邦人企業は中国を敬遠すべきだ。
<吉本興業ホールディングスは13日、中国での事業を推進するため、上海市(長寧区)に新会社「上海吉本」を設立したと発表した。吉本はこれまでに台湾、韓国、タイ、米国に支社を設立しているが、本格的な中国支社設立は初めて。日中両国の人材発掘育成を図るためのオーディション番組の制作や、お笑い劇場の創設なども計画している。
吉本によると、「上海吉本」の事業の目玉の一つとなるのが、「日中アイドルオーディション」の開催。企画第1弾として、日中を中心にアジア全域を股に掛けた多国籍男性アイドルグループの結成を予定している。韓国のJYPが手掛け、ブームを起こした日本人女性9人組「NiziU」のように、オーディションの密着番組なども検討している。
吉本によると、「上海吉本」の事業の目玉の一つとなるのが、「日中アイドルオーディション」の開催。企画第1弾として、日中を中心にアジア全域を股に掛けた多国籍男性アイドルグループの結成を予定している。韓国のJYPが手掛け、ブームを起こした日本人女性9人組「NiziU」のように、オーディションの密着番組なども検討している。
吉本は昨年12月、上海大手イベント会社「上海文広演芸集団有限公司」(SMGLive)と連携協定を締結。コンサートやミュージカル、お笑いライブなどを上演する劇場「蘭心大劇院」を今夏オープンする予定だが、将来は「上海花月」的な自社経営のお笑いライブ劇場の設立も検討している。この自社劇場を足がかりに、日本の漫才や笑いをアジアに普及させる“アジアンドリーム”も構想しているという。
また新会社では、中国市場における日本の農水産品や物産品の販路拡大、日系企業の中国進出の活動支援事業などを行う。2011年に吉本が開始した「あなたの街に“住みます”プロジェクト」で全47都道府県に住みPR活動している「住みます芸人」を積極起用し、日本の特産品を中国へアピール。クリエイターのコラボ事業や青少年の交流事業も計画している>(以上「報知新聞社」より引用)
この期に及んで中国進出ラッシュの日本企業には首を傾げざるを得ない。引用した記事の吉本興業だけではない。丸紅不動産は三菱地所などと組んで、吉林省で住宅(マンション)開発しようというから驚く。既に中国の不動産バブルは崩壊しつつあって、都市部ですらマンションの30%から半値近い値崩れが起きている。
さらにローソンは現在でも3,000近い店舗を中国で展開しているが、2025年には1万店を予定しているという。ドン・キホーテも店舗数を増やす計画だというから、彼らは中国経済が順調に発展していると考えているのだろう。
しかし吉本興業以外は物販(マンション開発も所詮は物販)だから「思想」的な要素は「反日キャンペーン」だけに気を付ければ良い。しかし吉本興業が「新喜劇」を中国内で上演するとなると話は別だ。
中共政府はいつでも、どこでも、好きな時に好きなだけ吉本興業に懲罰を与えられることになる。「笑いのツボ」は風刺と虐待と紙一重だ。世相批判は一切認められないだろうし、身体的な「笑い」も人権侵害として付け入れられる可能性が高い。なぜ、そうした危険地帯に足を踏み込むのか理解できない。
自由主義諸国による対中デカップリングが構築されようとしているこの時期に、なぜ邦人企業が相次いで対中投資や中国進出を決めるのだろうか。彼らはカネが儲かりさえすれば何でもやる、ということなのだろうか。
中共政府の強権的な統制国家体制の中で、吉本の「お笑い」も当局の逆鱗に触れるであろう。なぜなら中共政府は国民が何を以て笑うのかも統制したいはずだからだ。国民の価値観すらも中共政府の許可したものでなければならないからだ。
だから中国で毎日のようにクランクアップしている映画の多くは荒唐無稽な悪役・日本兵と正義・中国民との闘いという勧善懲悪ものばかりだ。そうした文化の中で、吉本が日本でやっている新喜劇のシナリオを中国で上演して観客の「お笑い」が取れて、中共政府もそれを諾とするとは到底思えない。
そうした興行面だけでなく、中共政府の中国の現状がいかなるものかを吉本は理解してないようだ。あたかも、鴨が葱を背負って鍋の中へ飛び込むようなものだ。中共政府は崩壊前夜の状況にある、といっても過言ではない。そこへ日本企業が多くの日本人を連れて行くことは人質の提供をしに行くようなものだ。
日本政府は西側民主主義国家と協調して、これから対中制裁に加わらざるを得ない。それに対して中共政府が採り得る対抗措置は日本人の拘束だ。それは既に中国に滞在していたカナダ人や米国青年などを何かの罪状をデッチ上げて当局が逮捕し裁判にかけたことで、カナダ政府や米国政府との取引に利用したことがある。
中共政府は根拠も何もなく尖閣諸島の領有権を主張したり、国際法に違反してでも沖縄列島付近まで自国の防空識別圏を勝手に広げてポンコツ戦闘機を飛ばす「お国柄」だ。日本が直ちに反撃しないと知っているから、やりたい放題を仕出かしている。悪いことはいわないから、日本企業や日本国民は当分の間は中国を敬遠すべきだ。つまり「敬って、遠ざける」ということだ。自国民のすべてを監視カメラで監視し、スパコンを使って顔認証システムでストーカーしている「お国柄」だ。決して信用してはならない。