基礎研究をケチってはならない。

<諸外国に比べてワクチン接種が大幅に遅れている日本。その理由のひとつが、国産ワクチンを開発できていないことだ。
 開発遅れの原因を国会で問われると、田村厚労相は、「日本はいろんな問題があってなかなか取り組みづらかった」と言葉を濁す。実際、1992年のワクチン副反応の集団訴訟で国が敗訴してから、日本では新たなワクチンがほとんど承認されていない。研究から実用化までカネも時間がかかるワクチン開発は、この20年ですっかり下火になっていた。

 田村厚労相は国産化を「国としても支援しないといけない」とも言っていたが、何を今さら。研究開発費を削ってきたのが安倍前政権だ。

 欧米では、病原体に合わせて素早く設計できる「RNAワクチン」の接種が進んでいる。実は日本でもRNAワクチンの開発が治験直前まで進んでいたが、「2018年に国の予算打ち切りで頓挫した」と、東大医科学研究所の石井健教授が5日の東京新聞で打ち明けていた。
「安倍前政権は、ノーベル賞学者の山中伸弥教授のiPS細胞ストック事業に予算カットを迫ったほど基礎研究を軽視していた。科学技術や専門家の知見を尊重しない“反知性主義”がコロナ対策の迷走にも表れている。学術を軽視する姿勢は菅政権にもしっかり引き継がれています」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

■科学を軽視

 厚労省のHPを見ると、塩野義製薬、第一三共など4社が国産ワクチンを開発中。それぞれ日本医療研究開発機構(AMED)の予算がついているが、まだ臨床試験の第1相、第2相段階で、第3相の大規模治験が年内に実施できる見通しはない。

「国産ワクチンなんて夢物語です。日本メーカーにはファイザーと渡り合うような開発力も展開力もない。今からワクチン開発に予算をつけても無駄になるだけです。5月末には米国内での接種が完了し、ファイザー製ワクチンが大量に入ってきますから、滞りなく接種できるような予算の使い方をした方がよほどいい。各国が科学の総力戦を展開しているのに、ゲノム医学を取り入れることもせず、いまだにムラ社会で予算を分け合っている日本の厚労行政は絶望的です」(医療ガバナンス研究所の上昌広理事長)
 政治が科学を軽視してきたツケが、ワクチンの遅れにも表れている>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)





 「「国産ワクチンなんて夢物語です。日本メーカーにはファイザーと渡り合うような開発力も展開力もない。今からワクチン開発に予算をつけても無駄になるだけです。5月末には米国内での接種が完了し、ファイザー製ワクチンが大量に入ってきますから、滞りなく接種できるような予算の使い方をした方がよほどいい。各国が科学の総力戦を展開しているのに、ゲノム医学を取り入れることもせず、いまだにムラ社会で予算を分け合っている日本の厚労行政は絶望的です」(医療ガバナンス研究所の上昌広理事長)」という記事が本当なら、日本はいつの間にか医療安全保障を自らの手で破壊していたことになる。
 安倍氏は「日本を取り戻す」という中身のサッパリ分からないコピーを自民党ポスターに掲げていたが、彼の合計八年有余の政権時代に、「日本を取り戻す」どころか日本を安く米国に叩き売っていたことになる。

 厚労省は一体何をやっているのか。医療行政でも「地域医療の再編」と称してベッド数の削減や医師や看護師などの人員削減を実施していたのは厚労省だ。そして医師会と結託して「家庭医制度」を日本に導入し、初診でいきなり総合病院を訪れないように患者を誘導してきた。
 それも地域中核病院の医師や看護師の削減策の一環でしかなかった。そして武漢肺炎という新規の感染症が蔓延すると地域の病床を持つ病院はたちまち満床となり、普段からギリギリの勤務を強いられていた医師や看護師は忙殺されている。それは火事が一件もないからといって消防士の数を削減し、消防車も無駄だといって台数を大幅に削減した挙句、大火に民家が嘗め尽くされても消防署が全く機能しないのと同じだ。

 ファイザーから大量のワクチンが輸入されたとしても、誰が接種するのか、という問題が起きている。注射するのを医師だけに限定して来た医師法が看護師がワクチン接種する障壁となっている。医師会の「医師の特権」を頑なに守ろうとする姿勢がパンデミックに際して仇になるとは。
 世界のワクチンの50%以上を製造していた、かつてのワクチン大国だった日本を破壊したのも政府・厚労省だ。ワクチン禍訴訟で敗訴したからといって、製薬各社はワクチン製造から撤退してはならなかった。国民の健康維持のためにワクチン製造から撤退しないように援助し指導するのが政府・厚労省の仕事ではなかったか。

 ファイザーの開発したmRNA型のワクチンも日本で開発できないわけがない。ゲノム解析も日本の「富岳」を使えば簡単に済むはずだ。なぜ国力の全てを注ぎ込んで、ワクチン開発に当初から全力を注がなかったのだろうか。安倍自公政権の罪たるや万死に値する。
 以前このブログで「効率主義」に陥った研究開発を批判した。国立大学や国の研究所を「独立行政法人」化して、学者や研究機関を経営者にしてしまった。記事にある「「安倍前政権は、ノーベル賞学者の山中伸弥教授のiPS細胞ストック事業に予算カットを迫った」というのは有名な話だ。首相秘書官の今井氏と厚労省官僚の大坪氏とがアベックで京都を訪れていた件は別の意味で世間の注目を浴びたが、その実二人は山中氏に研究費削減を伝えるために京都へ赴いていた。

 基礎研究を軽視してノーベル賞の花は咲かない。ノーベル賞受賞がすべてとはいわないが、日本が科学立国を放棄したかのような「効率第一主義」に陥っては明るい未来などない。
 日本が世界の人類に寄与する分野は科学的な研究・開発分野ではないか。基礎研究無くして科学的な成果はあり得ない。「独立行政法人」化した国立大学や研究機関を元に戻すべきだ。そしてmRNAワクチン開発を止めてはならない。今回の国民全員分のワクチン接種がファイザー社のワクチンで賄われようと、いつ変異した武漢肺炎ウィルスによる感染爆発が起きないとも限らない。その時に慌てふためかないようにmRNA型のワクチン製造の基礎を日本の製薬各社が会得しておくのは決した無駄ではない。基礎研究費をケチるとは、安倍晋三氏は余程ケチな人物のようだ。

このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。