対中包囲に自由主義諸国は力を併せよう。

<欧州連合(EU)は17日、人権侵害した中国政府関係者をブラックリストに載せることに合意した。これは、1989年の六四天安門事件でEUが中国に武器禁輸措置を講じて以来、初めての対中制裁となった。

 ロイター通信によると、EUは4人の中国人と1つの法人に対する渡航禁止と資産凍結を承認し、22日の正式な承認後に名前が公表されるという。

 今回の制裁措置は象徴的な面が大きいが、制裁措置を取ることは、EUの対中政策の大きな転換を意味する。EUはこれまで、中国を良き貿易相手国と見なしてきたが、今では自国民の基本的な権利や自由を侵害する国と考えるようになった。

 EUの外交官はロイターに対し、中国政府関係者がウイグル人の人権を侵害しているため、EUの決定は欧州、米国、カナダによるウイグル人への深い懸念を反映したものだと述べた。

 人権活動家や国連の人権専門家によると、少なくとも100万人のイスラム教徒が、新疆ウイグル自治区の西部の辺境地で「強制労働収容所」に収容され、拷問を受け労働を強いられ、不妊手術を受けさせられているという。

 EUはまた、2014年に終身刑を宣告され、2019年に人権擁護に取り組む活動家を称える「サハロフ賞」を受賞したウイグル人の経済学教授であるイリハム・トフティ氏を解放するよう呼びかけた>(以上「看中国」より引用)




 中共政府は鄧小平氏が始めた改革開放策により自由主義陣営から巨額な投資を呼び込み、高度経済成長を達成してきた。1995年当時80兆円でしかなかった中国のGDPが24年後の2019年には1,600兆円と20倍にもなった。
 改革開放経済に踏み切るにあたって、鄧小平氏は「韜光養晦」(とうこうようかい)策を掲げた。それは才能を隠して、内に力を蓄える」という意味だ。経済規模を大きくして軍事力も含めた実力を手に入れるまで、決して野望を露わにしてはならない、という策略だった。

 鄧小平以後の主席は彼の教えを固く守って来た。にこやかに微笑み外国投資を受け容れて中国経済を拡大する政策を一貫して実施した。しかし習近平氏は我慢できなかったようだ。
 習近平氏は中国経済は充分に米国に対抗できるほど成長したと判断した。そこで「戦狼外交」に打って出た。世界中の国々に吠え、噛み付き、脅す戦法だ。それにより中国共産党の本性が西側先進国にバレてしまった。

 当初から習近平氏は「戦狼外交」を展開していたわけではない。振り返ってみても2012年11月に第五代中国共産党最高指導者に就任して以来、彼は中国の力を世界に及ぼして米国の覇権に果敢に挑戦してきた。
 彼は拡大した経済を背景にAIIBの設立を目論んだ。今ではAIIBという単語すらニュースに出なくなったが、当初はEU諸国まで参加を表明し、日本が主導しているアジア開発銀行(ADB)に取って代わろうとした。だが、習近平氏の構想は頓挫した。AIIBに参加表明した国の殆どは期限までに出資金を振り込まなかったし、そもそも国際金融の大国たる米国と日本が参加しなかったのが致命的だった。

 さらに習近平氏が軍拡の橋頭堡を世界各地に築く策略の「一帯一路」や、兵站線を確保する目的の現代版「シルクロード」構想も、今では破綻している。残ったのは巨額な「元」対外債権の「不良債権」化した貸付契約書の山だけだ。
 ことに中国は海外の「友好国」たちから不評を買っている。中共政府はアジアやアフリカや中南米で、国の経済力に見合わない巨額借款を実行して港湾や空港整備を整備した。当初はプレゼントに喚起したそれらの諸国も、借款が「借金」でしかないことに驚愕し、返済を拒否して中共政府との「友好国」関係を解消してしまった。

