三度目の正直。

かつて2度の政権交代を実現した衆院議員の小沢一郎氏(国民民主党)が、3度目に向けて動き出した。野党合流の裏側や、早くもささやかれている解散総選挙に向けた意気込みについて、ジャーナリストの田原総一朗氏が切り込んだ。 

【前編/河井前法相事件の金は? 小沢一郎「自民党の正式な経理では出ていないのでは?」】より続く
*  *  *
田原:安倍内閣ではスキャンダルを連発してきた。選挙になれば野党は政権奪取のチャンスだ。 小沢:菅(義偉官房長官)さんが総裁になって、すぐに選挙というリスクを冒すかどうか、そこはちょっと疑問ですが、新党の体制を早く整えられれば、すぐの選挙でも自民党に勝てると踏んでいます。 田原:菅さんが難しいのは、安倍さんの政策の失敗を否定できない。森友・加計問題も桜を見る会も調査するとは言えない。 小沢:安倍政権の数々の問題、森友問題も桜を見る会も、そして河井夫妻のスキャンダルも、政権がひっくり返って枝野(幸男・立憲民主党代表)内閣になれば、すべて明るみに出ますよ。ところが、わがほうの玉木(雄一郎・国民民主党)代表は、別の新党を結成する構えを見せています。 田原:何で玉木さんは枝野さんと合意できなかったんだろう。             小沢:枝野さんとの関係がおもしろくないという意味ではなくて、やっぱり国民民主党の代表として自分の好きなパフォーマンスをするのがいいんでしょうね。説得は続けますが、平野(博文・国民民主党)幹事長にはもう早く新党をスタートしようとせかしています。                                      田原:玉木さんと会ったら、自民とも維新とも組まないし、枝野さんともけんかする気はないと言っていた。まあ、いいとして、非自民政権はこれまで2回とも小沢さんがつくった。1993年の細川内閣と、2009年の鳩山内閣。多くの国民は3度目を期待している。  小沢:三度目の正直です。何としても、その期待に応えたいと思っています。
田原:応えないと、自民党というより日本全体が劣化する。枝野さんも、志位(和夫・日本共産党委員長)さんも、今度の選挙は小沢さんでやるしかないと言っている。06年に小沢さんが民主党の代表に就任して、急に選挙が強くなった。翌07年の参院選で60議席を獲得して参院第1党となり、ねじれ国会の状態をつくった。みんな驚いた。
小沢:その代わり、きついからみんなに嫌がられましたよ(笑)。でも田中角栄先生もロッキード事件になってから、みんなに優しくなりましたが、それ以前は選挙にはものすごく厳しかった。「おまえ、何万人と握手してこい、何万軒歩いてこい」と言って。 田原:安倍さんや麻生(太郎・副総理兼財務相)さんのようなリーダーは、そういう苦労をしていない。安倍さんは岸信介さんの孫、麻生さんは吉田茂さんの孫。やっぱり世襲がダメなの? 小沢:それは地元で選挙運動をしていないからです。選挙運動が一番勉強になります。安倍さんも麻生さんも東京出身ですから。僕も2世だけど、ずっと田舎で生まれ育ってきましたからね。地元で育ち、そして選挙運動をやっていれば、大衆の心がわかるんです。東京にばかりいたらわかるものではない。それが民主主義の基本です。大衆の心がわからないで、どうして現実の政治ができるのか。英国ではどんなに偉い人でも地元に帰って、選挙運動を徹底的にやります。 田原:小沢さんには全面的に期待がかかっている。小沢さん、連立政権をつくるために何をどうする。                                   小沢:連立!?                                  田原:立憲・共産。                                小沢:共産党と? 共産党と連立になるかどうかはわかりませんが(笑)。