崩壊する中国。

中国経済「灰色のサイ」が動き出した!
 中国経済にとって多くの専門家が一番懸念している問題のひとつは不動産バブルだろう。中国銀行保険業監督管理委員会の郭樹清主席は不動産バブルを金融リスクの最大の「灰色のサイ」(存在するのがわかっていながら放置されているリスク)と形容した。

 不動産価格を引き下げるために当局は厳しい融資規制など数々の政令を出しているが、なかなか不動産価格を緩やかに下げていくことは困難な状況だ。3月の70都市不動産指数は前月比0.5%上昇で66か月連続上昇、前年同期比で4.6%増だ。なぜこれほどまでの抑制政策をとっているのに、不動産価格の上昇が止まらないか。それは、国有企業のせいだ、という声もある。

 中国では昨年8月、住宅都市農村建設部(住建部)、人民銀行(中央銀行)の招集による不動産座談会で「三道紅線(三つのレッドライン)」が打ち出された。つまり、資産負債比率70%超、純負債資本倍率100%超、そして手元資金の短期債務倍率が100%を割り込む不動産企業に対しては銀行からの融資が制限されることになった。不動産企業は赤、橙、黄、緑の四段階に色分けされ、負債増加速度閾値が設定された。

 この座談会に参加していた12の不動産企業は、この政策のテストケースとして融資債務総規模のコントロールが命じられた。12企業とは、碧桂園、恒大、万科、融創、中梁、保利、新城、中海、華僑城、緑地、華潤、陽光城だ。12企業は、3年内に三道紅線をどのようにクリアするかを9月末までに提示することが求められた。
 
民間企業500社がバタバタと倒産…
 この中で債務指標が突出して悪い恒大(中国恒大集団)は9月7日から一か月間、すべての不動産物件を3割引きで販売するといった手法をとり、ロイターなどが大きく報じて、一時は不動産バブル崩壊が近いと、業界内でも騒然となった。
 また12月には銀行を規模別にランク分けし、不動産向け融資と個人向け住宅ローン融資の残高の総融資残高に占める上限比率を決めた。つまり総量規制だ。こうした政策の影響で、確かに民営不動産企業の融資調達が困難となり、民営企業による不動産投資は抑制されている。昨年だけで500社の不動産企業が倒産した。ほとんどが中小民営企業だ。

 だが、その民営企業の撤退した隙間に国有企業が参入、全国各地で土地を囲い込み、多くの大都市の不動産価格が以前高止まりする結果となっている、という。この問題は米国政府系メディアのラジオ・フリーアジア(RFA)が、中指研究院(チャイナインデックスアカデミー)がこのほど発表した1-3月の国内不動産企業の所有土地(使用権)面積と土地(使用権)購入金額のランキング結果を分析して、指摘していた。

 土地購入金額のトップ10のうち民営不動産企業は、融創と濱江の2社だけ。また所有土地面積のトップ10中、民営企業は万達、融創、碧桂園、新城ホールディングスの4社のみ。つまり土地購入能力も国有企業が強まっている。
 
国有企業の「買い占め」がヤバいことになっている
 上海の不動産市場関係者がRFAの取材に、次のように解説していた。
「政府は民営不動産企業資産の負債率が高すぎるとして、その融資申請を厳格化しており、民営不動産企業は新規の土地を購入できなくなっている」
「すべての不動産企業の負債率は一定範囲内にあることが要求されている。このため民営企業は負債率を引き下げるのに腐心している。私の知っている数社の民営不動産企業の財務総監たちは、政府に見張られており非常に緊張している。もし彼らが銀行に融資を頼めなければ、土地を買う資金はない、ということだ」……。

 RFAは、さらに中国のSNS微信の不動産投資家向けの人気アカウント「拓展老狗」の投稿を紹介。それによれば、重慶、広州で土地のいわゆる競売(地方政府が再開発用に農村宅地などの使用権をデベロッパーに売り出す)が行われたとき、ほとんど、国有企業が競り落とした、という。
 ゴールデンウィーク(五一連休)に広州市で行われた「両集中」方式での住宅用開発地の競売では、その大半が越秀地産などの国有企業が競り落とした。
「両集中」というのは一級都市政府が開発用地を競売にかけるとき、一区画一区画ずつ小出しに競売に出すのではなく、年に三回の集中的な譲渡公布と集中した組織的譲渡を行うやり方で、大不動産企業による市場寡占を防ぐために今年4月に打ち出された政策だ。

