東京オリンピックに群がる利権漁り集団。

<東京五輪開催が危ぶまれる中、観客向けの専用アプリ開発が進められている。五輪がポシャった場合の転用はビミョーで、巨額の税金をドブに捨てる可能性が出てきた。

 問題のアプリは、内閣官房が調達を進める「オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリ(仮称)」(オリ観アプリ)だ。観客受け入れに関する検討が昨年11月ごろから本格化したのを受け、感染防止を目的として今年1月から開発が始まった。海外からのアスリートや大会関係者、観客ら120万人の利用を想定しているという。

 ア然とするのは、その開発費用だ。運用・保守もあわせ、総額73億円。新型コロナウイルス感染者との接触を通知するアプリ「COCOA」の開発費が約4億円だから、その20倍近い血税がつぎ込まれているのだ。

 費用は妥当なのか。有用性は担保されているのか。内閣官房に問い合わせたが、「担当者不在のため答えられない」(IT総合戦略室)と、ケンもホロロ。

抜け道をつくる“神アプリ”

 ポンコツ丸出しのCOCOAを巡り、「不具合というのは永久になくなりません」(平井IT相)と開き直るデジタルオンチ政権だ。オリ観アプリは二の舞いにならないか。それに、無観客開催となった場合の善後策も曖昧だ。菅首相は17日の衆院予算委員会で「五輪以外の場面での活用も視野に入れて開発を進めたい」と答弁したが、立憲民主党の尾辻かな子議員に「仕様書や契約書に書いていない」と突っ込まれていた。

 尾辻議員は、オリ観アプリについて外国人観客の14日間待機免除を前提とするもの、と指摘。ワクチン接種が義務付けられない点もあわせ、抜け道をつくる「神アプリ」だと皮肉たっぷり。尾辻議員に改めて聞いた。

「感染者の情報を管理する『HER-SYS(ハーシス)』でも入力ミスが報告され、持続化給付金の支給でも遅れが相次ぐなど、デジタルが絡む政策は失敗続きです。オリ観アプリに関しても、海外からダウンロードできるのか、スマホを持っていない人はどうするのかなど、運用方法を詰め切れていません。政権の五輪ありきの姿勢が、前のめり過ぎる開発に見て取れます」

 そのうち「スガノアプリ」とか呼ばれちゃうのか。血税のムダ遣いは、いい加減にしてほしい>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)




 東京五輪は当初から大盤振る舞いの国際イベントという印象だった。国立競技場の建設費用にしても、1550億円という巨額費用の掛かるものだった。ロンドンオリンピックで建設されたオリンピックスタジアムでは最終的に建設費が633億円で済んでいる。いかに東京オリンピックで使用される国立競技場が途方もない建設費かお解りだろうか。
 それではロンドンのオリンピックスタジアムについて詳細を記してみよう。
2006年10月、ロンドン・オリンピック組織委員会は、McAlpine(建設会社)、POPULOUS、Buro Happold(建設コンサルタント)のコンソーシアムによるオリンピック・スタジアム設計案を採用した。スタジアムは屋根が建物をまるごと覆う独特の外観で、「筋肉が人体を支持するのと同じ構造で、スタジアム自体が人体を表現する」と、デザイン案を評価した。
 設計者のPOPULOUSは、アメリカ・ミズーリ州・カンザスシティに本社を持つ、スポーツ施設及びコンベンションセンターなどの設計を専門とする設計事務所、建設コンサルタント。スポーツ施設やコンベンションセンターの設計から大規模イベントの企画までを専門とする建築設計事務所である。
 オリンピック・スタジアムは、ロンドン東部にあるオリンピックパークの敷地の一画にあった廃止されたドッグレース場の跡地に建設された。
 着工は2007年、2011年の竣工まで4年間を要した。 オープンは2012年5月。
 スタジアムは、広さ310メートル×260メートル、高さ67.7メートルの建物で、観客席は8万席、1層の恒久エリアの観客席が2万5000席、2層の仮設エリアの観客席が5万5000席である。当初は、2層の5万5000席はすべて大会後に撤去し、2万5000席にする計画だった。
 固定式の屋根で観客席を覆っているが、全体の観客席のうち1層前方の約40%が屋根に覆われていない構造だった。

 施工者は、ロンドン五輪の競技場や交通機関などのインフラ建設・整備を担当するODA(Olympic Delivery Authority)である。
 建設費は、ロンドン五輪招致時は、2億8000万ポンド(約413億3000万円)だったが、基本計画(2007年11月)作成時には約4億9600万ポンド(732億2000万円)と倍近くに膨れ上がり、見直し予算(2008年3月)では5億2500万ポンド(約773億5000万円)に達した。その後、経費削減が行われ修正予算では、約4億9600万ポンド((732億2000万円)に戻り、最終的(2012年9月)には4億2900万ポンド(約633億3000万円)となった。
 9レーンの陸上トラックはイタリアの会社Mondoによって設計され、最新のMondotrack FTXを使用された。

  改修工事費は、当初は1億5400万ポンド(約227億3000万円)と見積もられていたが、可動席の設置や屋根の設置費用が増え、最終的には3億2300万ポンド(約476億8000万円)に膨れ上がった。3億2300万ポンド(約475億8000万円)とは、新たに巨大スタジアム1個分を建設する費用に匹敵する破格の巨額経費である。
 改修工事費が3億2300万ポンドに上ったことで、当初、建設費の4億2900万ポンド(約633億3000万円)を加えるとオリンピックスタジアムの整備費の合計は7億5200万ポンド(約1100億1000万円)に膨れ上がった。
 * 為替レート  £=147.62円  2016年の平均レート

