安倍氏は「殿様気分」の独裁者だ。

イージス・アショアの配備断念の説明のために25日に自民党の会合に出席した河野太郎防衛相が涙ぐむ場面があった。昨年7月の参院選秋田選挙区で、配備反対を訴える野党候補に敗れた中泉松司元参院議員の名前を挙げ「今日この場にいらっしゃいません、中泉参院議員にはとりかえしのつかない」と声を詰まらせ、「申し訳ない。電話申し上げておわびした。とりかえしつかないが、心よりおわびしたい」と述べた。
 河野氏が15日に配備手続きの「停止」を表明した際は与党への根回し不足で、二階俊博幹事長が「何の相談もなかった」と強い不快感を示すなど、「国防族」から批判が噴出していた。こうした反応に配慮してか、計画断念を決定した24日の国家安全保障会議(NSC)の内容に関する政府関係者の発信は一切なく、25日朝の党会合での河野氏の発言が配備断念の「第一報」となった>(以上「毎日新聞」より引用)



 国防族とは何だろうか。河野防衛相がイージス・アショア配備の停止をした際に「聞いてない」といって怒号の嵐だったそうだが、それなら安倍氏が突如としてイージス・アショアを山口県と秋田県に設置する、と決めた際にも「聞いてない」と怒りの声を上げなかったのはなぜだろうか。
 防衛省は対北ミサイル防衛にはイージス艦8隻態勢で対応する計画だった。そこにイージス・アショア配備を安倍氏が言い出して、イージス・アショア運用の人員確保へ向けて頭を抱えた、というのは有名な話だ。

 河野防衛相がイージス・アショア配備を打ち出して地元の反発を招き、自民党の参議院議員が落選したことに触れて涙したようだが、飛んでもない話だ。日本のミサイル防衛に役立たずだと当初から判っていたイージス・アショア配備に振り回された山口県と秋田県の地元民こそいい面の皮だ。
 そして安倍氏の思い付きでドブに捨てられた196億円もの血税と、そしてこれから2,000億円もの契約解除へむけて、米国政府が一体幾らの清算書を回してくるのか国民が納付した税金の無駄な支出は膨大な額に達する。

 そもそも日本の防衛大綱にありもしなかったイージス・アショア配備を安倍首相の一存で決めて良いものだろうか。そして軍事評論家と称する連中が「日本のミサイル防衛にはほとんど役に立たない」と批判の声を上げなかったのはなぜだろうか。
 そしてイージス・アショア配備を停止ではなく、撤廃すると政府は決めたようだが、米国政府はそれに対して反対しなかったのもなぜだろうか。米国のミサイル防衛に対してもイージス・アショアは時代遅れになった、ということなのだろうか。恐らくそうだろう。

 音速の7倍ほどといわれる超高速で飛来するミサイルを迎撃するのは音速の3倍程度の迎撃ミサイルでは無理だ。しかも最近のミサイルは弾道軌道ではなく、シュートするという。軌道が変化すれば迎撃ミサイルも自在に軌道を変えられなければ迎撃できない。
 もはやミサイルをミサイルで撃墜するのは至難の業になっている。ほとんど不可能といって良いだろう。そこでレーザー兵器の完成へ向けて米国は全力を傾けていた。もちろん日本もレーザー兵器の開発に防衛研究を傾注している。そして米国はミサイル迎撃に使えるレーザー兵器開発が実用段階に達したのではないだろうか。

 だからある時点から北朝鮮のミサイル実験に対してトランプ氏が「ロケットマン」と怒り心頭のツイッターをしなくなったのではないか。だから習近平氏の国家安全法の香港適用に対して、防衛優先権の撤廃やswftコードの取り上げなどの強硬手段を講じだしたのではないか。それに対して、習近平氏がさらなる対抗手段を取らないどころか、この秋に予定されている国家安全法の香港施行を延期するのではないか、との観測が流れているのではないか。
 だから台湾へ米軍が積極的に関与する、と表明したのではないか。つまり中国の大陸間弾道ミサイルは米国に対する軍事的脅威として無力化したのではないだろうか。

 そうした時代の流れを背景として、河野防衛相がイージス・アショア配備停止を宣言したのではないか、と読み解く必要がある。それが真に日本の防衛に資することだ。
 迎撃ミサイルブースターが民間地に落下するから、イージス・アショア配備を撤回する、との説明を真に受けていては軍隊の本質を見失う。彼らは国民の財産や命への「損害」など気にしていない。国家体制の維持こそが至上命題だからだ。

 だからこそ民主主義国家では「国民あっての国家だ」という国家原理を繰り返し主張しなければならない。そうしなければ首相は時代錯誤して「殿様気分」の独裁者に陥ってしまう。現在の日本がまさにそうではないか。

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