米軍の日本駐留経費負担増を議論すると深い根を掘り起こすことになる。
<2021年度以降の在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の根拠となる特別協定を巡り、日米両政府の交渉担当者は15、16の両日にわたり協議した。関係者によると、日米とも具体的な金額は提示せず、日本側が新型コロナウイルスの影響などで厳しさを増す財政状況を説明したのに対し、米側は日本にさらなる役割を果たすよう期待を示した。
茂木敏充外相は16日の記者会見で、現状の日本の負担水準について「駐留経費は適切に分担されている」と強調。「一層厳しさを増す地域の安全保障環境や日本の厳しい財政状況などを踏まえ、適切に対応したい」と米側に理解を求める考えを示した。 日本側の交渉代表は外務省北米局の有馬裕参事官、米側は米国務省のウェルトン安全保障関係交渉・協定担当上級顧問で、協議は2日間にわたりオンライン形式で実施した。本格的な交渉は11月3日の米大統領選後になる見通し。現行協定は16~20年度に基地内労働者の給与など計9465億円を負担する内容>(以上「毎日新聞」より引用)
引用記事によると「2021年度以降の在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の根拠となる特別協定を巡り、日米両政府の交渉担当者は15、16の両日にわたり協議した。関係者によると、日米とも具体的な金額は提示せず、日本側が新型コロナウイルスの影響などで厳しさを増す財政状況を説明したのに対し、米側は日本にさらなる役割を果たすよう期待を示した」という。
現在、日本政府は米軍の駐留経費の75%以上を支払っている。世界随一の負担割合だ。他の国では概ね40~50%台であることを考えると、既に日本政府は米国から負担額が少ないと批判される謂れはない。これ以上の負担は米軍の人件費部分に踏み込むため、米軍は日本の「傭兵」ということになる。これほど態度の横柄な「傭兵」など世界の何処にもない。
確かに駐留米軍は日本の安全保障にとって現状では欠かせない。近隣に北朝鮮や中共政府の中国といった核武装した国が日本の各地に照準を合わせたミサイルを配備しているからには、核武装していない日本に対抗手段はない。通常兵器の戦いなら、自衛隊は極東アジアで最強だが、核兵器の前には無力だ。
だから米軍の「核の傘」の下に身を寄せている。日本国内に百ヶ所以上の基地に駐留を許している。しかし駐留しているだけではなく、米軍は極東からアフリカまでカバーする作戦行動の「基地化」していることを米国政府は認識すべきだ。米海軍第七艦隊は横須賀基地がなければインド・太平洋地域で活動することはできない。
だから日本政府は既に過剰な駐留経費を負担しているといわざるを得ない。それは米国の世界戦略の地球半分をカバーする巨大な防衛圏を維持する一端を日本の基地が担っているからだ。
だからトランプ氏が現行負担額の四倍を請求してきた段階で「米軍撤退論」が日本国内に湧き上がった。もちろんトランプ氏の四倍増に根拠がないわけではない。それは米軍が日本の基地に持ち込んで使用している戦闘機や空母艦船などの兵器の「調達費」を耐用年数で除した一年分を負担したならばそうなるだろう。だからトランプ氏の請求額は荒唐無稽というものではない。
しかし、それなら日本は日本が開発した兵器を駐留米軍に使用して頂きたい。その方が格段に安くつくし、軍事開発技術の民生への転用益も手に入るからだ。当然、日本で製造した戦闘機や空母の方が機能性や信頼性で米国製のモノより上回るだろう。
だが、それを米国政府は「了」とするだろうか。戦前のように日米が軍事上のライバル関係に戻ることを米国民は望んでいるだろうか。本気で開発すれば核兵器など日本はアッという間に開発できるだろう。そして軍事のデジタル化でも米国の水準を追い抜くのにそれほど時間はかからないだろう。中共政府の中国程度だと思ってもらっては困る。戦前に日本は既に空母艦隊を所有し、当時の世界随一の艦載機「ゼロ戦」を製造・配備していた。
北朝鮮と中共政府の中国の脅威を米国のディープステートは日本を米国の足元に跪かせるために排除しなかった。極東が不安定の方が日本は米軍を頼りにする。いや極東だけではない。米国の軍産共同体にとって世界のど何処かの火薬庫が燻り、時には発火して爆発する方が望ましい。それは世界の何処かであって、決して米国であってはならないが。
しかし世界中から戦争の脅威が消え去れば米国の軍産共同体の活躍根拠を失ってしまう。需要がなくなれば供給は削減される運命だ。だから決してディープステートは中共政府の軍事的拡張を直截的に咎めようとはしなかった。ディープステート支配下の歴代民主党政権がそうだったと証明している。
しかしトランプ氏はディープステートの紐付きでない稀有な米国大統領だ。だから私は秘かにトランプ氏が暗殺されないかと心配している。歴代米国大統領で暗殺された人たちはディープステートに逆らった大統領だったからだ。
それともトランプ氏はディープステートと「手打ち」を済ませているのだろうか。ここまで中共政府を追い詰めても良いが、決して日本への脅威を完全除去してはならない、と。そうすれば米軍が日本に居座って、日本政府を支配する足掛かりを失いかねない。それは米国にとって甚大な損害だ。戦後支配体制の大幅な変化と、世界戦略に日本を組み込む仕掛けが消え去ることになる。そうすると平和国家日本が国連に代わる国際機関の構築に動き出しかねない。それこそパックスアメリカーナの終焉に駆りかねない、と。
しかし米国は世界の警察官役を降りようとしている。軍事的覇権を世界に及ぼすことに米国民は疲れている。それよの日本並みの医療保険制度が米国民に必要だという認識が広まっている。世界随一の超大国の国民が貧困に喘夷ぐことなどあり得ない、と米国民は米国社会の奇妙な現実に気付きつつある。
ディープステート支配の国家がいかに国民を貧困化へ追い遣っているか。製造業を軽視し、金融屋が大きな顔をしてノサバッテいる米国の恣意構造に米国民の多くが気付きつつある。それこそ変革すべきは「米国を米国民が取り戻す」ことだ。マスメディアを取り戻し、政治を取り戻すことだ。
日本の米軍駐留経費に触れば、日本側から私のような論理がネットで米国のみならず世界中に拡散されるだろう。それは中共政府の中国と同様に、世界を数世紀にわたって支配して来たディープステートの終焉の切っ掛けになるだろう。