ハゲ鷹に食い荒らされる日本企業。

<東芝の車谷暢昭社長が14日、突然辞任した。後任として社長を兼務する綱川智会長が同日、オンラインで会見したが、車谷氏は姿を見せず「東芝の再生ミッションを完了し、達成感+を感じている」とコメントだけ発表。これを額面通りに受け取る向きは皆無だ。

CVC買収提案がやぶへび
 英投資ファンドCVCキャピタル・パートナーズによる東芝買収提案は、元CVC日本法人会長だった車谷氏が保身を狙った“出来レース”との疑いが消えず、利益相反で追い詰められる前に逃げ出した形だ。

 CVCの動きが他ファンドの関心を誘ったのか、車谷氏辞任報道と同時に米投資ファンドKKRが東芝に対する買収提案を検討していると海外メディアに報じられた。CVCが提示している210億ドル(約2兆2900億円)の案を上回る可能性が高いという。カナダの投資ファンド、ブルックフィールド・ビジネス・パートナーズも提案を用意しているという。

投資ファンドは儲けが出ればいい
 東芝の既存株主の香港系投資ファンド、オアシス・マネジメントはCVCが提案した1株5000円の買収価格について「安い」と指摘、6200円超が妥当だとして価格つり上げに入っている。今後、複数ファンドによる買収合戦に発展する可能性が出てきて、14日の東芝株は前日比265円高の4860円。年初来高値を更新した。

「東芝はオモチャにされつつあります。車谷氏がCVCを連れ込んだことがやぶへびになりました。投資ファンドは儲けが出ればいいわけで、原発事業を抱える東芝のバックには経産省が付いていて、どんな要求でものんでくれると足元を見ている」(金融ジャーナリスト・小林佳樹氏)

 経産省の企業の合併・買収(M&A)に関する指針では、買収提案を受けた企業は、可及的速やかに特別委員会を設置し、企業価値の向上や一般株主の利益を図る観点から提案内容を審議するとしている。CVCの買収提案を受けた東芝社内では、リストラや事業の切り売りへの懸念が高まっていたが、他のファンドだってそれは同じ。「利益を上げることが目的の投資ファンドは、再上場もしくは事業を分割して売却するという手段が基本」(小林佳樹氏)。買収合戦の様相に、東芝社員は戦々恐々だろう。
 モノ言う株主に加え、買収提案のハゲタカを招いたことで、現状維持ではいられなくなった東芝。まだひと山ふた山ありそうだ>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)



 日本企業はハゲ鷹の標的になり易い。ことに日本の家電業界は散々ハゲ鷹に食い荒らされてきた。東芝も長年ハゲ鷹の標的となって久しい。
 前回、原発事業の失敗から東芝の存続が危ぶまれて際に、外資投機企業のCVCから東谷氏を社長に迎え入れた。それで外資が東芝に流入して、資金面で安定を得たが、CVCの本音が現れた。それが突然の東芝の外資への身売り話だ。

 ご存知の通り東芝はパナソニック(松下電器)や日立と同様に、日本を代表する総合電機メーカーだ。かつてはパソコンや半導体、原子力事業などに選択と集中で成長、2000年代後半には過去最高の業績を収めた。

 しかしリーマンショック以降半導体需要が激減し、社運をかけて買収した米国の原子力関連企業WECは元々「ガラクタ」だっといわれる企業を高値掴みさせられたうえ、福島第1原発事故の影響で業績が急激に悪化するなど、順調だった東芝の業績は一気に悪化した。

 日本を代表する企業としてあるまじきことに粉飾決算を行っていたことが2015年に発覚した。そして2016年には経営危機に陥り、リストラを断行せざるをえなくなった。その後も経営を巡る不祥事の発覚は後を絶たず、旧村上ファンド系などの物言う株主(アクティビスト)の存在もあって、3月の臨時株主総会では、取締役会が反対したにもかかわらず、外部の専門家による調査を求める株主提案が可決されるなど、業績は回復途上にあるとはいえまだまだ前途多難だ。
 東芝は粉飾決算と巨額赤字により一部上場を廃止されていたが、2021年1月に東証1部へ約3年半ぶりに復帰した。現在は、総合家電メーカーからインフラサービスへの業態転換を図ろうとしているが、そうしたインフラ企業であることが、2020年5月から施行された改正外為法により、買収の妨げになる可能性がある。

 ただ、M&Aを仕掛ける投機企業は引用記事にある通り「利益を上げることが目的の投資ファンドは、再上場もしくは事業を分割して売却するという手段が基本」のため、東芝が法律で外資への売却を規制されるインフラ事業部を分離した上で、利益の見込める原子力事業部や再エネ関連事業などを解体されバラ売りされる可能性もある。
 2021年3月期に見込む業績は売上高が3.1兆円営業利益率は3.8%にとどまるが、東芝の再建計画はやっと軌道に乗ってきたところだ。今回のM&A提案はあくまで初期提案であり、今後、他のファンドからの買収提案もあり得る。また事業分割を要求するような提案もあり得る。加えて物言う株主の暗躍もあって、東芝の前途は多難だが、世界を席巻していた白物家電を中心とする「総合電機メーカー」東芝を知る者として、現在のハゲ鷹ファンドに玩具にされている様は痛ましくもある。日本経済の凋落を象徴しているかのような東芝は日本経済が直面している実態の象徴でもある。

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