 中国の借款事業に中国企業が進出し、労働者までも数千人もの中国人労働者が大挙して押し寄せ、「友好国」に得るべきものは出来上がった国家に不釣り合いな巨大港湾施設や、飛ぶ飛行機の数に見合わない広大な飛行場だけだった。
 だが、中共政府にも事情があった。中国GDPを何が何でも拡大するために中国企業と中国人で海外投資事業を実施する必要があった。対外投資ですら、全額を国内へ還流させて「貿易収支」を膨張させる必要があった。さらに、中共政府が「友好国」に貸し付けたのはドルではなく「元」だった。いうまでもなく、「元」はハードカレンシーではない。中国内だけでしか通用しない通貨だ。対外投資に国内で払底しているドルを使うことは出来なかった。

 ハードカレンシー(国際通貨)はドルと円とユーロだけだ。国際通貨でない「元」を世界各国で投資・借款で支払っても、その国は「元」を貿易取引の決済に使うことが出来ない。そうした意味で「元」はただの紙屑でしかない。
 「元」を国際通貨とすべく中共政府は「デジタル元」の普及に努めているが、デジタルであれ信用小切手であれ、最終的には「元」であることに変わりない。中国内の取引では銀行のATMからも偽札が出て来るほど国民から信用を失っている元・紙幣よりもデジタル決済の方を中国民は歓迎している。しかし、それは国内だけの話だ。対外取引の決済は原則として国際通貨で行うしかないのが現実だ。

 何度も中国経済崩壊説は出て来た。今に崩壊する、と経済評論家たちが数年も前から予測してはヘタな占い師のように予想を外してきた。中共政府による「統制経済」は自由経済のように安全弁が働かない。過度にバブル化すれば自然と価格暴落が起きる。しかし中国は統制経済だ。「元」が暴落しようと、中共政府当局が買い支え、為替管理を操作して暴落を止めてしまう。
 しかし当局が操作し為替介入すればするほど、政府債務は増加する。既に政府債務は1京円を超えているのではないかといわれている。日本のバブル崩壊時の不良債権は150兆円から200兆円程度だったといわれている。中国のそれは想像を絶する規模だ。もはや統制経済も抑制することは困難ではないだろうか。

 習近平氏の「戦狼外交」を阻止するのは自由主義圏の対中・結束であることは間違いないが、中共政権を弱体化させるトリガーは中国の経済崩壊ではないか。実際に、バタバタと中小企業のみならず、大企業(これらはすべて「国営企業」だ)もデフォルトを起こしている。地方銀行はもとより、中央銀行の一角までもデフォルトの噂が立っている。
 事実上、地方政府は破綻している。過剰な地方政府による不動産投資で全国各地に鬼城と呼ばれるゴーストタウンが出現している。回収できない投資は「不良債権」と呼ぶしかない。つまり中国は不良債権の山に埋まろうとしている。そしてここに来て物価高騰が起きている、といわれている。日本のマスメディアが中共政府の広報機関に堕しているから、中国の実情は我々に伝わらない。しかしネット空間にはそうした情報が溢れている。

 中共政府の暴走を止めるのは皮肉なことだが、習近平氏に「もはや中国は世界一だ」と妄想させた中国経済かも知れない。旧満州の東北部では食糧不足と石炭不足による不満が高まっているという。上海の目抜き通りでも店舗の半分はシャッターが下りたままだという。
 去年の中国経済は6%のプラスだったという当局の発表は嘘だ。明らかにマイナス経済を記録したはずだ。そして今年も6%を上回る経済成長を達成する、と全人代で宣言したが、それも到底無理だ。出来ないことでも「やるゾ」と檄を飛ばすしかないのだろう。しかし現実を無視した経済政策は決して成功しない。もはや習近平氏は中国の経済崩壊から中国民の暮らしを守る方策を考えるべきだ。「戦狼外交」で世界各国に喧嘩を売っている場合ではない。さもなければ、習近平氏本人の命が危うくなるだろう。

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