中共政府は中国民を代表していない。

アメリカが「習近平を許さない」本当のワケ
バイデン政権がスタートした。
中国はこのチャンスに、米中の関係改善の糸口を探ろうと、サインを送った。だが新政権は、トランプの強硬路線を踏襲する構えだ。

ブリンケン国務長官は、「トランプ政権の対中強硬策は正しかった」と上院で証言した。これからも手綱をゆるめず、中国の態度が変わるのを待とう。「戦略的忍耐」である。

なぜアメリカは、習近平政権のやり方を、こうも許せないのか。

習近平政権が、信用ならないからか。それもある。武漢に始まったコロナ禍は、中国の責任なのに、情報を隠している。習近平が独裁的だからか。それもある。民主的な政権運営とは真逆のやり方だ。中国共産党が社会主義だからか。それもある。社会主義だから、自由や民主主義といったアメリカ的価値観と合致しない。少数民族を圧迫し、多様性を尊重しない。

だが根本は、こうだ。中国の政治システムが、アメリカや西側世界とまるで違っていること。「法の支配」が成り立たないこと。特定の誰かが権力を握って、人びとを支配すること。このやり方は、文明の反対にみえる。そんな国が、アメリカを差し置いて、国際社会を支配するなどあってはならないのである。

旧約聖書の「出エジプト記」をみるとよい。預言者モーセは、神ヤハウェの命令で、イスラエルの民を率いてエジプトを脱出する。エジプトは異教の偶像を崇め、ファラオが権力を握り、イスラエルの民を奴隷にしている。神ヤハウェと自由を選ぶか、それとも、隷属を選ぶか。−−聖書を読み慣れているアメリカの人びとは、中国を、自由のないエジプトのように思うのだ。 

中国の「異常さ」の根幹
ただの専制や独裁ならば、まだ許せる。中国は、神を知らず、自由を知らない。アメリカにとって代わる資格がそもそもない国なのである。

中国にも憲法があるじゃないか。経済は繁栄しているじゃないか。人びとの生活もそれなりに守られているじゃないか。

それを言えば、かつて、大日本帝国もそうだった。でも天皇がいて、軍部がのさばり、国際社会のルールを無視して行動した。アメリカは、放置できないと思った。同じようにアメリカは、中国を放置できないと思っているのである。

軍部が日本のガンだったとすれば、中国のガンは、中国共産党である。

日本の軍部はそれでも、憲法に規定があった。国家機関だった。天皇の統帥権をタテに政府のコントロールを離れただけだ。

中国共産党は、憲法に規定がない。国家機関でなく、任意団体である。その任意団体が権力をもち、人民解放軍の指揮権をもっている。はなから憲法のコントロールを離れているのである。

中国共産党が政権を乗っ取り、政府を樹立し、政府を指導する。これは革命のための、緊急措置である。でもそれが恒常化している。革命はもうやらないのに、共産党は権力を手放さない。これが中国の「異常さ」の根幹だ。
中国共産党、じつは「国家機関」ではない

中華人民共和国憲法をみてみよう(中国の憲法はときどき改正される。いまの憲法は2018年に改定されたばかりである。

中国共産党のことは、憲法の本体ではなく「序言」に書いてある。
《毛沢東をトップとする中国共産党は、中国の各民族の人民を指導し、長期にわたる武装闘争などの紆余曲折を経て、ついに帝国主義、封建主義、官僚資本主義の統治をくつがえし、新民主主義革命の偉大な勝利を勝ち取って、一九四九年に、中華人民共和国を樹立した。》共産党がまずあって、国家と政府をうみだしたのだ。

そのあとも、中国共産党の指導がどんなに立派で大事か、延々と書いてある。憲法の本文には、どう書いてあるか。冒頭に、こうある。

《第一条 中華人民共和国は労働者階級が指導し、労農同盟を基礎とした、人民民主専制の社会主義国家である。社会主義制度は中華人民共和国の根本制度である。中国共産党の指導は、中国の特色ある社会主義の最も本質的な特徴である。いかなる組織や個人も、社会主義制度を破壊することを禁止する。》

