徹底した「検査と隔離」の実施を。
<新型コロナウイルス感染症の「第3波」で重症患者が急増し、各地の医療提供体制が崩壊の危機に陥っている。通常医療との兼ね合いから病床をすぐに空けられなかったり、自治体が立てた患者受け入れの想定が甘かったりしたためだ。
冬で循環器や脳の疾患患者が増え、新型コロナ患者用の病床が空かなくなってきている自治体もある。専門家は、必要な治療を受けられない患者がホテルや自宅にとどまる事態へと発展することを危惧する。
3日、緊急で開かれた大阪府の対策本部会議には、重苦しい空気が漂っていた。府は、重症病床(確保病床数206床)▽軽症・中等症病床(同1226床)▽ホテル療養(確保部屋数1789部屋)▽自宅療養――の4層構造で新型コロナ患者の受け皿を整備してきた>(以上「毎日新聞」より引用)
引用記事の見出しに「「GoToなどあり得ない」 医療崩壊に近づく大阪 病床確保の想定甘く」とある。やっと「GO TOキャンペーン」が感染拡大策だとマスメディアが批判し始めたようだ。
自公政権をマスメディアが批判し始めたのは慶賀の到りだが、余りに遅い。なぜ「GO TOキャンペーン」を始めた安倍自公政権の時に批判しなかったのだろうか。愚策に対して「愚策」だと批判しないマスメディアに存在意義はない。
医療崩壊の瀬戸際にあるのは北海道や大阪だけではない。地方は元々医療施設のキャパが少なく設定されている。そこに隔離が必要な武漢肺炎の感染患者が担ぎ込まれると病院はたちまち収容限界に達してしまう。
そこで広域圏で対応しようにも、広域圏でそうした設備を備えた病院は限られている。県全域で管理病床の数が少ないのだ。普段はそれで対応できていても、武漢肺炎の感染など特別な事態に直面すると医療はたちまち逼迫する。
逼迫するのは施設だけではない。ここ十数年の医療再編という厚労行政により、病院経営は常に逼迫していた。だから医師や看護師の確保も必要最低限に抑えている。それが裏目に出て、人手を必要とする隔離患者を受け入れて看護師や医師に過大な負担がかかっている。
「分科会」が政府提案の「GO TOキャンペーン」を容認したのだとしたら、それは感染症対策の「分科会」とはいえない。経済ありきの「分科会」だ。つまり武漢肺炎が終息していない内に、「専門家会議」が経済重視の「会」に再編されたに過ぎない。それでは感染が再び拡大するのは当たり前ではないか。
マスメディアは世論を誘導する力がある。だから「GO TOキャンペーン」をマスメディアが宣伝するかのように連日連夜「GO TOトラベル」の利用方法を解説すれば、国民は自然と浮き立つ。自粛など過去のものとなって紅葉の嵐山が芋の子を洗うような人出となる。
一度緩んだ気を引き締めるのは難しい。しかし年末年始に向けて、国民の気を引き締めなければならない。西村某担当大臣が年末年始17連休だ、と打ち上げ花火を打ち上げていたが、それこそ愚の骨頂だ。チマチマとした「GO TOキャンペーン」という「経済を回す」対策によって、むしろ第三波の山を高くして「経済を停止」させかねない。まだまだ経済を回す段階にない。まずは徹底した「検査と隔離」を行うべきだ。