スマートハイウェイで先行する中国。

<中国は、急速な成長によって、既存のインフラに新技術を統合させるという意味において、世界でもっとも高度な柔軟性を持つ国となりつつある。機関や組織が比較的新しいため、中国では現在の、または将来実現する可能性のある技術を容易に受け入れることができるのだ。自律走行車両とそのための基準が現実化し始め、その技術を支えるためのインフラを、どのようにしたら適切に整備できるのかが考えられるようになった。そこに中国の成功のチャンスがある。変化に強いメカニズムを持ち、こうした新技術を大規模に組み入れる能力があるからだ。そこで、全世界の未来のインフラ計画の基準となるスマートハイウェイやスマート道路が確立されるのだ。

スマートハイウェイとは何か? なぜそれが必要なのか?
「スマートハイウェイ」という言葉の定義は定まっていないが、一般的には、交通用に使われている現在の道路に新しい技術を組み込むものと理解されている。たとえば、統合される技術の一部を挙げるなら、ソーラーパネルから電力を得る機能や、自律走行車両、センサー、構造物保全のための監視システムだ。スマートハイウェイは、各国々における輸送システムの屋台骨としてひとつの機能を提供しているハイウェイを、電力供給、安全のための機能、ドライバーと交通行政の双方に重要なデータを提供するといった付加価値をもたらすインフラに進化させる可能性がある。

Teslaの「オートパイロット」モードで事故を起こし人が亡くなった事件や、Uberの自律走行車両の試験運転中に歩行者を死なせてしまった事件があったが、スマートハイウェイなら安全性を高めるメカニズムを備えられる。自律走行車両とスマートハイウェイのセンサーとソフトウエアが組み合わされたなら、問題を特定して対策することができるはずだ。リアルタイムでフィードバックを送り、安全機能が働いて事故を予防する。少なくとも、ドライバーの怪我を軽減させることが可能だ。ドライバーに単純なコマンドを出すといった程度のことではない。それではヒューマンエラーを誘発しかねない恐れが残る。スマートハイウェイなら、スマートな車両と、センサーや路上に設備された技術を結びつけることで、ドライバーが運転困難な状況に陥った場合でも、完全に安全に対処するさまざまな手段を講じることが可能になる。

自律走行車が世界中に登場しだすと
スマートハイウェイの構想が世界中に広がった

 自律走行車が世界中に登場しだすと、スマートハイウェイの構想が世界中に広がった。それに加えて、世界の電力消費量は拡大しており、2040年には電力需要は25パーセント以上高まると予想されている。同時に、化石燃料の消費量は減少し、再生可能エネルギー源の需要が高まる。その点、スマートハイウェイなら、地球上に張り巡らされた長大な道路を無駄なく利用できる。その広大な土地を二重に活用すれば、道路設備だけでなく、周辺の街や都市や、発電所にまでも電力を供給できる可能性がある。スマートハイウェイは持続可能なエネルギーの成長の機会を代表するものだ。重要な設備に電力を供給するだけでなく、その上を走る電気自動車の充電も可能になるだろう。

 スマートハイウェイから集められたデータは、都市計画のための統計データとして大いに役立つ。交通の効率化や車両による環境汚染の低減などに寄与するだろう。スマートハイウェイがもたらす恩恵の一例として、車線の合流や高速道路の出入り口といった特異な場所における車の流れのリアルタイム分析が考えられる。それは、交通のボトルネックにおいて車両の停時間をできる限り短縮する、道路を最適化の研究に役立つ。

 自律走行車両やその他のスマート技術が登場し、そうしたイノベーションを十分に統合して活用しようと思えば、スマートハイウェイが必然であることは単純な理屈だ。これは人の命を救うツールであり、ドライバーや歩行者の安全を守り、クリーンエネルギーの消費を増やし、持続可能性を高めるものだ。さらに、都市計画、道路計画、交通計画にも貢献する。

スマートハイウェイに使える製品は存在するのか?
 スマートハイウェイの部材開発の試みは、数多く行われている。とくに、ソーラー道路やスマート交通インフラに特化した技術研究が多い。その多くは、良い結果と悪い結果の両方を生み出しており、さまざまな問題に直面している。その問題の代表は、実質的な発電効率とコストだ。

