野党はチマチマとした小異を論う議論はやめて、小沢氏の許に結束せよ。

9月解散説があちこちで囁かれているためか、最近の永田町はとみにかまびすしい。コロナ禍で集会の開催を自粛していた自民党の派閥は、716日の志公会(麻生派)のパーティーを皮切りに、研修会など次々と開く予定だ。 
  野党も同じく慌ただしい。とりわけ立憲民主党は、75日に投開票した都知事選で自分たちの影響力の欠如に驚愕したことが合併を急がせる原因になったと言われている。立憲民主党は日本弁護士連合会元会長の宇都宮健児氏を推薦したが、宇都宮氏が獲得したのは844151票で、過去2度の出馬で獲得した票数(2012年は968960票で、2014年は982594)よりも格段に少なかった。 
 しかも都内の共産党票がおよそ70万票、社民党票が10万票とすると、立憲民主党の票はほとんど“蒸発”してしまったのも同じだからだ。ここに来て一気に立憲民主党と国民民主党の合流の話が本格化したのは、これとは無縁ではないだろう。両党が声をそろえる「大きなかたまりを作る」というのは、選挙を見据えた言葉であるのは当然だ。ただしかつては同じ民主党だった両党だが、再度一緒になるのはかなり大きな抵抗があると思われる。
党名はどうなるのか?
 共同通信は711日、「立・国合流、党名巡り難航 新党設立方針では一致」と報じた。これについて立憲民主党の枝野幸男代表や福山哲郎幹事長、国民民主党の玉木雄一郎代表が相次いでTwitterで「何も決まっていない」「誤報」と批判。  しかし立憲民主党や国民民主党から共同通信にクレームがなかったというから奇妙な話だ。おそらくは党名をめぐる駆け引きが、合流問題の全てを表しているのではないだろうか。  実際に立憲民主党の福山幹事長から715日に国民民主党に渡された「申し入れ」の内容は、(1)立憲民主党と国民民主党が解散した上での新設合併方式での新党結成、(2)結党大会で代表選挙を実施、(3)両党の政調会長が協議して綱領を作成など、争う必要のないもっともなものだった。  特に(1)の解散・新設合併方式は、「参加しやすい環境整備」を謳っている。2000年に改正された国会法と公職選挙法は政党間の移動を禁止しているため、もし立憲民主党を存続政党とした場合には、2017年の衆議院選および2019年の参議院選で他党の比例区で当選した議員は参加できないからだ。  しかし解散・新設合併はこれが主な目的ではなく、「対等合併」を装うためだろう。実際に上記「申し入れ」では新党名を「立憲民主党・略称通称:民主党」としており、立憲民主党が主導権を取るという意思が現れている。  17日の立憲民主党の両院議員懇談会でも枝野代表は「党名の投票はしない」と言明しており、「新党の代表の地位は渡さない」という枝野代表の強い意思が読み取れる。  確かに立憲民主党は国民民主党よりも政党支持率が高い。また解散総選挙が近いとなると、新しい第三の党名では浸透が図られないだろう。だからといってリベラル色が強い政党名で、「大きなかたまりを作る」べくウイングを広げられるだろうか。  もっともこうした幹部を除く立憲民主党内は、さほど党名にこだわる様子はない。両院議員懇談会では12名が発言したが、そのうち6名は「党名はどうでもいい」と発言したと言われている。「党名についての星取表を作ったところ、新人議員や統一会派に所属する議員の多くは『民主党』を選んだ」とも聞いた。  一方で書面を渡された国民民主党は、玉木雄一郎代表が16日の会見で「立憲民主党」の党名を否定し、経済政策と憲法改正について基本的な考えを一致させることを求めた。国民民主党は時限的に消費税減税を主張しているが、民主党政権時に消費税増税に賛成した枝野氏らはこれに賛同しそうにない。
憲法議論をしたい山尾志桜里氏
 さらに問題は憲法だ。憲法議論が十分に行えないことが不満で4月に立憲民主党を離党した山尾志桜里衆議院議員が国民民主党に入党。これも立憲民主党には受け入れにくい問題だろう。  玉木代表と山尾氏はともに2009年の政権選択選挙で初当選。そのよしみで「山尾氏を国対委員長に抜擢か?」との噂もあるが、もともと2人の関係はさほど近いわけではない。  だが入党後の山尾氏は玉木代表にべったりで、「たまきチャンネル」に出演した上、玉木代表に倉持麟太郎氏がMCを務める動画番組への出演を依頼。なお倉持氏とは20179月に山尾氏が民進党幹事長に内定した時、一緒にホテルにいたとして週刊文春にスキャンダルを報じられた相手で、衆議院選後から山尾氏の“政策顧問”を務めている。  その山尾氏が「進行が丁寧で驚いた。立憲民主党とは違う」と称賛したのが、17日の両院議員懇談会/全国幹事会・自治体議員団等代表者合同会議だ。最初の1時間半はポストコロナ社会に関する議論が行われ、休憩を挟んで参加議員による懇談会となった。3時間にも及んだ懇談会は、希望者には全員発言の機会を与えられた。その中で見えたのは、まさに本音といえるものだった。
29ヵ月の裏切りと恨み
 「『民主党』でやりたいという意見も出た。逃げるのではなく、出直したい。もう一度やらせてくれという決意だ」  ある参加者が両院議員懇談会の様子をこのように話した。  「大きなかたまりを作るのはいいが、現場で戦ってきた人の意見をもくみ取るべきだ。選挙でライバルだった党名を受け入れるのは、さすがにしんどい」  2017年の衆議院選で政党がバラバラになった時、辛抱を強いられたのが参議院だったが、ある参議院議員は次のように打ち明ける。  「衆議院が割れた時、我々も早く新しい党に移動しようとしたが、『そのうち一緒になるので、しばらく民進党で待ってくれ』と言われた。にもかかわらず、幹部が次々と離脱して立憲民主党に合流した。我々は置いてけぼりにされたのだ」  まずは福山哲郎氏が立憲民主党に参加し、幹事長に就任した。民進党代表だった蓮舫氏も、遅れまいと年内に参加。そもそも民進党の分裂劇の始まりは、蓮舫氏がいきなり代表を投げ出したことに遡る。蓮舫氏が投げ出さなければ前原誠司代表が誕生することはなく、山尾氏が幹事長に抜擢されることもなかったはずだ。  このように見ていけば、新党の名前を何にするか、誰が主導権を握るかという問題以前に、立憲民主党と国民民主党の間に存在する29ヵ月の裏切りと恨みを考えなければならないことがわかる。  たとえ同じ政党になったとしても、それらが消え去ることはありえない。それが「次の衆議院選のため」という便宜上のものなら、なおさらそうであるに違いない >(以上「時事通信」より引用)



