台湾進攻を強行すれば、その時が習近平氏の命運が尽きる時だ。

<米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長は17日、米議会上院歳出委員会の公聴会で証言し、中国が台湾に軍事侵攻する可能性を巡り、「近い将来に起きる可能性は低いと思う」との見解を示した。
 ミリー氏は「中国がそうしようとしても、台湾全体を攻め落とすだけの実際の能力を持っていない」との分析を明らかにし、現時点では中国にとって動機が薄いとの見方も示した。
 一方、オースティン国防長官は、同じ公聴会で「台湾統一は間違いなく中国の目標だ。それを裏付けるたくさんの情報が得られている」と警戒感をあらわにした。その上で「台湾の防衛能力の向上支援を行っていく」とし、台湾への武器売却などの協力を続ける姿勢を強調した>(以上「読売新聞」より引用)



 米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長は米議会上院歳出委員会の公聴会で中国が台湾に軍事侵攻する可能性を巡り「近い将来に起きる可能性は低いと思う」との見解を示したという。その理由として「中国がそうしようとしても、台湾全体を攻め落とすだけの実際の能力を持っていない」との分析を明らかにしたそうだ。
 実際に台湾を軍事侵攻で攻め落とすには、中共軍は制空権のみならず制海権と製海中権を握らなければならない。そうしない限り安全な「渡海作戦」を実施することは不可能だ。

 中共軍の兵隊の多くは「一人っ子政策」時代に生まれた小皇帝と呼ばれた世代で、彼らは激烈な戦闘に耐えられない。そして子供を軍隊に取られた親も戦闘が激化して戦死が相次げば「反戦運動」を始めないとも限らない。
 そして2013年4月に中国国務院は『中国国防白書:中国の武装力の多様な運用』を発表して、陸軍機動作戦部隊が85万人、海軍23万5千人、空軍39万8千人とする兵員数の概要を公表しているが、実際に台湾攻撃に割ける軍隊は海軍と空軍併せても20万人ほどではないかといわれている。

 迎え撃つ中華民国は、正規軍で陸軍約20万人、海軍約4万5000人(内海軍陸戦隊約1万5000人)、空軍約5万5000人、憲兵隊約1万2000人、予備役で約165万人の兵力を擁している。単純な兵員の数で比べれば中共軍の方が圧倒的だが、中共軍が台湾に攻め込むには台湾海峡を渡らなければ台湾に攻め込むことは出来ない。
 雲霞の如く艦艇を台湾海峡に集めようと、それらは雲霞ではない。艦艇一隻ごとに中国兵が乗船している。彼らは戦争意欲に燃えている往時の人海戦術に参加した紅軍ではない。現代に生まれ現代に育った中国民だ。彼らは戦争の悲惨さを身をもって知っているわけではない。砲弾が炸裂する大爆音と振動に身を引き裂かれるほどの恐怖に耐えられないだろう。

 戦争遂行には弾薬の補給はもちろん、糧秣の補給も欠かせない。食料自給の出来ない中国で兵隊のために糧秣を確保すれば国民は食事を削らなければならなくなる。そうした事態に中国民は耐えられるのか。
 すでに中国民の約半数に相当する貧困層は飢えている。さらなる食糧不足に直面すれば国民の憤懣は政府批判になりかねない。中南海が最も恐れている事態になりかねない。台湾進攻どころか、身を守るために軍隊を出動させなければならなくなる。具体的に戦争準備の一つ一つを検証すれば、中共政府が台湾進攻に踏み切れるのか否かは判るだろう。マーク・ミリー統合参謀本部議長の判断はあながち楽観的な物語とはいえないのではないか。

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