 2014年10月、オランダはSolaRoad実験プロジェクトを立ち上げ、70メートルの自転車専用道路を建設した。このプロジェクトでは、最初の年で1万キロワット毎時に近い驚くべき発電量を記録した。そこからいくつものプロジェクトが派生し、2019年には交通量の多い道路での実験も予定されている。しかし、このプロジェクトはあくまでもソーラー道路に的を絞ったものであり、周辺地域に再生可能エネルギーを供給するといった、総合的なソーラーハイウェイを目指すものではない。
 2016年9月、アイダホ州に本社を置くSolar Roadwaysは、アイダホ州サンディーポイントに14平方メートル近い道路を建設した。ところが、同社から米運輸省への報告書によると、「発電した電力の3分の1が、埋め込まれたLEDの点灯に使われた」とのことだった。これは発電効率に多大な影響を与え、6カ月間の発電量はわずか52.39キロワット毎時という結果を招いた。これがアメリカ国内の他のソーラー道路計画に波紋を広げ、ミズーリ州は、2017年にコンウェイ近くで予定していた計画を中止した。Solar Roadwaysが訴えていた「数々の複雑な行政手続の問題」も原因している。このプロジェクトは、エネルギー生産という点において、コストが高く発電効率は比較的低いという印象を多くの人たちに植え付けてしまった。

 2016年12月、Hannah Solarとジョージア州交通省の出資によるWattwayを利用した50平方メートルのソーラーロードを建設し、The Rayが設立された。The Rayは、ジョージア州トループ郡を通る州間高速道路85号線の30キロメートルにのぼる部分をスマートハイウェイ化した。そこには電気自動車の充電ステーション、タイヤの安全確認ステーション、そしてもちろんソーラーロードを備えられ、現在もっとも充実したスマートハイウェイになっている。
 さらに、2016年12月、フランスは、Colasというフランスの企業と合同で、およそ1キロメートルのソーラー道路をオープンした。しかし残念ながら、期待に応えることはできなかった。当初の見積もりでは1日あたり1万7963キロワット毎時の電力を生むはずだったのだが、実際には409キロワット毎時しか発電できなかったのだ。この建設と維持のためにフランス政府は数百万ユーロを費やしており、すでにソーラーパネルの5パーセントが破損して交換が必要な状態になっているという。

 このように、世界中で行われているスマートハイウェイの試みには、限定的な成功しか収められないものもある。費用、官僚的な行政手続き、実質発電量、持続可能性など、こうしたプロジェクトの成功と失敗を分ける要素は、数多く存在する。

なぜ中国なのか:
インフラ建設の実績、施工の早さ、安定した製造能力

 先進国に仲間入りしたい発展途上国である中国ならではの事情により、スマート技術には多大なる導入の好機が与えられている。「モバイル第一」の考え方が、デスクトップ型パソコンを持たない何億もの人々のインターネット利用を推進している中国は、新技術をいち早く、比較的効率的に実用化する能力を示している。そのため、本格的なスマートハイウェイを世界でもっとも早く建設できる国が中国である可能性は非常に高い。しかも中国は、独自のインフラ環境を持ち、新技術の導入に関しては行政手続が比較的柔軟であり、製造とサプライチェーンの基盤が強固で洗練されている。

 中国東部の山東省にPavenergyとQilu Transportationが建設し、2017年12月にオープンしたソーラー道路は、5875平方メートルという規模で、現在、世界でもっとも長い。今回の場合、中国の道路は固いコンクリート舗装なので、薄いソーラーセルを敷き詰めるのに都合がよかった。アスファルト舗装を採用しているアメリカのハイウェイと異なる点だ。この中国特有のインフラ環境は、ソーラー技術の比較的容易な施工を可能にしている。

