対中デカップリングを進めるしかない。横暴極まりない中共政府と何を協調するというのか。

 <王毅外相が来日した「裏の意味」

中国の王毅外相が112425の両日、東京で茂木敏充外相や菅義偉首相と会談した。これに先立ち、中国は地域的な包括的経済連携(RCEP)に署名し、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を検討する方針を表明している。一連の外交攻勢は何を意味するのか。

王毅外相の訪日は中国側が希望し、日本が受け入れる形で実現した。つまり、中国側に日本と接触したい意図があった。中国は、ドナルド・トランプ政権の米国と最悪の関係にある。そこで日中関係を円滑にして、日米の絆に楔を打ち込みたいのだ。

米国はトランプ大統領が大統領選の敗北を認めていないが、ようやく政権移行プロセスが始まり、ジョー・バイデン氏の次期大統領就任は確実視されている。中国とすれば、米国の政権交代は日米中の関係全体を自国有利に再構築する絶好のチャンスになっている。

日中外相会談で、どんな成果があったかと言えば、日中間のビジネス往来の再開だ。短期出張のビジネス往来について、双方が入国後14日間の隔離待機を免除する。ただし、中長期滞在者は14日間の隔離待機を義務付ける。

中国のコロナ禍は収束していない。上海市では複数の新たな感染者が見つかり、上海浦東国際空港は22日、空港職員に対して大規模なPCR検査を実施した。現場が大混乱に陥った様子が動画に収められている

日本も第3波の感染拡大を受けて24日、札幌市と大阪市を目的地とする「GoToトラベル事業」を見直した。そんな中、中国との往来規制緩和は時期尚早ではないか、との見方もあるが、菅政権は緩和に踏み切った。今後も警戒が必要だろう。

中国が「弱腰」になってきた

日本にとって、最大の懸案事項は尖閣諸島問題だ。茂木氏は会談で「個別事象にも言及しつつ、中国側の前向きな行動を強く求めた」

一方、王氏は共同会見で次のように述べた。

先ほど、茂木大臣が釣魚島(注・尖閣諸島)について言及されましたが、我々も最近の情勢と事態を注視しています。一つの事実を紹介したい。真相が分かっていない、日本の漁船が釣魚島の周辺の敏感な水域に入っている事態が発生しています。これに対して、我々はやむを得ず、必要な対応をしなければなりません。これが一つの基本的な状況です。

中国側の立場は明確です。我々はもちろん、引き続き自国の主権を守っていきます。それと同時に、3点の希望を持っています。まず、1点目は双方が原則的共通的認識を堅持することです。2点目は敏感的水域における事態を複雑化させる行動を避けることです。問題が発生した場合は、意思疎通と対話を通じて適切に対処することです。

我々は引き続き、双方の共同の努力を通じて東海(注・日本海)を「平和の海」「友好の海」「協力の海」にしていきたいと思います。これが両国の共通の利益に達する、と思います(NHKの記者会見動画より。通訳は中国側)。

この発言に対して、ネットでは「尖閣は日本の領土だ。日本に来て、尖閣の主権を主張するとは許せない。外相はなぜ、強く抗議をしないのか」などと怒りのツイートがあふれた。日本が中国の主張を容認できないのは、当然だ。

だが、私はむしろ、この発言は中国にしては「弱腰」だったように思う。

それは「周辺の敏感な水域」とか「やむを得ず、必要な対応をする」という点ににじんでいる。中国は「尖閣は自分たちのもの」と考えている。相次ぐ公船の派遣は「施政権を行使しているのは、日本ではなく自分たち」という実績作りのためだ

そうであれば、日本漁船が侵入した「領海」について「敏感な水域」などと婉曲な言い方をする必要はない。まして「やむを得ず」対応する話でもない。

それは、立場を入れ替えて、日本が取り締まる側になれば、分かるだろう。中国漁船が領海に侵入したとき、日本の外相が「敏感な水域」なので「やむを得ず」取り締まる、などと言うわけがない。粛々と法執行すればいいだけだ。

王氏は後段で「(双方が)事態を複雑化させる行動を避ける」とも言った。中国側は「日本漁船の拿捕」や「尖閣上陸」はしない、という話なのだろうか。日本とすれば、もしも中国が拿捕に動けば「事態を複雑にしたのはオマエたちだ」という話になる。

柔軟路線に転じた中国の狙い

中国が「強腰」になると、どういう言い方をするか。

たとえば、習氏は海軍陸戦隊を視察した際、台湾を念頭に「全身全霊で戦争に備えよ」と激を飛ばした。あるいは、制服組トップの許其亮・中央軍事委員会副主席は「能動的な戦争立案を加速する」と訴えた。これらに比べると、今回の発言は明らかに落差がある。

