追い詰められる習近平氏。

<北京の天安門広場で行われた中国共産党創建100年の祝賀大会で、習近平党総書記(国家主席)は1人だけ人民服姿で登場するなど、建国の父、毛沢東と並び立つ演出が目立った。対外的に強硬姿勢を打ち出し、歴史的指導者としての地位を強調する習氏だが、国際投資アナリストの大原浩氏は寄稿で、「習氏は毛沢東にはなれない」と明言、国際社会における中国の厳しい実態を指摘する。

 習政権の「中華=俺は世界の中心だ」と言わんばかりのふるまいはエスカレートしているが、それほどの「実力」があるのか疑問である。大本営ならぬ「共産党発表」の経済統計が信用できないのと同じように、習氏が語る共産主義中国も巨象ならぬ虚像のように思える。
 核戦力において米国やロシアが6000発水準なのに対して、中国は300発前後にとどまることは以前にも述べた。

 英シンクタンク「国際戦略研究所(IISS)」が15カ国のサイバー能力を分析した報告書で「第1級」のトップクラスとされたのは米国のみだ。中国はオーストラリア、フランス、ロシア、英国などとともに「第2級」に分類された。
 ちなみに、よく話題になる北朝鮮は、日本、インドやインドネシア、イランなどと同じ「第3級」である。日本の現状は悲しい限りだが、中国や北朝鮮が実力以上の脅威ととらえられるのは、サイバー攻撃を受けても「だんまり」を決め込むから実態が知られないだけだといえる。

 台湾や日本海、南シナ海での「有事」の可能性について中国が強気の姿勢を崩さないのは「毛沢東2世」を目指す習氏の国内向けアピールの側面が強いと考える。
 しかし、習氏は毛沢東のようになれるのであろうか。
 毛沢東は西側推計で8000万人を死に追いやったとしてヒトラーやスターリンと比較される存在だが、特定の民族に対しての攻撃という批判はない。それに対して現在のウイグル問題はジェノサイド(民族大量虐殺)と非難されており、習氏に対する西側の評価はより厳しいともいえる。
 意外に思われるかもしれないが、毛沢東は「国際政治」に抜群のセンスを持っていた。それを端的に示すのが1962年の中印国境紛争である。
 人民解放軍は圧勝し、インドは大混乱になったのだが、大方の予想に反して毛沢東は撤収を命じて元の国境線まで戻った。しかも、インド兵の捕虜に人道的な扱いをした上で武器も返還し、その様子をニュースフィルムに収めて世界に配信した。「同じ発展途上国を侵略した許しがたい国」として、西側全てを敵に回す愚を避けたのだ。

 71年7月のニクソン訪中宣言も、毛沢東の政治手腕の見事さを示した。同年4月、名古屋市で行われた世界卓球選手権において、米国選手団の1人が誤って中国選手団のバスに乗り込んだ「事件」をきっかけに始まったピンポン外交は、偶然の産物ではある。しかし、偶然をチャンスに変える体制を整えていたから「米中国交回復」という果実を得ることができたのだ。
 また、毛沢東自身は「奥の院」から出てこず、代わりにルックスがよく知性と教養を感じさせ、日本を含む世界で人気があった周恩来を広告塔として使いこなした。現在の習政権に、周に相当する人物は見当たらない。

 香港問題は人権も大きな要素だが「英国との一国二制度を50年間守るとの約束を破った」ことが決定的なマイナスだ。国際政治において「約束を守らない」という評価を受けることがどれほどのダメージになるかは、韓国を見ればよくわかる。
 結局、太子党(共産党高級幹部の子弟)のボンボンは、農民階級からはい上がってきた毛沢東に迫ることはできないし、過去数十年間「豊かさと自由を知った国民」を押さえつけるのは無理だと思える>(以上「夕刊フジ」より引用)




 習近平氏が毛沢東になれるのか、という議論はどうでも良い。ただ毛沢東は貧しい中国の現実を打開するために、北朝鮮で血みどろの戦いを演じた米国と握手した。少なくとも、毛沢東にはそうした度量があった。
 一方、習近平氏はどうだろうか。残虐さは毛沢東に劣らないが、知恵という面では遥かに劣る。現状認識でも、毛沢東が当時のソ連を利用して国力を涵養した知恵と比べ、習近平氏は鄧小平が「韜光養晦」を「改革開放」という衣の下に隠して、日本をはじめとする西洋先進国から技術と投資を中国へ呼び込んだ成果に胡坐をかいているだけだ。

 大原浩氏(国際投資アナリスト)も上記記事で習近平氏は毛沢東になれないと断じている。いずれにせよ、中共の歴史は中国民と少数民族の大虐殺の歴史でもある。習近平氏も中共の歴史を踏襲するかのように、中国民を大量に逮捕し中共幹部を粛正してきた。
 権力を維持するために、習近平氏は恐怖政治の「恐怖土」をレベルアップしている。国民に対しては「総監視社会」を構築し、五人以上の集会を禁じている。もちろん宗教も禁じ、通信の自由も奪っている。

 それらはすべて習近平体制の脆弱性の裏返しではないだろうか。党創設100周年記念の数日前にもクーデター計画が露見して、軍人や党員など300人が逮捕されたという。習近平氏は毎晩のように寝床をかえているといわれている。日々の動静も秘され、マスメディアに登場する時以外は、何処にいるか極めて小数の者しか知らないという。
 中国民を締め付けるために、少数民族を標的にしてジェノサイドを実施する様はヒトラーの手法と同じだと、大原氏も評しているが、まさしくその通りだろう。国民を支配力を強め一人残らず統制するために、犠牲者が必要なのだ。そして国民に対してもパスポートを取り上げ、外国とのネットを遮断し、国内通信をすべて検閲する「狂気の沙汰」を演じている。

 しかし一度自由な空気を吸った者に、恐怖政治や徹底した統制も効かない。一度信仰生活を経験した者から信仰心を根こそぎ奪い取ることは出来ない。
 「改革開放」で中共は先進自由主義国へ多くの国民を「派遣」した。知的財産を「剽窃」する必要から実施した政策だが、自由な国で暮らせば「自由」な空気を必ず呼吸し、自由とは何かを知って帰国する。そうした国民が一定割合を超えると、中共の一党独裁は自然崩壊するのではないか。危険水位を超えたダムが決壊するように。

 大原氏の「過去数十年間「豊かさと自由を知った国民」を押さえつけるのは無理だと思える」という結論に同意する。そして既に中共の国民を閉じ込める「ダム」は決壊の危険水位を越えようとしているようだ。
 狂気そのものというべき、中共の台湾進攻を日本が邪魔したなら日本を核攻撃する、という主張は、実は国民に向けられた究極の「恐怖」でしかない。それほどまで、習近平氏は追い詰められている。

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