 一級都市が同時期に大量に土地譲渡競売の募集をすれば、大不動産企業とて、すべての都市のすべてプロジェクトを競り落とすのは難しいため、多くの不動産企業の間で公平な競争が行われやすい、という考えだった。だが、ふたを開けて見れば、結局、資金調達力のある国有が圧倒的に有利であったということだ。
 
習近平が「考えていること」
 どれだけの開発用地を獲得したかが不動産企業の発展の潜在力を決めるのだとすると、今後の不動産市場は国有企業に占有されていくということかもしれない。
 目下国内不動産販売ランキングのトップ10は依然と民営不動産企業が主流だが、土地所有規模から判断すれば、このランキングが国有企業にとってかわられるのは時間の問題とみられている。
 新しい融資政策、不動産コントロール政策のもと、国有中央企業が資金実力の核心的優勢勢力となっており、融資能力と融資調達コスト上の有利性を体現していることは、その他の民営不動産企業の及ぶところではない。

 大型中央企業の融資調達コストは、上場民営不動産企業よりも2-3ポイント以上低い、と言われている。もし中央企業が新たなプロジェクト企業を設立する場合、評価機関の評価はだいたいA以上だが、民営企業だとトップ50の親会社ですら、A評価にはならない。中央企業の背後にある国家資産がこの圧倒的な信用の裏付けとなっている。
「国有企業は中国政府にとっては血のつながった息子同然。民営企業に対しては、負債率基準は絶対的な重要目標とされているが、国有企業には甘い。習近平は国有企業をより大きく強くしようとしている」と前述の上海の業界関係者は指摘する。

「コントロールできる」と…?
 今年の1-3月の中国不動産企業の土地購入金額と面積のランキングについていえば、トップが国有ホールディングス企業の緑地中国で328億元投じて土地を獲得。次は国有企業の保利発展で269億元、第3位はアモイ市政府系企業のデベロッパーで239億元、第4位は蛇口招商で200億元。蛇口招商は中央直接管理企業の招商集団傘下のデベロッパー企業だ。
 不動産市場の四大民営企業「碧万恒融」と並び称されていた、碧桂園、万達、恒大、融創の四大民営企業は「三道紅線」政策でみれば、三つのレッドラインのいずれかを踏んでいた。
 昨年8月28日の21世紀報道によれば、不動産座談会に招集された12企業のうち、三道紅線の「赤」(危険)に相当するのは、恒大(民営)のほか融創(民営)、緑地(国有)、中梁(民営)。

 中国経済誌・第一財経が今年4月20日に報じた独自調査報道によれば、中国市場の主要不動産79社中、赤に色分けされた4社は恒大(民営)、富力地産(民営)、首開ホールディングス(国有)、華遠地産(国有)だった。中国のマクロ経済政策は、国進民退(国有化を進め民営経済を後退させる)の方向に動いているのは比較的顕著だ。不動産業界も多分に漏れず、ということだろう。不動産市場から民営を追い出し国有企業を通じて党が不動産市場をコントロールすれば、不動産バブルは抑制できるというのだろうか。

今後10年、とんでもないことになるぞ…
 民営不動産企業の少なからぬ経営者たちは目下、中国市場での経営困難を感じはじめ、できれば海外にビジネスを展開したいと考える者もいるが、それも実際は当局に阻止されており、簡単には許されていない。
 第18回党大会後、当局は口では私営経済の地位を向上させる、法に基づく、平等で公正な市場経済競争と法律保護を保障する、と言っているが、実際にやっているのは民営経済排除だ、という批判がある。

 アリババ傘下のアントグループやテンセントのウィチャットペイなどこの20年の間に台頭してきたインターネット金融、フィンテック部門は、目下、当局からの事情聴取を次々受けて、銀行と同等の資本規制を命じられ、業務を親会社と切り離した上、政府系の資本参入によって事実上の国有化が進むとみられている。
 金融、Eコマース、インターネットプラットフォームなど個人情報、ビッグデータを掌握するような企業は習近平政権自身がしっかり手綱をに握っていないと安心できないようだ。
 同様に、巨額の資金を動かし金融リスクに直結する不動産市場も国有企業の寡占が進めば、よりコントロールしやすくなる、と考えているのかもしれない。習近平がアリババらに罰金を科したのは独占禁止法違反が理由だが、習近平政権自身が民営化の進んでいた市場に対し、国有企業寡占をすすめることの矛盾を指摘する声もある。
 それが中国経済の発展に本当にプラスになるかのだろうか。これまでの中国経済の活力を支えてきたのは民営企業だと信じてきた人たちは、「この二年の間に起きている状況が変わらなければ、私営企業、民営企業は圧力を受け続け、中国経済の発展に大きな影響を与えるだろう。今後10年、とんでもない状況に陥るぞ」(上述の民営不動産関係者)と話している>(以上「現代ビジネス」より引用)