 なんというチマチマとした話だろうか。「あの子が好き」「この子が嫌い」とか、「憲法議論がなきゃ嫌!」「党名は譲れない!」とか、餓鬼の「政党ごっこ」をしている場合ではないだろう。
 日本は内外とも未曽有の混乱期に遭遇している。内にあっては武漢肺炎により医療崩壊の危機と経済の年換算20%ものマイナスの大不況に直面している。「政党ごっこ」で遊んでいる暇はないだろう。

 安倍自公政権が当事者能力を欠いた無能・無策ぶりをさらしている今こそ、野党は連合を組んで武漢肺炎の収束へ向かって「検査と隔離」の拡大実施を強行すべきだ。その予算は「GO TOキャンペーン」をすべて中止して、それに回すはずの予算を充当すれば良い。安倍氏が官邸仲間の特別ボーナスに取っている10兆円の予備費だってある。
 そして対中政策に関してはトランプ氏と轡を並べて「自由」と「民主」のために戦う姿勢を見せることだ。野党議員でもチャイナマネーに毒された連中は一線から退くしかないだろう。

 そして国内景気の落ち込みを最小限に止めるために消費税の廃止を公約に掲げることだ。寄しくも自由主義世界は「中共政府のデカップリング」で意思統一している。それはすなわちグローバル化の終焉でもある。
 幸いにも日本には製造業もIT素材産業も残っている。もちろん国際金融センターとして東京も機能している。経済がV字回復する素地は十分にある。無知蒙昧の安倍自公政権とは違って、少しはマトモな経済指南役を仰げば、日本経済が成長できる可能性はまだまだ高い。

 乱の小沢といわれる政治家が野党にはいる。彼を担がなくして誰を担ぐというのか。チマチマとしたメンツにこだわって、未だに野党合併に尻込みする玉木氏など党首の器ではないし、枝野氏もせいぜい官房長官止まりだ。
 乱は国内だけではない。国際政治も乱の季節に入っている。中共政府が仕出かした膨大な「元」乱発による「元」デフォルトの衝撃波を食い止める国内政治家は小沢氏以外に誰がいる。中共政府面々と渡り合って中国に進出したまま、未だに中国に居座っている愚かな邦人企業の撤退のシンガリを誰が勤めるのか。

 小沢一郎氏の政治理念や政策は既に明らかになっている。それは2009民主党マニフェストを一読されれば分かる。そして2020年に掲げる大きな旗印は「消費税撤廃」と「反・グローバル化(国民が第一)」だ。憲法議論はこの乱世を治めてからにすれば良い。
 内外共に乱世の政治を運営できるだけの器量のある政治家は、小沢一郎氏以外に私は知らない。経済成長再スタート元年にするには強力な政治指導者が必要だ。剛腕の再登場を切に願う。

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