大阪都構想は再度否決された。

 <大阪市を廃止して四つの特別区に再編する大阪都構想の是非を問う住民投票が1日行われ、約1万7千票の僅差(きんさ)で反対多数となった。前回2015年に続く否決だ。大阪維新の会代表の松井一郎市長は23年4月の任期満了で政界を引退すると表明した。当日有権者数は220万5730人、投票率は前回を4・48ポイント下回る62・35%だった。

 松井氏は1日夜に記者会見し「けじめをつけなければならない」と政界を引退する考えを示した。吉村洋文代表代行(府知事)は「僕が都構想に挑戦することはない」と述べた。維新は党のリーダーと看板政策の都構想を同時に失った。  松井氏は菅義偉首相との関係が良好で、代表を務める国政政党・日本維新の会は政権に協力的な姿勢もとってきた。今回の結果が国政にも影響を及ぼす可能性がある。  住民投票では、人口約270万人の大阪市を約60万~75万人の四つの特別区に再編する制度案への賛否が問われた。大阪市が持つ都市開発やインフラ整備などの権限を大阪府に一元化し、特別区は教育や子育て支援など身近な住民サービスにあたる構想。今回の否決で都構想は廃案となり、大阪市は存続する。  反対派の自民党と共産党などは、特別区の財政収支見通しに新型コロナウイルスの経済への影響が反映されていないことなどを問題視。特別区が収支不足に陥り、住民サービスが低下する恐れがあるとして、政令指定市としての大阪市の存続を訴えた。賛成派の維新と公明党は、府と市の権限が重なり合う「二重行政」の解消が経済成長につながり、特別区への再編で住民サービスも充実できると訴えてきた。  

 都構想の是非を問う住民投票は2度目。前回は反対70万5585票、賛成69万4844票の約1万票の僅差で否決され、当時の維新代表で大阪市長だった橋下徹氏が政界を引退した。前回と異なり、公明党が賛成に転じて山口那津男代表が大阪入りして維新と街頭演説に立つなどテコ入れを図ったが、改めての否決となった>(以上「朝日新聞」より引用)




 大阪都構想の住民投票が僅差とはいえ再度否決されたという。慶賀すべきことだが、二度にわたる無意味な「大阪都構想」を掲げて大騒動を演じた維新と大阪市長並びに大阪府知事は引責辞任すべきだ。

 そもそも大阪都構想とは「人口約270万人の大阪市を約60万~75万人の四つの特別区に再編する制度案への賛否が問われた。大阪市が持つ都市開発やインフラ整備などの権限を大阪府に一元化し、特別区は教育や子育て支援など身近な住民サービスにあたる構想」だと説明されていた。その何処が二重行政を排してサービス向上を目指すことになるのだろうか。


 むしろ市長に相当する「区長」が四人に増え、区議会議員も現行の大阪市議会議員よりも増員になる事は避けられない。そして行政は大阪市よりも各区でコマギレとなり、予算執行権を著しく制限された区による住民サービスは低下することも避けられない。

 二重行政というが、大阪府図書館と大阪市図書館とでは自ずから収集し保存する資料は異なるだろう。大阪府全域を俯瞰した史料などは大阪府図書館に、市域の史料は大阪市図書館に保存されるのが当然ではないだろうか。道路なども大阪府内の主要道路は大阪府が所管し、大阪市内の生活道路を大阪市が所管する、というのが的を得た整備・維持ではないだろうか。


 大阪都構想を目指した大阪市長はなぜ自ら大阪市を四つに分割する「分割」を提起しなかったのだろうか。四分割して実質的に市政を各区の行政区に分割して、270万人の行政特別区として特別に与えられている行政権を府に返上して、一般的な「市」と同等の「区」と称する代替案は考え付かなかったのだろうか。

 前回の大阪都構想が住民投票により否決された段階で、次なる「構想」を模索すべきではなかったか。思考停止したかのような二度にわたる同内容での住民投票の実施には党勢維持の「悪意」すら感じる。


 しかも、今回は公明党まで大阪都構想に賛成の立場で住民投票が実施されての再度の否決には大阪府民の進歩が見られる。元々大阪は公明党の強い地域だ。その公明党と地域政党色の強い維新が組めば鬼に金棒だったはずだが、実際は僅差とはいえ前回よりも否決票が賛成票を上回った。

 宗教団体を標榜する創価学会を批判するつもりはないが、明白な宗教団体が政党を持つという政治への関与は限りなく憲法規定に抵触する可能性が高い。選挙時の創価学会員による公明党への投票依頼行動は宗教団体の域を明確に超えている。それはまさしく「政党後援会」以上の政治活動ではないだろうか。今回の大阪都構想に対して公明党が賛意を表明して党代表までも大阪入りしてテコ入れをした挙句の否決は維新の退潮と同時に創価学会の政治力の衰退を顕著に表しているのではないだろうか。


 国政では自民党と連立を組んで公明党が政権与党になる、という宗教政党が国政を直接動かすという憲法違反に限りなく近い状態を自民党は10年以上も演じてきた。この際、国民・有権者は思想信条の自由のために宗教が政党を持つという異常事態に批判の目を向けるべきだ。宗教の自由を守るためには「政教分離」が大原則だという先の大戦への反省を今一度振り返るべきではないだろうか。

 大阪都構想の無意味な再度の住民投票が残した意義とは、公明党が維新に相乗りした挙句、大阪都構想が否決されたことではないだろうか。教祖への帰依と思考停止を大前提とする信仰・宗教を利用して、思考停止した信者に投票行動を指図する宗教団体の政治への関与を排除すべきとする機運が高まることを期待する。

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