宮城県が水道事業を民営化するというが、

 <宮城県議会は17日、同県の水道事業の運営権を民間企業に売却する「コンセッション方式」を導入する条例改正案を賛成多数で可決した。上水道、下水道、工業用水の3事業を対象とするコンセッションは全国初。人口減や施設の老朽化が進む中、民間ノウハウでコストを削減し、将来的な水道料金の値上げを抑える。宮城県は2022年4月から導入する方針だ。

3つの事業は現在は県が運営しており、上水道は仙台市など県内25市町村に水道用水を卸売りしている。下水道は26市町村を対象に市町村から流れてきた下水を処理。工業用水は68社に供給している。

浄水場などの設備は引き続き県が保有し、運営権を民間企業に売却する。受託した企業は設備の運営や管理、修繕を手がけるほか、薬品や資材の調達も担う。契約期間は20年間。水道料金は県議会の議決を経て決める。県は20年3月に運営企業の公募を始め、21年3月に売却先を決める。

県の試算では、従来方式で3事業を20年間運営する総事業費は3314億円だが、コンセッション導入で247億円を削減できるという。受託企業にはそのうち200億円を削減してもらう計画だ。村井嘉浩知事はコンセッションにより「水道料金の値上げを抑える」と説明する。20年後に2割増えると予想される水道料金の引き上げ幅を、コンセッションで1割程度に抑えたい考えだ。

国内の水道事業は基本的に地方自治体が手掛けており、老朽化や人口減による収入低下で赤字を抱えているところも多い。18年に下水道事業にコンセッションを導入した浜松市は上水道にも導入を検討。ただ、市民の理解を得られていないとして、導入に向けた議論を棚上げしている>(以上「日経新聞」より引用)




 鉄道事業は国鉄を民営化してどうなったか、高速道路を民営化してどうなったか、そして郵政を民営化してどうなっているか。民営化が経営の効率化や経費提言を必ずしももたらさないことはこれまでの例から既に解っていることではないか。

 水道事業の民営化法案が可決されて、ついに宮城県が水道事業の民営化に踏み切るという。これまでは県が責任を持って水道事業を遂行していたが、今後は入札で経営権を獲得した民間企業が責任を持つことになる。そうすると、県が運営していた当時と民営化後とは何が異なるのかを宮城県民は承知しておく必要がある。


 民間企業であれば当然のことだが「利益と株主配当」は必須条件だ。それが水道事業であろうとガス事業であろうと何も変わりない。これまでは公共サービスの一環として県民から水道料金を徴収して水道局職員の給与や水道インフラ整備などの事業を行ってきた。今後は民間企業の利益のために水道事業を行うことになる。

 そして赤字に陥ればたちまち水道料金は引き上げられ、それでも赤字になれば破産して水道事業の遂行が出来なくなる。もちろん企業会計の透明性は図られるだろうが、利益配分にまで県が嘴を差し挟むことは出来ない。もちろん県議会での「予算」「決算」審議も行われなくなる。つまり県民の手から離れることになるのを宮城県民は承知しているのだろうか。


 記事によると「県の試算では、従来方式で3事業を20年間運営する総事業費は3314億円だが、コンセッション導入で247億円を削減できるという。受託企業にはそのうち200億円を削減してもらう計画だ。村井嘉浩知事はコンセッションにより「水道料金の値上げを抑える」と説明する。20年後に2割増えると予想される水道料金の引き上げ幅を、コンセッションで1割程度に抑えたい考えだ」とある。なぜ県営では20年間の事業費のうち247億円削減できないのに、コンセッションでは削減できると考えているのだろうか。

 今後人口減で水道事業の維持が困難になる市町村が出て来ると思われるというが、人口が減少すれば確保し送水する水量も少なくなり、処理すべき下水量も減少するだろう。小体設備の更新も長寿命化されるだろうし、濾過設備や殺菌などの消耗品なども全体的に減少するだろう。水道事業の場合も、人口減が必ずしも高コスト化要因になるとは限らない。


 果たして「18年に下水道事業にコンセッションを導入した浜松市は上水道にも導入を検討。ただ、市民の理解を得られていないとして、導入に向けた議論を棚上げしている」という。命に直接関係のある「水」を民営化することに宮城県民は村井知事の思惑を「理解」するのだろうか。

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