集団抗体ではなく「検査と隔離」で抑え込め。

ロックダウンに頼らない独特の新型コロナウイルス対策で知られるスウェーデンで、感染者が増え続けている。しかも米ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によれば、死亡率は430日時点で12%超。これは、感染者が1000人を超える国の中で6番目に高い割合で、現在の感染拡大の中心地で死者数も最多のアメリカ(約5.8%)、ウイルスの発生源とされる武漢市がある中国(約5.5%)と比べても2倍以上の高さだ。
新型コロナウイルスの感染拡大を抑える対策としては、北欧諸国も含むヨーロッパの多くの国が全国的な封鎖措置を取り、厳しい移動規制を敷いている。こうしたなか、スウェーデンは全国的な移動規制や外出制限をしないという独自路線を貫いており、ストックホルムの通りの人でもカフェの客入りも一見、普段通りだ。その「緩い」対策は、世界的にも論議を呼んできた。
ドナルド・トランプ米大統領は430日朝、公式アカウントにツイートを投稿。この中で「封鎖措置を取らなかったスウェーデンは、その決定の手痛い代償を払っている」と指摘。「同国では30日の時点で、死者数が2462人にのぼっている。近隣のノルウェー(207人)、フィンランド(206人)やデンマーク(443人)よりもずっと多い。アメリカは正しい決断を下したのだ!」と主張した。
「集団免疫」戦略の効果は
スウェーデンはこれまでに21000人近くが新型コロナウイルスに感染したと報告しており、このうち2500人近くが死亡している。感染者の死亡率はノルウェー(約2.6%)の6倍近く、同じ北欧のフィンランド(約4.2%)やデンマーク(約4.9%)と比べても3倍近くにのぼる。かつて中国以外で最も高かったイランの感染者死亡率(約6.3%)も、スウェーデンの半分ぐらいだ。感染者数を見ても、スウェーデンの感染者数はデンマークの2倍以上、ノルウェーの3倍近くで、フィンランドの4倍以上に達している。
感染者の回復状況も思わしくなさそうだ。スウェーデンは4月に何度か感染者の回復を報告しており、最も多かった25日には一気に455人が回復したと発表しているが、それ以外の報告はない。その一方で、感染拡大が始まった3月上旬から、新たな新規の感染者の数は増え続けており、同国の公衆衛生当局によれば429日には新たに681人の感染が確認された。
新型コロナウイルスの感染拡大に対するスウェーデン独自の対策は、ウイルスにさらされる人の数を増やすことで「集団免疫」を形成し、感染拡大の第2波を防ぐという作戦の一環だとされている。
スウェーデン公衆衛生局の疫学者であるアンダース・テグネルは4月下旬にBBCラジオの番組に出演し、「我が国の死者のうち少なくとも半数は、高齢者施設の中で集団感染した人々だ。封鎖をすれば感染拡大を阻止できる、という考え方は理解しがたい」と主張。スウェーデンの方法は「ある意味で功を奏している。私たちの医療システムが崩壊に追い込まれていないことがその証拠だ」と述べた。
テグネルは421日、米CNBCの番組にも出演。スウェーデンの首都ストックホルムの住民のうち、最大20%が新型コロナウイルスに感染したことがあると述べ、「ストックホルムの人口の1520%が既に免疫を獲得していると確信している」と主張。「これは完全な集団免疫ではないが、ウイルスの再増殖を抑制し、感染の(第2波が訪れる)スピードを抑える効果はあるだろう」と述べた。
ルンド大学(スウェーデン)のピーター・ニルソン教授(内科医学・感染学)は4月下旬、本誌に次のように語った。「個人的には、必要であれば(そして地元の政府や議会でそれを可能にする法律が可決されれば)感染者の特に多い地域を封鎖するのもひとつの選択肢だと考えている。だが我々は、まだその段階には達していないと思う。医療部門には大きなストレスがかかっているが、手一杯の状態ではない。まだ余力があり、ストックホルムにある臨時病院もまだ使っていない」
ニルソンはさらに「ストックホルムの状況はまだ改善には向かっていないが、安定が続いている」とも指摘。またスウェーデン当局は、市民にはソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)を推奨しており、感染の症状が出たら自宅にとどまるよう勧告していると述べた。
学者たちは「今すぐ首都封鎖を」
スウェーデンではソーシャル・ディスタンシングが守られなかった場合(たとえば店の中に一定数を超える客を入れたなど)、当局がレストランに閉鎖を命じる可能性があり、50人以上の集会は禁止されているとニルソンは説明し、さらにこう続けた。「経済を守り、可能な限り店舗閉鎖や従業員の解雇を回避することも重要だ。そうしなければ、ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)がもたらす二次的なダメージによって多くの人が死ぬことになるか、医療に必要なリソースが減ってしまう可能性がある」
異例の対策には、国内の一部専門家から批判の声も上がっている。カロリンスカ研究所のセシリア・セーデルベリ・ナウクレル教授(微生物病因)もそのひとりだ。
彼女をはじめとする2300人近い学者たちは3月末、政府宛の公開書簡に署名。医療システムを守るために、もっと厳しい対策を導入するよう求めた。「感染があまりに速いペースで拡大していることが心配だ」と、彼女は今週ラジオ番組の中で語り、感染者の多い地域(イタリアのアルプスやイラン)から帰国した市民が最初にウイルスを国内に持ち込んだ時の、政府の対応が遅すぎたと批判した。
彼女はさらに4月に入ってから、ロイター通信にこう語っている。「今すぐストックホルムを封鎖する以外に選択肢はない。国が完全な混乱状態に陥ることがないように、状況をコントロールすることが必要だ。外出制限をしないという方法は、これまで誰も試していない。それなのになぜ、国民の同意なしに、スウェーデンが初めてその方法を試さなければならないのか」
スウェーデンでは、高校や大学は閉鎖されてオンライン授業になっているが、16歳未満の子どもたちは今も学校に通っている。レストランやバー、カフェやナイトクラブも着席スタイルのサービスは許されており、買い物は普段どおりにできる。
新型コロナウイルスは430日時点で世界の少なくとも186カ国・地域に広まっており、感染者は320万人を超えている。感染後に回復した人は992500人を上回り、死者数は228700人以上にのぼっている>(以上「NEWSweek」より引用)



