「環境に良い」という人に共通するのはカネ勘定だ。

<ユーグレナは藻の一種のミドリムシからつくる航空機向け燃料を2020年までに実用化する。1日、ミドリムシから搾った油を燃料に精製する国内初の設備を横浜市に建設すると発表した。藻を原料とするバイオ燃料は環境負荷の抑制につながるため、大手企業も研究を始めている。クリーンエネルギーは世界の空に羽ばたけるのか。
「これが飛行機にそのまま入れられるミドリムシからつくったジェット燃料です」。羽田空港で開いた記者会見。ユーグレナの出雲充社長は小瓶を掲げた。ミドリムシから搾った油を米国で精製した液体の組成は石油を原料とするジェット燃料のケロシンと同じだ。

 精製設備は18年前半の稼働を予定。米石油大手のシェブロンから技術供与を受け、ジェット燃料の認証を取得できる実証プラントにする。投資額は約30億円。年間125キロリットルを燃料をつくる計画だ。設備の建設や燃料の実用化、原料の調達で千代田化工建設、全日本空輸、いすゞ自動車、伊藤忠エネクスと連携する。
 記者会見で全日空の殿元清司専務は「実証プラントでつくる燃料を混合し、実際のフライトで使う」と述べた。すべての燃料を航空機に振り向ければ、10%の割合で混合する場合、羽田―大阪国際(伊丹)空港間を毎週1往復できるという。
「革新的技術で世界に貢献する」。出雲社長の念頭にあるのは国際民間航空機関(ICAO)の環境目標だ。20年以降、二酸化炭素(CO2)の排出量を増やさないためにはどうするか。生育段階でCO2を吸収する植物を原料とするため、燃やしてもCO2の総量が増えないことになるバイオ燃料は注目を集める。

 実用化への最大の課題は石油由来のジェット燃料の10倍程度とされる価格をどう下げるか。高価なままでは航空会社にとっては負担がかさむことになり、航空運賃に跳ね返る懸念もある。実証設備での精製コストについて、1日の記者会見では明らかにしなかった。商用段階では「既存の化石燃料由来のジェット燃料と競争力のある価格を目指す」という出雲社長は20年以降、一気に量産体制を敷く構想を描く。実証設備の400倍以上の規模の商用プラントを建設し、ミドリムシの培養でも海外に大規模な拠点を設ける方向で検討している。

 民間調査会社の富士経済(東京・中央)の試算によると、30年の航空機向けバイオ燃料の世界需要は11兆8808億円と12年の16倍に膨らむ見通しだ。巨大な市場に商機を探るのはユーグレナだけではない。IHIやJパワー、DICなども藻の培養技術の研究を進めている。ただ、精製設備の建設に踏み出すユーグレナが一歩抜きんでていることは間違いない。
 ユーグレナのプラントはミドリムシ以外の藻から搾った油や食用油の廃油でもバイオ燃料を精製できる。単独で確保できるミドリムシの量がバイオ燃料の安定供給には心もとないためだ。他社が研究する藻の油も原料に取り込み、「オールジャパンのバイオジェット燃料にする」。出雲社長は期待を込める>(以上「日経新聞」より引用)




 いつの時代でもお調子者はいるものだ。ミドリムシから光合成でつくる航空機向け燃料を使用するから「環境負荷の抑制につながる」として大々的にホンダジェットを使ったプレゼンテーションに打って出た。
 確かにユーグレナという海藻が空気中のCO2を光合成でCO2化合油脂を合成し、それを精製してジェット燃料として使えば「環境負荷の抑制につながる」という理屈だという。しかし、それは短期的な「物質循環」であって、珊瑚などの動物の死骸の油脂などが地層内に貯蔵され原油となり、それを掘削して精製して各種石油化学原料として使用しているのと「時間的なスケール」が異なるだけで、物質循環という意味では全く同じだ。

 「これが飛行機にそのまま入れられるミドリムシからつくったジェット燃料です」と得意満面に羽田空港で開いた記者会見で、ユーグレナの出雲充社長は小瓶を掲げた、と記事にある。しかし出雲氏は短期的な「物質循環」由来のジェット燃料を提示しただけで、数万年の時を経た原油という「物質循環」と全く同じことだということに気付いてないようだ。
 「環境」を標榜する人達にこの手合いが多い。環境のために木を植林する、というのも全く同じ発想だ。大気中のCO2を植物に吸収されるから「環境」にとって良いことで、それを伐採して消費しても環境に対する負荷とはならない、という理屈のようだ。しかしそれは古代(数千万年~数億年前)の植物が完全に腐敗分解する前に地中に埋もれ、そこで長い期間地熱や地圧をうけて石炭になったのと、何処が異なるというのだろうか。ただ時間のスパンが異なるだけで、物質循環の法則からいえば全く同じだ。石炭を掘ったり石油を汲み上げて燃やすのは「ダメ」で、植林した樹木を伐採して理由するのは「ヨイ」というのは基本的に矛盾している。なぜこうした簡単な理屈が理解できないのだろうか。

 あるいは完全に理解した上で、素知らぬ振りをして「環境に優しいユーグレナ石油化燃料を使うボクちゃんは賢いだろう」と自画自賛しているのだろうか。しかしそんなことはマヤカシでしかないし、そんな記事を大々的に掲載する日経新聞も「お調子者」を囃し立てる幇間でしかないと本性を白状している。
 深読みしてはいけないかも知れないが、記事の最終章にある「ユーグレナのプラントはミドリムシ以外の藻から搾った油や食用油の廃油でもバイオ燃料を精製できる。単独で確保できるミドリムシの量がバイオ燃料の安定供給には心もとないためだ。他社が研究する藻の油も原料に取り込み、「オールジャパンのバイオジェット燃料にする」。出雲社長は期待を込める」という記事に出雲氏の本音が窺えるのではないか。つまり微生物のミドリムシだけでは生成される石油の量は知れている。だからユーグレナ以外の藻類の石油精製で高効率のモノが見つかれば一緒に事業化しよう、と呼び掛けている。その方が補助金を申請するにしても「高効率」だからだ。それこそが彼の本音といったら言い過ぎだろうか。

 ユーグレナ社のミドリムシ燃料は石油から精製したジェット燃料の10倍もするという。それがジェット燃料として用いられるとしたら10倍の燃料費を航空機利用者は負担しなければならない。それが嫌ならミドリムシ由来のジェット燃料に膨大な補助金を注ぎ込むようにするしかない。「環境」のため、という免罪符を掲げれば、水戸黄門の三つ葉葵の印籠以上の御威光がある。
 これは科学ではない。宗教であり、信仰だ。それも世界のエネルギーを交替させるような信仰だ。しかし科学的でないからガソリンエンジン車よりもモーター車の方が「環境に優しい」という大嘘を吐かざるを得ない。走行時だけでなく、エネルギー生成から消費までのエネルギー効率を全体系として比較すればどちらが「環境に優しい」か簡単に解ることだ。

 火力発電でなく、原発を用いればCO2を排出しない、という議論にすり替えるとしたら、それこそが「環境」を持ち出している連中の正体だ。原子力は単純な「物質循環」の法則から外れた、核分裂エネルギーを用いる飛んでもない「環境破壊」だ。
 「環境」といいつつ、必ずカネ勘定が付きまとうのも「環境」を謳い文句にする紳士たちの共通項だ。記事にも「民間調査会社の富士経済(東京・中央)の試算によると、30年の航空機向けバイオ燃料の世界需要は11兆8808億円と12年の16倍に膨らむ見通しだ」とある。だからバスに乗り遅れないように投資しなさい、というプレゼンテーションだ。

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