いまの憲法は、1982年版の憲法を、何回か改訂したもの。「社会主義制度は…本質的な特徴である。」の部分、つまり中国共産党に言及してある部分は、2018年の改訂でつけ加えられたものだ。

つまり、中国の憲法の条文には、もともと(そしていまも)、中国共産党に関する規定がない。これは、どういう意味か。中国共産党は、中国の国家機関ではない、ということだ。
憲法が規定していること

この点は、大事である。日本の憲法の、天皇の取り扱いと比較してみるとわかる。

日本の憲法には、天皇についての条文がある。大日本帝国憲法にもあったし、日本国憲法にもある。憲法の条文に定めがあるなら、天皇は、国家機関である。だから美濃部達吉博士は、天皇は国家機関であると説いた。日本中の法学部が、そう教えた。当然の考え方である。

それに異を唱える人びとが出てきた。天皇は、憲法がない時代から、日本の統治者だった。いまでも、憲法を超越した統治者であるはずだ。天皇親政説である。そして、美濃部博士の「天皇機関説」は間違っている、とする。

軍部がこれを支持して大騒ぎになり、美濃部博士は社会的生命を奪われ、天皇機関説は葬られた。天皇親政説が大手を振って一人歩きした。

天皇が憲法を超越した権力なら、天皇に(だけ)従う陸海軍も、憲法を超越した権力になる。軍部の暴走に、根拠が与えられた。

アメリカはこれをみて、日本を許せず、戦争もやむをえないと覚悟した。日本の政治システムは、憲法によってコントロールされない、異質なメカニズムで動いている(だから危険だ)からだ。 

中国共産党の「暴走」
さて、中国共産党はどうか。「共産党機関説」はありえない。そもそも憲法に、共産党に関する規定がないのだから。つまり、「共産党親政説」で、中国は一致している。立憲君主制が途中から、軍部の暴走に変わった日本と違って、中国ははじめから、共産党の暴走なのである。

理性を欠いて、まともな行動ができなかった日本の軍部に比べれば、中国共産党はまだしも合理的に行動してきてはいる。しかし、文化大革命もあった。天安門事件もあった。内モンゴルやチベットや新疆ウィグルで、やりたい放題をやっている。

共産党に対して、憲法は歯止めにならないのだ。憲法が歯止めにならなければ、何が歯止めになるか。

世論は歯止めになるのか。歯止めにならない。共産党は新聞やテレビなど、メディアを握っている。文化部が、プロパガンダを主管している。どういう世論があるかを報道するのは、共産党である。共産党に不都合なことがらを、報道するはずがない。

世論は、選挙に表れて、はじめて力をもつ。でも中国には、自由な選挙はない。政権交替を可能にする選挙は、存在できない。中国の選挙は儀式である。歯止めにならない。

全国人民代表大会も、やはり、民意が反映されているという体裁を整えるための、儀式である。誰が代表となるかも、共産党がお膳立てする。歯止めにならない。
中国共産党をコントロールできるのは…

中国共産党をコントロールできるのは、唯一、外国の圧力だけである。国際社会が結束して、中国に働きかけるなら、中国はそれに影響される。けれどもどれだけ効き目があるのか、疑わしい。

どの国にも、その国の国益があり、利害がある。それを主張するのは、ナショナリズムの正当な範囲である。問題は、その国の行動が、その範囲に収まるのかどうかである。

たとえば北朝鮮を考えてみよう。北朝鮮は核開発を進めている。それは、自国を防衛し人民の利益を守るためなのか。それとも、いまの体制とひと握りの人びとの利益を守るためなのか。人民のことなどどうでもよく、体制を守ることだけが大事なようにみえる。もしそうなら、国際社会は、北朝鮮の行き方を許せないと思うだろう。

中国の場合はどうなのか。中国共産党の看板のもとでいい目をみている、ひと握りの人びとの利益のため(だけ)になっていないか。もしそうなら、やはり国際社会は許さないだろう。

中国の場合はとくに、国のサイズが大きい。国際社会への影響も、北朝鮮の場合とは比較にならない。中国共産党のこの先を予測することは、国際社会にとって緊急の課題だ>(以上「現代ビジネス」より引用)




