対中デカップリングの先頭に日本は立たなければならない。

<ドイツのマース外相は21日、中国とは相違点が多くあるが、欧州連合(EU)は孤立主義的な姿勢を強めることなく、中国に関与する必要があるとの見解を示した。 中国の王毅国務委員兼外相とのオンライン会談を前に語った。
 「EUは中国をパートナーであると同時に競合相手、体制上のライバルと見なしている」と述べ、「この3つの観点全てにおいて、中国政府との強力で持続可能な対話チャンネルが必要だ。デカップリングは間違った道だ」と強調した。 
 EUは先月、米英とカナダとともに、中国が新疆ウイグル自治区で重大な人権侵害を行っているとして、中国政府当局者に対する制裁措置を発表した。 王外相はマース外相との会談で、独中関係は昨年以来、おおむね安定を維持してきたと指摘。独中などの経済大国はともにデカップリングに抵抗し、代わりに国際的な産業供給網の安定維持を追求するべきだと訴えた。中国外務省が発言内容を発表した。
 王氏はまた、中国はイデオロギーの違いで境界線を引く行為は認めず、小さなグループごとに行動することや、偽情報に基づく恣意的かつ一方的な制裁発動にはさらに反対すると強調した。>(以上「REUTERS」より引用)



 対中デカップリングは米国トランプ政権が最初に提唱した。その政策に乗ってインド太平洋地域の四ヶ国による中国包囲網の形成を急いでいる。もちろん欧州諸国の英国や仏国、さらには独国も空母や軍艦をインド太平洋地域へ派遣して、軍拡と台湾進攻を声高に宣言している習近平・中共政府を牽制している。
 そうした最中、中共政府は「内部循環」経済を提唱したかと思ったら、外交を積極的に展開して対中敵対策の取りやめと、ウィグルの人権批判は「内政干渉だ」と批判している。支離滅裂な政策展開としか見えないが、その原因は何なのだろうか。

 中共政府の混乱ぶりは今年3月の全人代にも見られた。通常なら五ヶ年計画を発表する場でもある全人代で、初めて今後五ヶ年の経済計画の発表がなかったことが顕著な出来事だった。そして本来なら国内政治の発表の場である全人代では李克強首相が主役となるはずだが、李首相の影は薄く習近平氏の独壇場だった。
 そこで習氏は今年の経済目標を「最低でも6%成長」を掲げた。昨年も世界でいち早く武漢肺炎ショックから立ち直り、世界中がマイナス成長に陥る最中でも中国は6%以上の経済成長を遂げたと自慢した。

 しかし、果たしてそうだろうか。2020年の1月から6月までだけで中国では中小企業や個人事業者が240万社も倒産したといわれている。そして同時期に国営企業80社がデフォルトしたといわれる。
 しかも中国企業(殆どが国営企業だが)が抱えている不良債権は3,100兆円に達している、といわれている。そして2億人が失業(社会主義国で失業はあり得ない)し、昨年の個人消費は対前年比-3.9%だったばかりでなく、国と国営企業の財政収入も-3.9%だった。なぜ国営企業の財政収入を国庫と並列に上げたかというと、国営企業の多くは人民解放軍の軍費や退職軍人の年金を賄っているからだ。つまり中国政府の財政状況は中共政府の税収だけでなく、国営企業の財務状況も合算しなければ全体像とはならないからだ。

 そうした中国経済が破綻の危機にあるという証拠に、「日中友好団体」関係の中国人が日本各地の企業を回って、中国内の「経済特区」への進出を呼び掛けているという。日本の尖閣諸島を奪うゾ、と脅しながら、日本企業に中国投資を呼び掛けているが、そうした企業誘致作戦を展開している実態を日本のマスメディアは一切報道していない。
 欧州諸国に対しても同じく中国の「経済特区」への進出を呼び掛けていると思われる。ことに独国は中国へ深入りし過ぎて足が抜けなくなっている。ドイツ銀行は中国と命運と一にするしかない状態だ。つまり中国のバブル崩壊は中共政府の破綻だけではなく、ドイツ銀行のデフォルトをも意味する。だから王毅氏が欧州諸国を分断するなら、独国へ呼びかけるが順当だろう。

 習近平氏が先月末に開催した全人代で「昨年(2020年)のGDPは6%以上の成長を果たした」と誇らしそうに宣言したのは嘘だ。そして今年か来年には台湾進攻をして「一つの中国」を実現する、としているのもハッタリでしかない。
 なぜなら台湾進攻したなら、対中デカップリングは強固なものとなり、欧米諸国のみならず、中国の最も近い経済大国日本の親中派すらも対中批判派に回るからだ。日本政府は日米同盟といいながら、中共政府に気を使わざるを得ない状態にある。それは政権内に親中政党・公明党を抱えているし、自民党内にも中共政府に篭絡された親中派が大勢いるからだ。日本全国各地にもそれぞれの地域の名を冠した「日中友好団体」があって、それらに地域の名士や経済人が「会長」に祭り上げられている。しかし中国が尖閣や台湾に侵攻したなら、彼らが「日中友好団体」の幹部だと自慢することも、地域経済に影響力を発揮することも出来なくなる。だから台湾進攻は習氏の国内向けへのハッタリだ。もちろん尖閣諸島への「領有」を強行したなら、日本の中で育てた「親中派」たちも中共政府を見限ることも、習氏は理解しているだろう。

 対中デカップリングを推進し、対中投資を引き上げることで、日本の安全は確保される。日本が中国から手を引けば、中国は立ち行かなくなる。世界第二位の経済大国も外国取引があってのことだ。
 たとえばハウスメーカーの下請け工務店が、材料の有償支給で家を建てた場合、工務店の売り上げに計上するのは「建設費」だけのはずだ。つまり人件費と雑費程度だ。しかし中国の場合は海外から買い入れる「部品」は輸入として計上され、そして組み立てた製品輸出を全額輸出として計上している。つまりハウスメーカーの下請け工務店が「家全体の売価」を売り上げとして計上しているのと同じことをしている。そうした貿易がGDPに占める割合が半分近い中国のGDPは「水ぶくれ」でしかない。巨大化された影に怯えているに過ぎないことを理解する必要がある。

 中共政府の中国という「鬼っ子」を育てた責任の一端は日本にもある。だからこそ日本は中共政府に平和な国際社会の一員として節度ある振舞いを身に着けるまで、キチンと躾けなければならない責任もある。そのために対中デカップリングの先頭に日本は立たなければならない。

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