自公政権と対峙する野党勢力は「所得倍増」を公約に掲げよ。

 ここに1995年と2015年のGDP比較の数字がある。日本は1991年3月にバブル崩壊に突入したが、1995年当時のGDPはまだ世界に冠たるものがあったことを思い出して頂きたい。
  1995年当時の各国GDPと順位        2015年当時の各国GDPと順位
    一位  米国  約800兆円        一位  米国  約2,400兆円
    二位  日本  約600兆円        二位  中国  約1,600兆円
    三位  ドイツ 約280兆円          三位  日本   約550兆円
    四位  中国    約80兆円                      四位  ドイツ   約430兆円
    五位  インド   約40兆円           五位  インド   約320兆円

 上記の表をご覧になって、どのような感慨を抱かれるだろうか。たった20年間の間に米国は三倍の経済成長を達成し、中国は実に20倍もの経済成長を実現した。それに対して、日本はマイナス9%の衰退を見ている。戦後自由主義諸国の中で20年間もの唯一の経済衰退を経験した国だ。1991年のバブル崩壊から30年間を失われた30年間と称する所以はそこにある。
 日本経済が衰退した元凶は何だったのか。それは余りにも明白だ。つまりデフレ経済こそが日本を衰退させた。デフレによる経済の衰退は国民の貧困を招くだけではない。軍事力が経済力に比例しているというなら、経済の衰退は軍事力の衰退に他ならない。

 日本の実質賃金のピークは1997年だった。現在は当時より16ポイントものマイナスになっている。ご存知の通り、日本のGDPの約六割は個人消費が占める。実質賃金のマイナスはGDPのマイナス要因となる。日本経済が成長しないのは実質賃金が上昇しないからだともいえる。
 では1997年をターニングポイントとして実質賃金が上昇しなくなった原因は何だろうか。それは消費税だ。1997年に橋本内閣は消費税を3%から5%へと引き上げた。それにより景気回復を見せていた経済は失速し、1991年のバブル崩壊以後の緊縮財政と金融引き締めにより日本経済は失われた30年への歩みを続けることになった。

 1995年から2015年の20年間に、世界経済は約3倍に拡大した。日本が世界と同じほど成長していればGDPは1,800兆円になり、実質賃金は1380(460万円×3)万円になっていたはずだ。国民が3倍以上の賃金を手にしていたら日本経済は活況に満ち、世界の平均以上に個人消費は拡大していたことだろう。
 緊縮財政論者は国債残を「国民の借金」だと誤った報道を繰り返すが、断るまでもなく国債残は「政府の赤字」だ。国債残は景気により発行したり償還すれば良いもので、積極的に償還する必要のないものだが、財政規律派が心配する国債の償還も経済の拡大によって発展的に解消されている。なぜなら経済成長は必ず適正なインフレを伴うからだ。つまり経済成長はインフレ経済でもある。成長率以下のインフレ率であれば、国民生活は少しも困らない。むしろ借金が自然減となり、貨幣から資産へと財産を移動させようとする心理が働く。つまり消費が刺激されることになる。それが新たな需要を創出し経済成長を招き、プラス経済スパイラルが循環して、さらに景気が刺激される。

 安倍自公政権はデフレ経済からの脱却を掲げたが、結局デフレ経済から脱却できなかった。その主たる原因は積極財政から財政規律論に舵を切ったからだ。第二の原因は「構造改革」により、技術実習生と称する外国人労働者を大量に国内へ入れたからだ。
 外国人労働者の国内への移民策は日本の労働者賃金を引き下げる方向で働く。つまり個人所得の上昇を抑制し、可処分所得を減少させる。そこに輪をかけて個人消費を抑制する消費増税を安倍氏は実施してしまった。安倍氏は実に愚かな誤った政策を強行したものだ。

