習近平氏の引き際は。

 <中国共産党の重要会議である第19期中央委員会第5回総会(5中全会)が26日、北京で4日間の日程で開会した。国営新華社通信が伝えた。2021年以降の第14期5カ年計画の基本方針に加え、35年までの長期目標を議論するため、習近平国家主席(党総書記)の長期政権実現に向けた布石との見方もある。米中対立や新型コロナウイルスを見据えた経済戦略に加え、党幹部の人事も注目点だ。最終日の29日に成果をまとめたコミュニケ(公報)を発表する。

 習指導部は今春以降、内需主導の発展モデル「双循環(二つの循環)」を打ち出している。新型コロナの感染拡大による外需低迷や米中対立の長期化も見据え、外需への依存を弱めて内需主導の経済体制の確立を目指すもので、5カ年計画(21~25年)にも反映される可能性が高い。  具体的には、所得の底上げを通じた消費拡大や、米国の輸出規制を受けた半導体産業の育成・支援策、60年までに二酸化炭素の排出量を「実質ゼロ」とする目標の具体策などが焦点だ。  また、35年までの長期目標では、国内総生産(GDP)が30年ごろに米国を逆転すると予想される中、具体的な見通しを示すかも注目される。  習指導部は16~20年の5年間で年平均6・5%以上の経済成長率を目指してきた。新たな5カ年計画では、成長の質を重視し、平均5~5・5%程度に引き下げるとの見方があるが、具体的な数字を示さない可能性もある。  一方、今後15年間の長期目標を策定することで、習氏が22年の共産党大会以降も最高指導者の任期を続けるための環境整備が一層進むとの見方もある。  習氏は17年の党大会で後継者候補を明示せず、18年の憲法改正で国家主席の任期を撤廃するなど、2期10年の慣例を破る長期政権の実現に向けた布石ともみられる動きをしてきた。  過去の5中全会は重要人事が決まる場でもあり、1989年の第13期は、鄧小平氏が中央軍事委員会主席を辞任し、江沢民氏が引き継いだ。2010年の第17期は、習氏が中央軍事委副主席に就任して次期最高指導者の地位を固めた。  

 中央委員会の委員は5年に1度の党大会で選出される。中央委員会は党大会と並ぶ最高指導機関で指導部人事や重要政策の方針を決める権限を持つ。約200人の中央委員と議決権を持たない約170人の中央候補委員で構成され、党規約で少なくとも毎年1回総会を開くことが定められている>(以上「毎日新聞」より引用)




 マスメディアによる報道とはこうしたものなのか、と常に慨嘆する。習近平氏が第19期中央委員会第5回総会で何を述べるかが問題ではなく、中共政府が14億中国民をどうするのかが愁眉の的ではないか。

 自由主義諸国は対中デカップリングに向けて連携している。ことに日米豪印の四ヶ国は東アジアで協力して中国の武力による国境線の変更を許さない体制を構築している。こうした中共政府の危機的な状況に対して、習近平氏が中国民を飢えさせないために、いかなる手立てを用意しているのかが最大の関心事ではないだろうか。


 習近平氏が当初は「内部循環経済」と称していた経済目標を、いつの間にか「双循環経済」と言い換えている。そう循環経済とは内部循環だけでなく、新・シルクロードや「一帯一路」による中共政府支配下の貿易網による世界貿易取引とを併せた経済を構築する、というものだそうだ。

 しかし新・シルクロードの基幹となるはずの高速鉄道網は中国国境から外ー向かっての敷設は難航している。そして「一帯一路」構想に基づく外国航路上の港湾や空港の中共政府支配は頓挫しつつある。ことに「一帯一路」の終点だった欧州で「香港への国安法」適用以後、反中国の機運が際立っている。


 中共政府によるお為ごかしの過剰投資を押し付けて港湾整備を行って、「一帯一路」上の拠点とすべき整備された港湾の租借や独占という「不平等契約」が諸外国にバレ始めて、債務返還拒否や契約破棄が相次いでいる。既に習近平氏が描いた「一帯一路」構想も破綻しつつある。

 中共政府の中国が世界第二位の経済大国に短期間でなれたのは巨額な外国投資と企業進出による技術供与による。しかし習近平氏は自国の経済大国ぶりを、すべて自前の成果だと勘違いしたようだ。経済も技術も世界有数の超大国だと思い込んだようだ。


 習近平氏はオバマ氏に「太平洋を二分して半分を中共政府に寄こせ」と持ち掛け、米国政府を激怒させた。 それまで米国は躍進日本を委縮させ牽制する道具として中国を使ってきたが、それが間違いだったと百年かかって、やっと気付いた。

 外資が手を退けば中国は蛻の殻になる。手にしていると思っていた資本も技術も「借り物」に過ぎなかったと、習近平氏は気付いたようだ。だから「内部循環経済」を目指すと表明したが、今更改革開放以前の40年前の中国に戻るわけにはいかないと気付き、「双循環経済」などと言い換えた。


 米国の骨折りでWTOに加盟し、自由経済圏との資本取引と貿易で躍進した経済原理を理解せず、恰も自前で資本を形成し技術開発したと思い込んだ「勘違い」が習近平氏の命取りになるだろう。彼の周囲にそうした中共政府の中国の実像をレクチャーする側近が皆無だったのだろう。或いは耳に痛いことを進言する側近を遠ざけたのか。

 いずれにせよ、張子の虎に過ぎない中国を習近平氏は知らなかった。巨額な外貨準備も外国資本が進出する際に持ち込んだものが大半で、外資が撤退する際には返却しなければならない。しかし中共政府の中国は外貨を湯水のように「一帯一路」などで濫費してしまった。外貨準備は空っぽになってしまった。だからドル基軸通貨によらない「元」基軸通貨圏を形成しようと焦り、「デジタル元」などと寝言をほざいているが、そんな子供騙しの手法に乗るのは日本の似非・経済評論家たちだけだ。


 中共政府の中国は実質的にデフォルトしている。既に地方政府の一部では公務員の遅配が始まっているという。千人単位の中国人技術者がベトナムへ職を求めて中越国境に殺到し、それに危機感を覚えた中共政府は中越国境に高さ2メートル以上の塀を造るという。

 国家が国民を閉じ込める「檻」と化した中共政府の中国に未来はない。国家は国民を守る「家」でなければならない。この情報化の世界で、いかに情報を遮断して国家管理しようと、流れ込む世界の潮流や自由の風を中共政府がすべて遮蔽することは出来ない。限りある命を生きている人が永遠の政権を求めるなど、政治家としては既に終わっている証拠だ。習近平氏は引き際を考える方が賢明ではないか。

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