 さらに中国人は、昔から道路建設に長け、経験も豊富だ。中国国内の長大なハイウェイ網のみならず、中南米やアフリカでも数多くの道路建設を行なっている。そこに、インフラ建設の仕事が早いという評判も加わる。57階建の高層ビルを19日間で建てた建設会社の記録もあれば、わずか9時間で鉄道の駅を作ったという記録もある。こうした他に類を見ないインフラ建設技術を考えると、世界初の本格的スマートハイウェイを建設するには、中国が理想的な場所と言える。

スマートハイウェイの建設においては
中国の製造業の力も成功の鍵となる

 新技術の導入とイノベーションに関しては比較的柔軟な中国の行政手続も、中国が世界で初めてのスマートハイウェイを作る議論を後押しするだろう。中国では、モバイル第一の考え方が根付いている。2017年のモバイル端末によるインターネットの契約数は11億件だった(同時期のアメリカの契約件数のほぼ2倍)。中国人消費者は、コンピューターでよりも、携帯電話で買い物をすることが多いのも事実だ。中国政府も、モバイル第一技術のインフラ整備に積極的な役割を果たしている。

 ドローンの場合も、中国の民間航空局は、ドローン使用に関する明確なガイドラインと規制内容を2016年に発表している。西欧諸国のドローン利用に関するルールがまったく統一されていないのと対照的だ。国、州、郡、市などに独自のルールがあり、混乱するばかりか矛盾することすらある。この2つの事例から、いかにして中国が、新技術を国中に急速に普及させているかがわかる。しかも中国政府には、先を読み、新技術をいち早く取り入れる力がある。

 スマートハイウェイの建設においては、中国の製造業の力も成功の鍵となる。その強力な製造能力は、一般向けの製品からiPhoneのような高級品の組み立て、そして今や、安価で発電効率の高いソーラーパネルの開発にいたるまで、数多くの成功を招いてきた。中国のサプライチェーンも驚くほど洗練されている。中国の工場は、製品の最初の部品を、わずか数キロ離れた工場から取り寄せたり、毎日数百万単位のパケケージを出荷したりと、最初から最後までが最適化されている。この圧倒的な効率化により、スマートハイウェイの鍵となる部品は中国の主要産業に成長した。現在、すべてのソーラーパネルのおよそ70パーセントが中国製だ。

 さらに、中国はソーラー発電量でも世界をリードしている。2018年の最初の月だけで、新規のソーラー発電能力として34.5ギガワットが追加された。これは2017年の中国全体のソーラー発電量の53パーセントにあたり、2016年の全世界のソーラー発電量の50パーセントを上回る数値だ。中国でのソーラーパネルの大量生産能力は、中国のソーラー道路の大きな支えになっており、地方で素早く生産されたソーラーパネルが即座に地元の道路に、やがてはスマートハイウェイに設置できる形を作っている。群を抜く製造能力と発達したサプライチェーンを持つ中国こそ、世界初の本格的スマートハイウェイの建設場所になる可能性が高い。

 しかし中国は、世界初のスマートハイウェイ建設のもっとも可能性が高いというだけではない。独特なインフラ環境、新技術をいち早く導入できる仕組み、世界に君臨する製造力とサプライチェーンを有するという、環境的にも最高の条件を整えている。

結論
 自律走行車両の登場によりスマートハイウェイの構想が世界に広がり、より安全で効率的なドライブ環境を整備するためのセンサー、ソーラーパネル、ソフトウエアなど、あらゆる技術が投入されるようになった。ドバイでは、新技術の開発と既存のスマート技術を現在の交通システムに統合する計画を発表した。中国は、世界初ではないが、世界初のなかのひとつとして、浙江省の東部に161キロメートルのスマート道路を建設する計画を発表した。センサーと「車両のインターネット」とソーラーパネルを活用して、自律走行トラックのための安全機能を整えるという。

 中国では、スマートハイウェイの主要部材であるソーラーパネルのイノベーションも進行しており、有機薄膜太陽電池で変換効率17.3パーセントを記録している。そのようなわけで、世界初の本格的スマートハイウェイは、スマート技術と既存の交通インフラをフルに統合する道を先導する形で、中国に建設されると結論づけることができる>(以上「TechCrunch Japan」より引用)