 集団抗体による方法でロックダウン(都市封鎖)ではなく、重症者のみを隔離することで武漢肺炎の感染と共存しようとするスウェーデンの試みは破綻の瀬戸際に追い込まれている。引用記事にある通り「米ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によれば、死亡率は430日時点で12%超。これは、感染者が1000人を超える国の中で6番目に高い割合で、現在の感染拡大の中心地で死者数も最多のアメリカ(約5.8%)、ウイルスの発生源とされる武漢市がある中国(約5.5%)と比べても2倍以上の高さだ」というから深刻だ。
 日本の政府・厚労省はスウェーデンと同様の「集団抗体」で武漢肺炎の感染症と共存を目指していたように思われる。それが証拠に検査の抑制と、「陽性」患者も軽症の者は自宅待機にして来た。そのため東京などで自宅内感染の患者が増えている。当然といえば当然の結果だ。

 ここに来て、政府・厚労省はマスメディアを使って「新しい生活様式」なるものを布教している。まさに理屈ではなく信じるだけの宗教行事に酷似している。
 しかし2m離れれば安全だという根拠は何もない。食事を個別にしたところで、感染患者がいれば食器や食材などを通して感染する可能性が高い。神戸の病院で武漢肺炎以外の病気で入院している患者1,000人を検査したところ、武漢肺炎の「抗体保有者」が3%もいたという。神戸市の人口で換算すれば6万人だそうだ。そういう意味では集団抗体は前進しているといえるかもしれない。

 だが集団抗体の目安は人口の60%が抗体を保有して初めて成功といえるものだそうだ。つまり神戸市は後10倍の武漢肺炎が感染しなければ集団抗体を成し遂げたとはいえない。
 その間、どれほどの日数が必要なのか、どの程度自粛すれば病院が崩壊しようで済むのかを勘案しながら徐々に感染を広めなければならない。他の病があるか高齢のため、命を落とす者があっても、それも集団抗体を完成させるための犠牲者だ、と政府・厚労省は説明できるのか。

 スウェーデンでも集団抗体に批判の声が上がっている。ジワジワと真綿で首を締めるような自粛要請が一年も二年も続いても国民はジッと耐えなければならないのだろうか。日本経済が崩壊しようと、世界から置き去りにされようと、日本国民は政府・厚労省の指示通りに集団抗体を獲得するまで自粛要請に従って隣組監視社会に移行するのだろうか。
 間違いなく「専門家会議」は集団抗体作戦を当初より実施していた。それも国民に一つの説明もなく、マスメディアも政府・厚労省の広報機関に成り下がって、検査抑制と隔離ではなく自宅待機という、感染症対策としては極めて非常識な対応策を垂れ流し続けた。

 記者の誰一人として感染症対策の原則は「検査と隔離」ではないか、と質問しなかったのは何故だろうか。それとも医学の素養のない、丸っきりの素人を記者会見に派遣していたのだろうか。いや記者は医学の素養がなくても良い、ただ感染症の臨床医に助言を求めることを一切しなかったのだろうか。
 奇手の誰も感染症の臨床医に電話一つして、政府・厚労省が出した検査抑制の指針をどう思うかと質問しなかったのだろうか。東京や大阪に引きずられて、地方もすべて一律に非常事態を甘受しなければならない、というのは理不尽だ。

 山口県岩国市では連休明けに市立小・中学校は授業を再開する。他の地域でも順次、小・中学校を再開することになっている。そこで政府・厚労省にお願いするのは東京や大阪を「地域ブロック」して、地方と人の交流をなるべく遮断するように取り計らっていただきたい。
 企業の出張も大都市圏を出ることのないようにして頂きたい。出張したサラリーマンや定期検査の工員が武漢肺炎を地方に持ち帰って蔓延させた例がいくつもある。必要不可欠な出張でも、出先で外出しないで仕事だけ済ませて速やかに帰って頂きたい。

 長期間、休校を強いられている子供たちの精神状態は極めて深刻だ。新学期に上がるはずだった子供たちを家に閉じ込めて、親が面倒を見るのも限界に達している。9月新学期説など、大人の都合で物事を考えてはならない。
 地方自治体は武漢肺炎の感染の恐怖に立ち向かって、次々と学校を再開しようとしている。政府・厚労省が目論む集団抗体で武漢肺炎の感染拡大を抑え込むのは間違いだ。特効薬のない段階では検査と隔離で抑え込むしかない。

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