「医療崩壊」を「自宅待機」と言い換えるのは「敗退」を「転進」と呼んだ戦中の軍部と同じ手だ。

 <新型コロナウイルスに感染後、病院に入院せず、自宅や施設などで死亡した人が全国でこれまでに197人にのぼることが警察庁の調べで分かりました。

 警察庁によりますと、新型コロナウイルスの感染者のうち、医療施設に入院せず死亡した人は、全国で197人でした。今年に入ってからは75人と急増しています。  内訳は、PCR検査などで感染確認後、自宅や高齢者施設、宿泊療養施設などにいた人が59人。死亡後に検査が行われ、コロナへの感染が確認された人が138人でした。  

 自宅で死亡した人の中には入院先が見つからず、自宅療養などを余儀なくされていた人も含まれているとみられ、感染の拡大と医療体制のひっ迫が浮き彫りとなりました>(以上「TBSニュース」より引用)




 武漢肺炎感染患者で自宅療養中の患者が亡くなるケースが増えている。それと同時に名古屋では救急搬送で受け入れ先が決まらず、救急車の中で心肺停止に陥る患者が出るなど、医療体制が崩壊していると断定せざるを得ない。

 感染患者の自宅待機とせざるを得ない状況こそが医療崩壊だ。マスメディアの「自宅療養」と表現するのは「敗退」を「転進」と表現した戦時中のマスメディアの手法と酷似している。


 しかし、それにより実態が不透明になる。もちろん「敗退」と表現すれば負け戦を仕掛けた軍部の責任が問われる。だから「転進」と国民に報じたのだが、それにより国民は「まだ負けていない」と思い込まされて、絶望的な戦争を継続させられた。

 医療崩壊との認識が国民に広まれば、もちろん医療崩壊を招いた愚かな政策を立てた政府・厚労省の責任を問う声が国民に満ちて来るだろうが、それにより国民の認識と心構えと行動が変化するに違いない。政府が発出した緊急事態宣言の重みも違って来るだろう。


 言葉は物事を的確に表現するものでなければならない。「自宅待機=医療崩壊」だという認識をまず報道機関が持つべきだ。日本は指定感染症に罹患した患者は速やかに隔離すべきと定められている。法治国家であるなら法に従った対処を政府・行政はすべきだ。

 だから私は当初から「検査と隔離」をすべきと主張してきた。患者が発生している地域との空路を閉鎖すべきと主張して来た。しかし政府は碌な根拠もなく近隣諸国の入国制限を緩和してしまった。海外渡航も「なんとなく」規制緩和してしまった。それにより渡航歴のない日本国民から変異したウィルスに感染した患者が見つかっている。


 この一年間の安倍-菅自公政権の武漢肺炎の蔓延防止策は悉く失敗している。肝心要の初期動作の対中空路閉鎖を「春節」の中国人観光客のインバウンド収益後に行うなど、きわめて経済優先で対処するなどといった、防疫という観点に関しては実にふざけたものだった。

 そして一次感染のピークが収まりかけるや「GO TOトラベル」といった感染拡大策を強行した。これも「経済」を理由にして国民の健康と命を蔑ろにしたものだった。そして「GO TOトラベル」を停止するに際しても「エビデンスが~」とふざけたことを抜かした。人対人の感染症が蔓延する原因は人の移動と接触しかないではないか。そんな簡明な理屈すら理解できない馬鹿な政治家が日本の舵を握っているとは驚くばかりだ。


 ワクチン接種にしてもマイナンバーによる国民監視の道具にしようと企てる政治家がいるのも仰天だ。ワクチン接種をリアルタイムで管理するためにシステムを構築する、などと、緊急事態下にインプットなどを行う労力を費やす暇があるなら、なぜ出来もしないオリンピック用の選手村(という名のマンション施設)を感染患者の収容施設に転用する支度に費やさないのだろうか。そうするとオリンピック後にマンションとして売り出す予定だったものが売れなくなる、とでもいうつもりだろうか。売れなくなるといった損得勘定よりも国民の健康と命の方が大事手はないのか。

 全国各地の医療制度が崩壊に到っている。なぜ医療従事者の確保に政府・厚労省は特別手当を講じて医療従事者を全国的に募集しないのだろうか。看護師が決定的に足りないのなら、軽症者病棟へは介護士を派遣しても良いといった特措法を決めれば良い話だ。施設があっても人手が足りない、という言い訳は予算をケチり既得権を手放すまいとする縄張り意識の成せる無作為でしかない。


 国民はマスメディアの不適切な言葉遣いに騙されてはならない。既に日本も医療崩壊の状態にある。その原因は愚かな防疫体制と感染症対策にある。政府・厚労省の責任は重大だ。

 しかし野党も的確な感染症対策を打ち出していない。なぜ「検査と隔離」との拡大こそが感染症対策のイロハだと主張しないのだろうか。PCR検査の効果を疑問視し吹聴する似非・医療評論家がいるが、いかなる特効薬でも投与した患者が100%完治するものはない。70%程の有効性ならば、疑似陽性者は二度目の検査を実施すれば良いだけだ。いずれにせよ、人対人感染が明らかな感染症対策は感染患者を隔離することしか確実な感染防止策はない。この単純明快な論理を理解し、その対策に全力を挙げることだ。マスメディアの仕事は感染拡大を招く天下の愚策「GO TOトラベル」に手を貸すことではなく、「検査と隔離」を拡大させることが必要との世論の醸成にこそ力を貸すべきだ。

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