 今後政権交代を目指す政治勢力が結集されるとしたら、現在の自公政権との対立軸は「保守」対「革新」ではない。もちろん「自由主義」対「共産主義」でもない。
 断っておくが、自公政権は「保守政権」ではない。保守政権とは日本の伝統を守り、日本の社会制度を堅持する政権であるはずだからだ。自公政権は日本の伝統文化を破壊し、社会構造を「構造改革」と称して破壊している。
 もちろん政権交代の対立軸は「自公」対「民主」でもない。政権交代の対立軸は「グローバル化」対「反グローバル化」であるべきだ。あるいは「緊縮財政」対「積極財政」であるべきだ。そして「デフレ経済」対「インフレ経済」であるべきだ。具体的には2009年に政権交代を果たした「自公」対「旧・民主」の闘いの再現であるべきだ。なぜなら当時の旧・民主党は小沢一郎氏の下で「国民の生活が第一」という旗印を掲げる反グローバル化政党だったからだ。

 しかし当時の日本国民はもとより、当の民主党国会議員諸氏すらも小沢一郎氏が掲げた「国民の生活が第一」という旗印の本質を知らなかった。だから総理大臣に就任した菅氏がTPP参加を表明しても「変節だ」と民主党国会議員諸氏は反対しなかった。ご存知の通りTPPは参加した諸国内での関税撤廃と「ヒト モノ カネ」の移動を自由にする、というグローバル化策だ。しかし当時の民主党国会議員諸氏はTPPの実態すら知らなかった。
 そして菅氏の後を継いだ野田氏に到っては消費増税10%と飛んでもないことを口にした。小沢氏が検察とマスメディアによってパージされている間に民主党は2009年に政権交代を果たした政党とは全く異質な政党に成り果ててしまった。「構造改革」対「国民の生活が第一」で政権交代を果たしたはずだったが、民主党政権が率先して消費増税10%と構造改革路線を提唱しだした。消費増税10%とは国民を貧困化させ、GDPの主力エンジンたる個人消費の出力を低下させ、日本経済を衰亡させる悪政以外の何物でもない、ということすら当時の民主党国会議員諸氏は殆どが知らなかったのではないか。

 志ある政治家諸氏は経済成長策の下に結集すべきだ。このままでは日本は衰亡するしかない。日本を衰亡させるのは「少子高齢化」ではない。それは生産性向上のために国内投資をしない政府と企業経営者たちだ。もちろん法人税は旧率に復し、法人税減税の穴埋めに利用された消費税は廃止すべきだ。
 そして政権交代後の政府は社会インフラや諸制度の「日本再生計画」を立てて計画的に財政出動すべきだ。何よりも計画的に財政出動することが肝要だ。つまり毎年幾らの投資をどの分野に政府が財政支出を行うかを日本国民と民間企業に知らしめるためだ。そうすることにより、国内投資家たちが投資行動を刺激され、企業経営者たちもどの分野に先行投資すれば良いか知ることになる。日本経済の進むべき指針を政府が明確に示す必要がある。

 そして同時に海外移転した企業を国内へ呼び戻すために「Uターン投資減税」や生産性向上のための「研究開発」などに補助金を支出し技術開発などに減税措置を講じることだ。
 日本がやるべきは地銀の再編ではなく、地銀による積極的な中小企業への貸付だ。かつて金融引き締めにより都銀の不良債権を肥大化させてM&Aへと追い込んだ手法と同様な手法を地銀にもとろうとしている「成長戦略会議」のアトキンソン氏や竹中氏たちの思惑を粉砕しなければならない。M&A企業に手を貸す中小企業経営集約化を許してはならない。

 日本の労働者の賃金を10年後に倍にすることは夢物語ではない。失われた30年がなかったなら、とうの昔に3倍になっていたはずだ。志ある政治家諸氏は「所得倍増」を公約にして、「国民の生活が第一」の政治理念で結集すべきだ。政権交代の対立軸はグローバル化対反グローバル化だ。国民に解りやすくするために「構造改革」対「国民の生活が第一」の対立だと説明する必要がある。
 政権交代は決して夢物語ではないし、経済成長を実現しなければ日本の存在が危うくなる。それは決して誇大妄想的な比喩ではなく、現実に日本の近辺に迫った大問題だ。尖閣諸島近海に公然と侵入している中共政府の海警船を見れば明らかだ。日本がそうした瀬戸際にあることを、国民と政治家諸氏は認識すべきだ。

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