになっている。当然そうした施設が京広トンネルにも設置してあったはずだ。それを機能させなかったのは当局の責任だが、責任を取らないためには事実を隠蔽するしかない。だから滑稽なほどの情報統制を行っているのだろう。

 時事通信によると「AFPの記者も浸水したトンネルの取材中、鄭州の住民に映像を削除するよう迫られ、男性数十人に囲まれた」という。おそらくAFPの記者を囲んだのも当局の関係者ではないか。
 だが、こうしたバカバカしい情報統制がいつまで続けられると地方政府当局及び中共政府は考えているのだろうか。国際舞台で指導的立場を熱心に求めている習近平氏が国際機関から後ろ指をさされる報道の自由を保障しない中国であってはならない、といつになったら気付くのだろうか。取材を妨害されたBBCやAFPの記者たちのみならず、BBCやAFP本社が黙っているとは思えない。報道の自由を保障しない国家の元首が国際舞台で支持を集めた例はない。

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