政府と都の批判合戦は目糞鼻糞の類だ。

 <菅義偉首相は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言発令の検討を表明した4日の記者会見で、東京都を中心とした首都圏の「対策不足」に不満をにじませた。政府は経済的打撃が大きい宣言発令の回避に腐心してきたが、都の協力が得られず発令もやむなしと判断した。

 「北海道、大阪府など時間短縮を行った県は結果が出ている」  首相は4日の記者会見で、より厳しい営業時間短縮を飲食店に要請している自治体では新型コロナの新規感染者数が下降していると説明し、返す刀で首都圏は「減少せずに高い水準になっている」と指摘した。東京都などが適切な措置を取れば、事態は変わっていたとの思いがにじんだ。  首相は先月25日の記者会見で緊急事態宣言の発令に慎重姿勢を崩さなかった。水面下では宣言発令を検討していたが、31日に発令の可能性を記者団に問われた際も回答を避けた。別の政府高官も今月2日午前の時点で即時発令は「全くの間違い」と語っていた。  そうした矢先に東京都の小池百合子知事ら1都3県の知事が2日午後、政府に宣言発令を要請した。小池氏は逼迫する東京都の医療体制に危機感を強めており、首相の耳にも医療現場が厳しい状態にあるとの報告も入っていた。そして3日夕、担当閣僚を首相公邸に集め、30分ほど報告を受けた後に首相は告げた。  「やんなきゃいけないんじゃないか」  飲食店への時短要請の権限は都道府県にある。東京都は飲食店側の反発で逆効果になりかねないとして「午後8時まで」の要請をせぬまま感染が広がり、政府がその後始末をする形となった。こうした経緯に首相周辺は「飲食店を午後8時で閉じればいいのにやっていなかった。小池氏の失政だ」と不満をあらわにした>(以上「産経新聞」より引用)




 政府が都を「時短を実施しなかった」と東京の感染拡大が都知事の判断ミスであるかのように批判し、都知事は「非常事態宣言」を直ちに発出しない政府が感染拡大を招いている、と批判し合っている。
 しかし「ドッチモドッチ」だ。いずれも積極的な対策を実施して来なかった、という面では同罪だ。枝葉末節な議論に終始する前に、なぜ「検査と隔離」を政府も都も面的に実施して来なかったのだろうか。

 積極的な感染症対策を実施しないまま、感染拡大策の「GO TOキャンペーン」を実行する、という最悪の選択を政府は「経済を回す」という理屈で踏み出した。しかし武漢肺炎の終息を待って行うべき施策を終息を待たずして実施した政府の判断が招いた感染拡大であることは明らかだ。
 そして東京都も終息を待たずして飲食業者の営業時間を延長してしまった。そこに感染症対策の専門医たちの判断が尊重された節がないのは残念だ。なぜ専門医の判断に従い、それで経営が逼塞する経営者には持続化給付金を継続的に支給し、職を失った非正規やパートたちには生活資金給付を毎月継続的に実施すべきだった。

 飲食業者にせよ観光業者にせよ、経営破綻してはならないし、解雇された非正規やパートなどの暮らしを政治が守らなくて誰が守るというのか。武漢肺炎による経済的打撃は感染が終息すればV字回復するものだ。だから、終息するまでのツナギが必要なだけだ。
 決して出し惜しみしてはならないし、給付金を受け取る方も「詐欺」や「嘘」の申告をしてはならない。そこは節度ある国民性を遺憾なく発揮すべきだ。そして政府は地方自治体に持続化給付金の窓口を設けるように委託し、生活保護費の支給と同じ感覚で職を失った非正規やパートの人たちを給付金支給で救済すべきだ。

 記事によると「首相周辺は「飲食店を午後8時で閉じればいいのにやっていなかった。小池氏の失政だ」と不満をあらわにした」とあるが、目糞鼻糞を笑うの類ではないか。東京都の感染拡大は確かに「GO TOトラベル」から東京発着を外した当初、小池氏は不満タラタラだった。ポピュリズム政治家の面目躍如だったが、それを叱る感染症対策専門医の声が東京都で上がらなかったのは何故だろうか。
 引用記事では「北海道、大阪府など時間短縮を行った県は結果が出ている」とあるが、それらの地域で決して感染が終息しているわけではない。ただ下火になっただけだ。「検査と隔離」を下火の段階で積極的に実施して、感染拡大の芽を摘んでおく必要がある。

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