「GO TO キャンペーン」は誰のため。
<「GoToトラベル」キャンペーンで、旅行先で利用できる「地域共通クーポン」の運用が1日から始まりましたが、参加の申請をした店舗数が観光庁の想定の2割以下にとどまっていることがJNNの取材でわかりました。
1日から運用が始まった「地域共通クーポン」は旅行期間中に、旅行先と、隣接する都道府県のクーポン参加事業者で使用でき、旅行代金の最大15%相当が補助されます。
観光庁は当初、全国で100万店の参加を想定していましたが、1日の時点で参加申請をした店舗はおよそ18万店で、想定の2割以下にとどまっていることがわかりました。またこのうち、参加登録が完了しているのは13万店あまりで、およそ5万店が登録作業中だということです。
観光庁は「登録は今後も受け付けるので積極的に参加してほしい」としています>(以上「TBS news」より引用)
政府は事業規模108兆円におよぶ「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」のもと、16兆8,057億円にのぼる2020年度補正予算案を閣議決定した。この内、1兆6,794億円が旅行、飲食、イベント、商店街といった一連の需要喚起事業「Go To キャンペーン」に充てられる。しかし上記記事によれば「「GoToトラベル」キャンペーンで、旅行先で利用できる「地域共通クーポン」の運用が1日から始まったが、参加の申請をした店舗数が観光庁の想定の2割以下にとどまっている」という。面倒な手続きが嫌われたのだろうか。
それにしても安倍自公政権の仕事は委託業務のてんこ盛りだ。「Go To トラベル」は予算1兆3,500億円で、旅行・宿泊代金の割引と地域共通クーポン発行による国の支援額は1兆1,248億3,327万5千円、運営委託費として契約上限2,294億円で公募が行われ、運営事務局に「ツーリズム産業共同提案体」、委託費用は1,895億円で採択された。
「ツーリズム産業共同提案体」は一般社団法人日本旅行業協会、一般社団法人全国旅行業協会、公益社団法人日本観光振興協会、株式会社JTB、KNT-CTホールディングス株式会社、株式会社日本旅行、東武トップツアーズ株式会社によるコンソーシアム。また、協力団体として、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、一般社団法人日本旅館協会、一般社団法人日本ホテル協会、一般社団法人全日本シティホテル連盟 、株式会社リクルートライフスタイル、楽天株式会社、ヤフー株式会社が参画している。つまり1兆6,794億円の予算から「Go To トラベル」分を差し引いた3,294億円をイート、イベント、商店街で割り振る形となる。
「日本の経済を回す」のではなく、自公政権が関係する各種団体の「経済を回す」ための事業ではないか。さらに「Go To トラベル」において宿泊名簿管理を第三者が照合するという仕組みだ。そのために設置された「第三者機関」には公的機関もしくは事務局内の照会ではなく、予約システム等を提供する外部の企業や団体が登録できるという。第三者機関の利用には二つの方法がある。一つが「施設直接管理」方式だ。同方式は、あくまで第三者機関に対して予約情報のエビデンスを残すだけで、給付申請は宿泊施設側が直接行う。もちろん、自社のウェブサイト内には前述したように「Go To トラベル」適用のための料金表示やクーポン発行などの対応がでてくる。もう一つ「委託管理」方式で、第三者機関が宿泊施設に代わり給付金の交付申請を行い、給付金は第三者機関から宿泊施設に振り込まれる形だ。「Go To トラベル」の宿泊事業者申請の際、どの方式で登録するかが必須となるというから煩雑さは並大抵ではない。
その「第三者機関」として登録された企業・団体は六社ほどが明らかになっているが、なんだか官邸のお友達企業や団体が雁首を揃えているのではないかと疑いたくなる。制度の複雑さや不安定さから「Go To トラベル」を敬遠する声もあるという。
周囲の旅行会社や宿泊施設経営者には「複雑な制度を理解するのが大変。面倒な申請の対応に追われるよりも、目の前のお客や常連を大切にしたいから登録はしない」と「GO TO トラベル」を敬遠する業者も少なからずいるという。誰のための「GO TO キャンペーン」なのか。
国民は「経済を回す」ことにより「コロナウィルスを全国に回す」ことになりはしないかと心配している。そして所詮は「GO TOトラベル」を利用できるのは富裕層でしかないのではないか。一般国民の多くは武漢肺炎の蔓延により雇用や就業機会の減少といった、生活基盤そのものを脅かされている。「GO TO キャンペーン」にウツツを抜かしている状況ではないのではないか。