志位さんは連立って言っていましたか? 田原:もちろん、大賛成だって。志位さんが一番尊敬している政治家は小沢さんだと言っていた。だったら党名を変えろって言ったの。そうしたら「党名を変えたところは世界中で全部失敗しているから考えさせてくれ」と。その代わりどんな妥協でもすると言っていた。 小沢:選挙戦は現実として共産党の協力を受けなければ勝てません。間違いなく、共産党は重要なパートナーなんです。                           田原:志位さんは、共産党は大臣を出すなって言われたら出さなくてもいい、連立政権をつくったら何でも妥協する、と。 小沢:まあ、とにかく思い切ったことをしなきゃ、いままでの惰性でやっていてはダメです。結局、09年の衆院選で300超の議席を獲得したのに、民主党政権はわずか3年で終わってしまいました。細川政権もあと2年続いていれば、自民党はつぶれていたはず。僕は自民党がつぶれてほしいというわけではないけれど、もう一度新しい自民党に生まれ変わればいいと思っています。ですから、今回3度目の政権交代は何としてもという気持ちで取り組みます。今度は枝野内閣になりますから、枝野さんには思い切った政策を実践してほしい。
田原:国民は自民党に反対する野党に飽きてる。アベノミクス批判なんて聞きたくない。安倍さんの経済政策をいいと思っている人なんていないんだから。具体的な案。政権を取ったら何をするのか。 小沢:民主党時代の07年には「国民の生活が第一。」という標語を掲げました。何としても政権を取り、そういう政治に転換しないと、日本社会そのものが崩壊してしまうと思っています。安倍さんの下で健全財政論というのは事実上崩れました。大量に国債を発行して日銀が買い入れて、その金をどう使ったか。株を買ったり、為替操作をしたりといったところに使って、国民には一切お金が下りてきていないということが一番の問題。 田原:安倍さんはデフレ脱却を目指し、日銀の黒田(東彦)総裁と組んで、異次元の金融緩和を行った。がんがんお金を刷れば内需は拡大して景気がよくなると。でも実際には内需は拡大せず、借金が増えただけだった。 小沢:年収200万円以下の貧困家庭が増えていて、どんどん格差が広がっています。景気というのは基本的に個人消費ですから、個人の収入が減れば景気がよくなるわけがない。 田原:非正規社員は4割もいる。                          小沢:それが新型コロナで今どんどん解雇されているでしょう。財政健全化路線を金科玉条のように維持していたのではこの困難は打開できません。その考えは捨てていいと思います。たとえば、トランプ大統領は200兆円の財政出動をすると言っているけれども、われわれならそのお金で社会保障、暮らしのセーフティーネットを作る。年金でも農業や漁業の所得補償でも、個人の暮らしを守るためにその金を使う。そのためには赤字国債を発行したっていいと思うんです。 田原:09年当時の民主党でも小沢さんは同様のことを主張していた。でも民主党が事実上、分裂したことで民主党政権は33カ月で終わった。分裂させたのは検察。世の中的には民主党が下手だったとか言うけど、全然違う。小沢さんの秘書が逮捕されるなど、検察につぶされた。結局、不起訴処分で何もなかったんだけどね。なんで検察は小沢さんをつぶそうとしたんですか。 小沢:僕は官僚支配をやめて政治主導ということを一生懸命言っていましたから、「官僚制度を破壊する男だ」「許すな」と思われたんでしょう。その典型が検察だったんでしょうね。 田原:官主導から政治主導にしようという考えは正しいと思う。検察による小沢つぶしがなければ、小沢さんが総理大臣だった。何度も言うようですが、三度目の正直、期待しています。 
小沢:まさに今がチャンスと考えています。頑張ります。>(以上「週刊朝日」より引用)