外交担当ナンバー2の王毅氏(ナンバー1は楊潔篪・中国共産党中央政治局委員)とすれば、自分の発言が「中国国内でどう受け止められるか」という点も念頭に置いて、「尖閣諸島は中国の領土」という自分たちの原則を守りながら、ぎりぎりの妥協点を示したのではないか。

中国が柔軟路線に転じたとすれば、狙いは明らかだ。日本にすり寄って、可能なら取り込みたいのだ。日米を分断するのは無理としても、せめて「日本が米国と歩調をそろえて、中国包囲網の強化に走るのは食い止めたい」というのが本心だろう。

一方、習氏は1120日、オンラインで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、TPPへの参加について「前向きに検討する」と表明した。これもアジア太平洋で中国包囲網が拡大するのを阻止する狙い、と思われる。本気でTPPに加盟したいわけではない。

TPPは中国が署名したRCEPよりも関税撤廃率が大きく、知的財産保護や国有企業に対する補助金規制も厳しい。習政権にとって、国有企業は政権の屋台骨であり、既得権益の塊だ。そんな国有企業を犠牲にしてまで、習氏がTPP参加を目指すわけがない。

にもかかわらず「参加するかもしれない」と思わせぶりな態度を見せたのは、トランプ政権がTPPから脱退し、米国がいない間に「貿易をめぐる議論の主導権を握る」思惑とみていい。

中国が国際ルールを守らず、知的財産を盗みまくっているのは、いまや世界の誰もが知っている。そんな中国が「自由貿易を推進する」などと言っても、真に受けるような、おめでたい国はない。中国もそうと知っていながら、あえて演じているのだ。

TPPは当初から、アジア太平洋の潜在的脅威となった「中国の封じ込め」が裏テーマだった。だが、正面からそんな話をすれば、あからさまに中国と敵対する形になってしまう。だから「自由貿易を進める限り、どの国にも門戸は開かれている」という建前を守ってきた。

いまや、中国はそれを逆手にとっている。本心はさておき「自由貿易を推進する」と言い続けてさえいれば、他国は表立って中国を批判しにくい。これは、本音と建前が交錯する「歌舞伎ゲーム」だ。どちらが相手を論理で抑え込むのか。その裏側には、軍事力も控えている。

中国と日米の対立は、レトリックを含めて複雑な様相を呈し始めた>(以上「現代ビジネス」より引用)




 中共政府を決して信用してはならない。これまで何度煮え湯を飲まされたことか。中共政府は困っている時は揉み手をして日本に近寄り、調子が良いときはイケダカに傲慢不遜な態度で日本を突き放す。

 王毅氏の「揉み手外交」を経験則から判断すれば、中共政府はこれまでにないほどの困難に直面しているようだ。中共政府が発表している経済は驚異的に復興している、とか食糧は対前年比増の収穫で飢饉の心配はない、が食糧は大事にして食べ残しは犯罪だ、とキャンペーンを張っている。


 中共政府は順調以上に回復している、とコメントしている経済はすでに崩壊している。一京円を超える政府債務を抱え、銀行(銀行はすべて国営)は軒並み債務超過状態だ。

 もちろん経済を牽引してきた国内投資もままならない。不動産もバブル崩壊して、政府は強権で価格維持をしているが、背に腹は代えられない国民は所有する不動産を投げ売りしている。


 貿易収支も米国トランプ氏の対中デカップリング策が確実に効き出している。国内景気はもちろん武漢肺炎の蔓延と初夏から晩秋にかけての揚子江流域の大洪水などにより経済は大きくマイナスに陥っていると思われる。中共政府が経済は対前年比数㌫だが成長している、と相変わらず大嘘を繰り返し報じている(中国のマスメディアはすべて国営)が、世界中の誰も信じてはいない。

 そして最後の切り札だった中共政府子飼いのバイデン氏が米国大統領になれば習近平氏が苦境から脱出する大転換が起きると、一縷の望みを掛けていたが、どうやらバイデン氏が米大統領になる目が消えそうだと悲観的な見通しだ。習近平氏は自身の身の振り方を考えなければならない事態になりつつあることを自覚しているようだ。だから王毅氏を日本へ訪問させて、経済的な打開策を求めているのだろう。


 なぜなら日本の政財界に親中派を飼って来たからだ。彼らを総動員すれば何とかなるだろうと考えても不思議ではない。しかし日本国民の82%が嫌中だ。習近平氏の国賓待遇での招待など出来る環境にない。そのことを王毅氏は帰国して習近平氏に何と報告したのだろうか。

 菅政権はどうであれ、日本は米国トランプ政権の対中デカップリングに協調するしかない。日米豪印の四ヶ国連盟を強化していく方向を崩してはならない。それは長谷川幸弘氏が論じるまでもないことだ。

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