「団扇」だけに「内輪」で決めたのか。

<兵庫県は14日、新型コロナウイルス対策として、うちわ計32万本を神戸市など県内4市の飲食店に配る方針を撤回した。井戸敏三知事が「扇子・うちわ会食」として提唱したが、神戸市や県民らから効果を疑問視する声が続出し、わずか5日で取り下げた。井戸知事は「うちわで感染が防げるとは言っていない」と釈明し、若者らに配る啓発用に目的を変更する考えを示した。

 「うちわ会食」は口元をふさぐことで飛沫の拡散を防いでもらおうと、まん延防止等重点措置が適用された神戸、尼崎、西宮、芦屋市の飲食店約1万6千店に20本ずつ、計32万本を配る計画だった。

 ところが神戸市は「予防効果の検証が不十分。かえって感染の危険性を高める可能性がある」として、飲食店にうちわを配布しないよう13日に申し入れ。県のサイトには100件以上の批判的な意見が寄せられた。

 井戸知事は県内の新規感染者が500人を超え、2日連続で過去最多になったことなどを受け、記者団の取材に応じた。うちわは飲食店で使い回されることがあるとの懸念には「もっとも(な指摘)だ。飲食店に配るのは行き過ぎだった」と“反省”。大阪府の吉村洋文知事らが呼び掛けた「マスク会食」や、会話を控える「黙食」も守られていない実情があるとし「うちわで防ぐような対応があってもいいという提案だった」と強調した。

 だが、うちわを使った会食を勧めていると誤解されかねないとして、中止を決断したという>(以上「神戸新聞」より引用)



 飲食店で飲食する際にマスクを外したり掛けたりするのが面倒だから、というのでもあるまいが、兵庫県が「新型コロナウイルス対策として、うちわ計32万本を神戸市など県内4市の飲食店に配る方針」だったが、14日に撤回したという。
 引用記事によると「井戸敏三知事が「扇子・うちわ会食」として提唱したが、神戸市や県民らから効果を疑問視する声が続出し、わずか5日で取り下げた」という経過のようだ。知事が提唱すれば700万円もの予算を伴う措置もスイスイと実施される、という態勢はどうかしている。まさか知事は独裁者ではあるまい。

 感染症対策として真剣に考えるなら「家から一人も出るな」と懸命すべきだが、それでは暮らしが成り立たないから、せめて人と接触する機会を最小限度に止めよう、というのが本旨であって、四人なら会食O.Kだとか、マスクをしていれば飲食もO.Kというものでは断じてない。
 そうした感染症対策の本質を理解していれば「団扇」をマスクの代用に、という発想は出ないはずだ。知事直属の感染症の専門家がいる「感染症対策チーム」が県庁内にあって、すべての感染症対策と感染状況などの情報が逐一「チーム」に上げられて、知事直属で一括管理される態勢が全国の都道府県で出来ているものと思っていたが、そうではないようだ。だとすれば地方自治体の危機管理体制というものがお寒い限り、ということになる。

 知事の思い付きで700万円がムダになったことになるが、その責任は誰が取るのか。知事を選出したのは県民だから、知事の失政責任はすべて県民に帰属する、という仕組みになっているが、県民はそれで納得するのだろうか。そして県議会の面々はいかなる議論を起こすつもりだろうか。
 ワクチンもない特効薬もない状況での感染症対策は「検査と隔離」以外にあり得ない。それが大原則だ、ということは医学生でなくても国民の大多数は常識として知っているはずだ。しかし日本の検査数は諸外国と比してケタ違いに少ない。厚労省が検査拡大を阻んでいる、というから驚く。

 「団扇」を作る700万円の予算があるなら、県費単独事業で各地の団地や地域の下水のPCR検査を実施すべきではなかったか。あるいは事務所などの入る雑居ビルの下水のPCR検査を実施すべきではなかったか。そうした感染患者を見つけ出す努力をしないで、どうやって感染拡大を防ぐというのか。まさか「団扇」で扇げば空中のコロナウィルスを飛ばすことが出来るとでも考えていたのだろうか。
 「団扇」政策を「内輪」だけで決めたとしたら由々しき問題だ。「やってる感」を出せば人気が上がる、とでも考えているのだろうか。感染症対策は専門家の意見に従うべきだ。「検査と隔離」こそが最大の予防策であることを忘れてはならない。

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