 やはり小沢一郎氏には安倍自公政権の欠陥が良く見えているようだ。内閣府が出している統計数字で民主党時代の2010~2012年日本の平均GDP成長率は1.53%で、デフレ脱却を看板にスタートした安倍自公政権の2013~2019年の平均GDP成長率は0.94%だった。
 つまり安倍自公政権はデフレ脱却どころか日本経済を異次元の停滞に陥れて、国民を貧困化させた。そして安倍自公政権は生涯未婚率は男性23.4%で、女性は14.1%となっている。しかも男性の生涯未婚率の正規と非正規との比較では正規労働者が10%台と低いのに対して非正規だと50%台に跳ね上がる。

 構造改革と称するグローバル化政策により、日本の派遣業法を緩和して非正規雇用を拡大・推進した安倍自公政権により未婚率が高まった。しかし昨日の総裁候補三人からは非正規雇用を縮小する、との政策論は出なかった。非正規は民間だけでなく、官公庁でも窓口業務などの多くは非正規・派遣労働者が行っている。
 そうした人たちの給与は極めて低く、しかも非正規のため婚姻して家庭を営む経済状況になり得ない。そこに貧困化と少子化の大きな要因がある。安倍自公政権は確実に日本を衰亡させて来た。

 引用した記事の中でも小沢氏は「国民の生活が第一。」の政治を掲げ、その実現に全力を尽くすべきだと力説している。まず国家は国民のために働くべきだ。国家とは国民を搾り取る「枷」であってはならないし、国民を閉じ込める「檻」であってもならない。国家は国民を守る「家」でなければならない。
 国民が武漢肺炎で生活に困窮しているなら、国民生活が破綻しないように十分なインカムを与えるべきだ。そしてコロナ後の社会を見据えた政策を実行すべきだ。

 国際政治では中共政府の中国に対する米国を中心とする自由主義諸国によるデカップリングが進んでいる。軍事的圧力を周辺諸国に増大し続ける中国の脅威を取り除くためにも、自由主義諸国から中国を切り離すデカップリングは必要だ。愚かな「金儲け主義」による中国依存経済がいかに危険か、武漢肺炎で日本国民は身に沁みたはずだ。
 日本を強くするには経済成長を推進するしかない。莫大な国債発行残を指摘する「○○の一つ覚え」の評論家がいるが、MMT理論を持ち出すまでもなく、消費増税30%で償還するなど荒唐無稽な話だ。むしろ消費税を廃止して、経済成長を行えば成長に付随する適正インフレにより自然と国債残は縮小する。たとえば中国はここ30年でGDPは15倍以上になったが、10倍になったとしたら国債残は実質1/10になる。そこに適正インフレが相乗的に働くから実質的な国債残はそれ以上に圧縮される。断っておくが、現在でも日銀が保有している450兆円の国債残は政府関係連結決算では国債残と相殺される。だから実質的な日本の国債残高はGDP一年分を少し超えただけに過ぎない。

 数日前に「乱世の小沢」と題して、このブログに小沢総理待望論を書いた。今の日本こそ小沢氏が必要だ。小沢一郎氏の剛腕を発揮して頂かないと、日本の主権を確保した日米同盟は成り立たないだろうし、中共政府の中国から日本企業を撤退させる話し合いも他の政治家に出来るものではない。とても習近平氏に太刀打ちできないだろう。
 6EYESの一員として東アジアの安定と平和に端緒を付けられる日本の政治家に小沢氏以外に誰がいるというのか。北方領土返還どころか、プーチン氏に好いとこ取りされた安倍外交のヘナチョコ振りには呆れ返っている。

 その安倍自公政権の番頭さんだった菅氏の政治手腕には全く期待できない。「自助、共助、公助」とは何なのか。助平が三人集まる、ということなのか。「構造改革」で散々自己責任を国民に押し付けたが、それで国民が疲弊しきったのに「自助」とは冷血漢の面目躍如といったところだ。
 お仲間はあらゆる機会をとらえて下請け中抜きや丸投げで「公助」のオンパレードだったが、国民には自助と共助を押し付けて終わり、というのなら安倍自公政権の「暗黒の時代」から一歩も出ていない。一日も早い小沢一郎氏主導の政権交代を望むばかりだ。三度目の正直は必ずある。

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