 少々長いが、現代ビジネスに掲載された「習近平が“自爆”へ…いよいよ中国「不動産バブル」が崩壊寸前で、追い詰められた「習近平」の末路」と題した中国の専門家・福島香織氏(ジャーナリスト)の論評を掲載させて頂いた。福島氏の論評こそが概ね正しい「現在の中国」評だ。
 福島氏の論評に書き加えるとするなら、中国経済は「民間活力」により爆発的発展を遂げたが、その起爆剤はシャドーバンキング、という政府に支配されない「地下投資銀行」であり、政府が実施して来た金融緩和であった。

 それらの潤沢な投資資金に裏打ちされた民間不動産企業が地方政府の要請と相俟って巨額投資を次々と行い、中国GDPを国内投資によって牽引してきた。結果として鬼城と呼ばれるゴーストタウンが中国全土に出現した。
 国も負けじとインフラ投資に狂奔して高速鉄道を次々と建設し、財政赤字を幾何級数的に増大させた。地方と国とを合わせた債務総額は1京円を超えるといわれている。それでも政府は元を印刷し続けざるを得ないが、偽札の大量出現に手を焼いてデジタル元を半強制的に導入している。

 ここで金融面から見れば、不動産バブルが過熱して崩壊寸前に到っているのなら、金融引き締めを行えば資産が不良債権化してハードランディングを加速させるだけだ。しかし、不動産業者を救済しようと金融緩和を行えば、さらにバブルが大きく膨らむだけで、崩壊した際の衝撃がますます強くなるばかりだ。
 中国経済はそうした矛盾した局面に到っている。去年倒産した民間不動産企業3社だけでも負債総額は30兆円を超えていた。それにより痛手を受けたのはシャドーバングだ。350兆円規模に膨らんだシャドーバンクがデフォルトしただけでも、その影響は日本の金融崩壊の比ではない。ちなみに日本のバブル崩壊時の負債総額は150兆円程度だったといわれている。

 しかし中共政府は助けないだろうといわれている。シャドーバンクは元々中共政府が関与したものではない。政府銀行に預けられなかった資金が民間の地下投資銀行に流れ込んだものだから、救済する必要はないし救済する気もないようだ。
 なけなしの所持金を庶民が年率10%から15%を超える配当を目当てに投資したが、それがデフォルトすると阿鼻叫喚の地獄絵が全国各地で展開されることになるだろう。騒然とした社会情勢になるのは必至だが、それに習近平政権は耐えられるだろうか。

 福島氏は「10年後とんでもないことになるぞ」と予測しているが、10年ももたないだろう。早ければ今年か来年にも中国経済は崩壊すると思われる。
 その根拠は習近平氏の「戦狼外交」による「一帯一路」で外国へ投資した巨額資金がは相次いで投資先から返済拒否されているからだ。「一帯一路」策で儲けるどころか、投資全額が返済不履行(デフォルト)に陥っている。去年まで自身の誇らしい業績として大宣伝していたが、今年1月の年頭演説で習近平氏は「一帯一路」に一言も触れなかった。

 中国全土でジワジワと「計画停電」が広がっているし、食糧不足が表面化している。2億人の失業者と6億人の月収1,000元以下の貧困層が存在する中国で、中国共産党員や一部の企業経営者たち1億人が1億円以上の資産家だという格差に、中国民はいつまで耐えられるだろうか。
 いうまでもないが、中国は自己責任の自由主義国ではない。社会主義国を標榜し、すべての土地を国有化している。国家制度の建前として、国民は平等に成果を配分されるはずだ。しかし現実は目も眩むばかりの格差だ。口先でいつまで国民を騙せるか、習近平氏の本当の手腕が問われる。しかし噂では来年に任期が切れるのを汐に、習近平氏は退陣するのではないかとの憶測が流れている。69歳の習近平氏が自身の身の安全を考えないで「皇帝」の座に拘るとも思えない。

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