 2016年に改修工事は終了し、可動席を含めると約6万人収容となったスタジアムは再オープンした。
 2017年8月4日から8月13日には「世界陸上競技選手権大会」が開催され、2015年9月18日から10月31日まで開催された「ラグビーワールドカップ2015 イングランド大会」ではプール戦(予選)や三位決定戦の5試合が行われた。
 2019年6月29、30日の2日間、米大リーグ、MLBは、リーグ史上初めてロンドンで公式戦を開催し話題を集めた。歴史的な試合だったこともあり、MLBはリーグ屈指の好カードのヤンキース対レッドソックス戦を用意し、ロンドンスタジアムには2試合で約12万人(MLB発表11万8718人)の観客でスタンドは埋まった。
 MLBではすでに来年もロンドン開催を決定しており、カブス対カージナルス戦を2020年6月13、14日に行う予定になっている」(「Media Close up Report」より引用)となっている。現に、今はプロサッカークラブ「ウェストハム」と99年間の占用使用権契約を結び、年間250万ポンド(約38億2000万円)を支払っている。

 これに対して国立競技場はどうだろうか。
新国立競技場の後利用については、文科省が「大会後の運営管理に関する検討ワーキングチーム」を設立して、文部科学副大臣が座長となり、スポーツ庁、内閣官房、日本スポーツ振興センター(JSC)、東京都で議論を重ね、2017年11月に「基本的な考え方」を取りまとめ、政府の関係閣僚会議(議長・鈴木俊一五輪担当相)で了承された。
 これによると、陸上トラックなどを撤去して、観客席を増設して国内最大規模の8万人が収容可能な球技専用スタジアム改修してサッカーやラグビーの大規模な大会を誘致するとともに、コンサートやイベントも開催して収益性を確保する。観客席は6万8千席から国内最大規模の8万席に増設し、改修後の供用開始は2022年を目指すとした。
 しかし、陸上競技関係者などから、陸上トラックを残して、新国立競技場を「陸上競技の聖地」として存続するべきだという声が強く出され、陸上トラックは残して陸上と球技の兼用にする方向で調整も進んでいることが明らかになった。
 新国立競技場の後利用の方向性が再び混迷を始めている。
 こうした中で、11月19日、萩生田光一文部科学相は、新国立競技場の後利用について、民営化の計画策定時期を大会後の2020年秋以降に先送りし、その後に公募を行うと明らかにした。今年半ばごろに計画を固める予定はあっさり放棄した。
 先送りした理由については、大会の保安上の理由で現時点では詳細な図面を開示できず、運営権取得に関心を持つ民間事業者側から採算性などを判断できないとの声が上がったためだと説明した。
 また萩生田氏は、焦点となっている陸上トラックの存続可否については「民間の方の意見を聞いた上で最終方向は決めるが、基本的には球技専用スタジアムに改修する方向性で継続して検討を続けていきたいと思っている」と述べた。
 一方、橋本聖子五輪相は後利用について「トラックを残すべきだという意見もあるというのは承知している。新国立にふさわしい運営をしていただけるような検討をお願いしたい」と語った。(11月19日 共同通信)
 新国立競技場の改修後の供用開始、2022年は大幅に遅れることは必至である。その間も、新国立競技場は、年間24億円の維持管理費が必要となるとされている。当面、所有者の日本スポーツ振興センター(JSC)は赤字を背負うことになる。
 陸上トラックを存続して「陸上競技の聖地」として出発しても、陸上トラックを撤去くしてサッカーなどの球技専用のスタジアムになるにしても、6万人収容の巨大スタジアムを維持するのは至難の業である。フランチャイズチームがないスタジアムの経営はなりたたないというのが常識である。
 「木と緑のスタジアム」、新国立競技場は、五輪のレガシーどころか大会後は赤字を背負ってのスタートとなるのは避けられない」(「Media Close up Report」より引用)となっているようだ。

 官僚にも政治家にもまともな経営感覚を有する人材は皆無のようだ。NHKテレビの大河ドラマでは明治の経済人・渋沢栄一の生涯をやっているようだが、東京オリンピックの関係者に経済人は誰も関与していないのだろう。
 そして政治家も無能揃いのようだ。たかがする観客向けの専用アプリ開発と運用と保守で経費73億円を見込むという。大盤振る舞いもこれに極まる、という感が深いが、これほどの途方もない予算を一体誰が計上し、誰がチェックしたというのだろうか。日本はいつから経済オンチの国に成り果てたのだろうか。

 しかも引用記事に「ポンコツ丸出しのCOCOAを巡り、「不具合というのは永久になくなりません」(平井IT相)と開き直るデジタルオンチ政権だ。オリ観アプリは二の舞いにならないか。それに、無観客開催となった場合の善後策も曖昧だ。菅首相は17日の衆院予算委員会で「五輪以外の場面での活用も視野に入れて開発を進めたい」と答弁したが、立憲民主党の尾辻かな子議員に「仕様書や契約書に書いていない」と突っ込まれていた」とあるように、オリンピック以後の利用計画はない。
 まさに「宴の後」が既に始まっている。巨額な経費を支出した国は勿論のこと、大会関係者はこの「宴」の後始末をどうするつもりだろうか。2020東京オリンピック大会招致を行った当時の面々はすべて第一線から消え去った。負の遺産が「屍累々」状態で横たわっている。

 国家事業とはすべての負担は国民に負わされ,官僚や政治家や関係者は事業終了時には霧のように消え去る、というもののようだ。こんな無責任な事業は民間ではあり得ない。
 何が民営化だ。すべては利権集団が利権に群がるための便法ではないか。2020東京オリンピックもまさに巨額な利権の塊に過ぎない、というのが実態ではないか。そうではないと否定するのなら観客アプリに73億円もの巨費を投じた積算根拠を国民の前に開示すべきだ。

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