 何年前だったか、このブログで「自動運転車」を提唱したことがある。それは悲惨な交通事故を防ぐには自動車の操舵から速度調節まで、すべてを「不安定」な人に委ねていることが交通事故の原因だからだ。
 他の工業製品で人命に係わる事故が起きたなら大問題になる。たとえば洗濯機を使っていて、丸まった洗濯物に手を突っ込んで指がちぎれる、という事故が起きただけで、洗濯機が稼働中に洗濯機の蓋を開けたら自動停止するようになった。それが自動車だけは年間4,000人死のうが、一向に工業製品の安全性を抜本的に見直そうとしないのはなぜか、と疑問を呈した。

 それで、せめて追突だけでも回避すべき追突防止装置の設置を提唱し、その後にスバルで「アイサイト」が製品化された。そして自動運転に関しても、各社でレーダー搭載車などから白線を認識する装置を搭載した自動運転の試作車が造られるようになった。
 しかし、日本の自動運転が道路の白線認識装置を搭載し「画像認識」による方式に異を唱えた。それは「白泉」が確実に認識できる状態で道路上に引かれているとはいえないからだ。極めて不確実な白線を画像認識装置で認識できなければ自動運転は出来なくなる。そうした代物に人命を託すことは出来ない。私は道路上にICチップを埋め込んだ「中央管理センター」による自動運転方式にすべきと提唱したことがあった。

 そして中国がスマートハイウェイを開発しているとの報に接して、日本をはじめ欧米諸国は「出し抜かれた」との危機感を覚えた。中国のスマートハイウェイ構想は自動運転のみならず自動給電まで道路で行おうとしている。そして燃費の良い運行方法として「隊列走行」を行うようにハイウェー上の走行車を一定間隔の隊列を組んで走行するよう、中央コントロールでコントロールしようとしている。
 中共政府は「浙江省の東部に161キロメートルのスマート道路を建設する計画を発表した」という。行く行くは上海-北京間1,214.3 kmにスマートハイウェイを建設し、将来構想としてシルクロードをスマートハイウェイにするという。

 中国がやろうとしているスマートハイウェイに目新しい技術が必要なわけではない。日本が中国に輸出した新幹線技術の内の「自動列車制御装置」のシステムを少しばかり手を加えて改良すれば出来るだろう。道路充電装置も非接触型充電機の技術を応用すれば不可能な話ではない。操舵角を決めるには一つのICデータではなく、直近から複数のICデータを自動車積載のマイコンが複数のICチップとデータのやり取りして、適宜舵角を決定すれば良い。
 スマートハイウェイに革新的な技術が必要ではないため、中国は現状技術でも十分に対応可能だろう。だからこそ、安穏としていてはいけない。なぜならスマートハイウェイが未来の道路の「標準」となるとしたら、スマートハイウェイの道路規格を中国が独占することになりかねないし、スマートハイウェイを走る自動車にしても、中国規格の特許に従わざるを得なくなる可能性が高いからだ。そればかりではない、スマートハイウェイを走行するすべての自動車情報を中共政府に握られることになる。考えるだけでゾッとする。

 中国はスマートハイウェイの沿線各地にメガソーラを建設して、それを「発電所」として給電しようとしている。それも新しい技術が必要なわけではない。日本が教えた太陽光パネルの技術を応用しているだけだ。
 自由主義諸国が結束して、スマートハイウェイ構想を「世界標準」で開発すべきだ。そこには特許の勝者も敗者もない、人類の文化財として誰でも自由に使えるようにすべきだ。かつて日本人のOS開発者たちは無料のS開発を目指していた。OSのないPCなぞ電子回路の詰まった箱に過ぎない。だから箱がPCとして機能するのに必要なOSはセットとして発売されるべきで、だれでも無料で利用できるものでなければならない、という理念で開発を行っていた。しかし日本政府は突如としてwindowsの国内標準使用を決めてしまった。なんと馬鹿なことをしてしまったのだろうか。それにより高価にしてノロくバグ塗れのOSを延々と使う羽目になっている。二度と同じことを繰り返してはならない。日本政府はスマートハイウェイの開発を先進諸国会議で提唱すべきだ。

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