政治権力の学問の自由に対する侵害として、菅政権の「選任」拒否を厳しく断罪する。
<菅義偉首相が科学者の代表機関「日本学術会議」から推薦された新会員候補6人を任命しなかった問題に関し、内閣府は2018年と今年9月の2回にわたり、任命権を巡る日本学術会議法の解釈を内閣法制局に照会していた。このうち、18年は「任命は拒否できるということでいいか」と尋ねており、この際も任命拒否を検討していたことになる。政府関係者が3日、明らかにした。菅政権と第2次安倍政権より前は学術会議の推薦通りに任命されているため、法解釈や運用が変更された可能性がある。
日本学術会議法は17条で「優れた研究・業績がある科学者のうちから会員候補者を選考し、首相に推薦する」と定め、7条で「推薦に基づき首相が任命する」としている。中曽根康弘首相(当時)は1983年の参院文教委員会で「実態は各学会が推薦権を握っている。政府の行為は形式的行為」などと答弁。このため、学会側が実質的な任命権を持つとの法解釈が成り立つという指摘がある。
内閣法制局は2日、立憲民主党など野党が国会内で開いた合同ヒアリングで、18年に内閣府から照会があったと認め、「法令の一般的な解釈ということで内閣府から問い合わせが来て、解釈を明確化させた」と説明した。今年9月2日にも内閣府から口頭で照会があり、「18年の時の資料を踏まえ変更はない」と回答したという。
ただし、18年の照会で「明確化させた」という法解釈について、政府は詳細な説明を避けている。加藤勝信官房長官は今月2日の記者会見で、照会の中身について「推薦と任命に関する法制局の考え方が整理されていると承知している」と述べるにとどめた。
政府関係者によると、18年の照会は会員の補充人事の際のもので、「学術会議から推薦された候補を全員任命しなければならないわけでなく、拒否もできるということでいいか」という趣旨だったという。16年の補充人事の際にも政府が複数の候補者を差し替えるよう求めたが、学術会議が応じず、一部が欠員のままになった経緯がある。
野党合同ヒアリングでの内閣府の説明によると、今回の新会員人事は内閣府が9月24日に推薦候補者リストを起案し、28日に首相官邸が決裁した。内閣府は6人の名前が削除された時期や理由は明らかにしなかった>(以上「毎日新聞」より引用)
引用記事中に「日本学術会議法は17条で「優れた研究・業績がある科学者のうちから会員候補者を選考し、首相に推薦する」と定め、7条で「推薦に基づき首相が任命する」としている。中曽根康弘首相(当時)は1983年の参院文教委員会で「実態は各学会が推薦権を握っている。政府の行為は形式的行為」などと答弁。このため、学会側が実質的な任命権を持つとの法解釈が成り立つという指摘がある」とある。
また、日本学術会議のホームページには
「日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信の下、行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させることを目的として、昭和24年(1949年)1月、内閣総理大臣の所轄の下、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立されました。職務は、以下の2つです。
- 科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。
- 科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること。
日本学術会議は、我が国の人文・社会科学、生命科学、理学・工学の全分野の約87万人の科学者を内外に代表する機関であり、210人の会員と約2000人の連携会員によって職務が担われています。
日本学術会議の役割は、主に以下の4つです。
- 政府に対する政策提言
- 国際的な活動
- 科学者間ネットワークの構築
- 科学の役割についての世論啓発