自由競争原則を超える政治が今こそ必要だ。
<企業が従業員に支払う休業手当の一部を国が補う「雇用調整助成金」(雇調金)の上限を引き上げた特例措置について、政府・与党が期限の12月末以降も継続し、必要な財源を令和2年度第3次補正予算案に盛り込む方針を固めたことが29日、分かった。新型コロナウイルスの感染再拡大で国内の景気回復は遅れており、3次補正で編成する追加経済対策は総額10兆円超になる見通し。菅義偉首相が11月上旬にも関係閣僚に指示する。
雇調金はコロナ禍を受け従業員1人当たりの上限が1日につき8330円から1万5千円に、中小企業向け助成率も9割から10割にそれぞれ引き上げられた。政府は今年度の1、2次補正予算に加え新型コロナ感染症対策予備費からも財源を追加し、総額約2兆8千億円を確保したが、23日までの支給決定額は約1兆9千億円に達している。 国内の雇用環境は依然不安定だ。総務省が2日発表した8月の完全失業率(季節調整値)は3年3カ月ぶりに3・0%まで悪化し、完全失業者数は7カ月連続で増加した。雇調金は今後も需要が見込まれ、特例措置の期限を延長して3次補正で必要な財源を手当てする。ただ、特例措置を段階的に縮小して元に戻していく必要性も指摘されており、制度設計の変更も検討する。菅政権は3次補正予算案を来年1月召集の通常国会冒頭で提出し、コロナ禍で落ち込んだ経済の立て直しに注力する。3年度予算案と一体で編成し、切れ目のない「15カ月予算」として対策を続ける構え。財源は約7兆円が残るコロナ予備費の一部を繰り入れるほか、不足分は追加で赤字国債を発行する方向だ。観光支援事業「Go To トラベル」も期間を延長し、週末や特定の地域・宿に利用者が集中しないよう運用面の改善を併せて検討する>(以上「産経新聞」より引用)
「構造改革」派の竹中氏や側近入りした英国人アトキンソン氏などは「中小企業」を自由競争原理で「潰れる所は潰せ」という基本姿勢だ。その前哨戦として地全国の零細企業を支えていた全国の「信金」を合併・再編させた。今度は中小企業対策だとして、菅氏は全国地銀の合併・再編を打ち上げている。
さらに中小・零細潰しのために、最低賃金の引き上げを打ち出している。最低賃金を支払わなければ労基違反で挙げられるし、そうすると中小企業は人手不足の追い打ちになって潰れるしかない。それが「自由競争原理」だというのなら、日本の製造業の基本的な構造を理解していない愚かな「合理主義者」だと批判するしかない。
日本の雇用の実に97%を吸収しているのは中小・零細企業だ。しかも、それらの企業はキラリと光る「オンリー・ワン技術」を持っているものばかりだ。大企業が「合理的」経営原理で切り捨てた分野を頑なに守っているのは中小・零細企業だ。
たとえば日本が誇る匠の技といわれる「シボリ」は全国に数社しかない中小企業の独壇場だ。その技を継承させ、発展させるのが政治の役割ではないか。モノ造り日本の大黒柱を担っている中小企業を潰して、長銀のように匠の技をM&Aなどで安価に外資に売り飛ばそうとしているのがアトキンソン氏や竹中氏たち「構造改革」派たちだ。
引用記事に「雇調金はコロナ禍を受け従業員1人当たりの上限が1日につき8330円から1万5千円に、中小企業向け助成率も9割から10割にそれぞれ引き上げられた。政府は今年度の1、2次補正予算に加え新型コロナ感染症対策予備費からも財源を追加し、総額約2兆8千億円を確保したが、23日までの支給決定額は約1兆9千億円に達している」とあるが、政府はこれで打ち切りにして中小企業を潰すつもりだった。
しかし党内からも中小企業を地盤としている議員などから突き上げがあったのだろう、「政府・与党が期限の12月末以降も継続し、必要な財源を令和2年度第3次補正予算案に盛り込む方針を固めた」という。令和2年度だけではない。来年度もコロナ禍が去るまで中小企業対策予算を支出し続けるべきだ。匠の技を継承させなくてはモノ造り日本の伝統が滅びてしまう。
何でもかんでも外資に売り飛ばして儲ければ良い、というハゲ鷹の本性を露わにした「構造改革」派たちの牙城と化した政府の「成長戦略会議」を菅自公政権とともに倒すまで、全国の中小企業を護らなければならない。それが経済原則を超えた政治というものだ。