 今回も「現代ビジネス」に掲載された橋爪氏の論評を掲載させて頂いた。それは現代中国を理解する上で不可欠の内容を含んでいるからだ。
 前米国務長官のポンペオ氏が「中共政府は中国民を代表していない」と発言したことで、中南海に巣食う中国共産党幹部たちは慌てた。それも尋常一様な慌てぶりではなかった。

 だからポンペオ氏を米国政界から排除するために是非ともトランプ政権を倒す必要があった。それは中国共産党の生き残りをかけた必死の戦いだった。だから2020米大統領選にドミニオン等の投票機をバックドアから操作して、トランプ氏の票を奪ってバイデン氏に付け替える必要があった。
 なぜならバイデン氏はオバマ大統領当時に副大統領として北京を訪れ、その時に息子のハンター氏を紹介して「息子が関与している投資会社への投資を「よろしく」」と一言添えた。もちろん習近平氏は快諾して10億ドルもの投資を行った。それによりバイデン氏は北京のエージェントに取り込み済みだったからだ。

 しかしバイデン氏は習近平氏よりも一枚上手だったのか、それとも痴呆症が進行して息子が関与している会社に巨額投資してくれたのを綺麗サッパリと「忘却」しているかのようだ。ただし、習近平氏のウィグル族に対するジェノサイドには「国柄を責めてはならない」と時代感覚のズレた痴呆症そのものの症状である「寛大な理解」を示した。
 橋爪氏が今更指摘するまでもなく、中国はかつて一度も全国民による「選挙」を一度として実施したことがない。ロシアのような独裁政権に特有な「形だけの自由選挙」すら実施したことがないのだ。

 だから習近平氏が演説で多用する「14億中国人民」というフレーズは間違いだ。習近平氏は14億中国人民の一人ではなく、9千万中国共産党の一人だ。しかも9千万中国共産党の人たちによる選挙で選ばれた代表ですらない。摩訶不思議な「代表選出システム」により中国共産党の「代表」に選ばれた派閥闘争の勝者でしかない。
 全人代で5,000人もの「代議員」を一堂に会しての議論も、結局は議論ではなく承認・告知機関でしかない。民主主義とは懸け離れた、摩訶不思議な決議機関による「権威付け」を行うのは習近平氏の恐怖感からでしかない。「いつなんどき自分の首を搔かれるかもしれない」という恐怖感だ。人は自分の目で相手を観る、つまり習近平氏は権謀術数を用いてライバルの首を搔いてノシ上がって来た自身の人生観で、世間を観、他人を観るからだ。

 しかし習近平氏の最大の敵は中国民だ。中国史を見れば解るように、歴代王朝を倒したのは必ずしも外敵ではない。清国も中国民の反乱から倒れた。だから200万人民解放軍を全国各地の軍区に配備している。それは中国民の反乱を怖れてのことだ。
 習近平氏が最も恐れているのは南シナ海に展開している米国空母打撃群ではない。中国民が「自由」を渇望することだ。「自由」に考え、「自由」に表現し、そして「自由」な人間らしい生き方を中国民が知ることを最も恐れている。「自由」を知ることにより中国民一人一人が自身が生まれながら持っている「人権」を自覚することだ。習近平氏にとって最大の敵は「自由」と「民主主義」だ。

 米国の成り立ちは英国の植民地からの解放だった。つまり「自由」こそが米国の国家の根本原理だ。だから「自由」を抑圧しなければ成り立たない中共政府の中国とは相容れない。
 橋爪氏が力説するまでもなく「中共政府は中国民を代表していない」という現実を中国民が知るだけで、中共政府は瓦解する。ミャンマーの軍事クーデターも、その後の民衆の軍政反対デモも、中国内では一切報道されていないという。中共政府にとって「自由」こそが最大の敵であり、民衆が意思表示することは「反乱」へ直結するからだ。習近平氏は隣国の政情にすら怯えている。

 いかにネットを遮断しようと、一度中国民が自由の風が吹いているのを知ったなら、自由への渇望を止めることは出来ない。いかに銃剣を突き付けようと、巨大な人民の動きは誰にも止められない。中共政府は中国民に選ばれた政権ではない、というレトリックを中国民に気付かせることが中共政府を瓦解させる最も有効な手段ではないか。

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