安倍政権は世界金融に対する勉強をしているだろうか。


「香港にはもはや中国からの自治はない」
528日、中国の全国人民代表大会(全人代)は、国家分裂や中央政府転覆を企図する反体制的な言動などを禁止する国家安全法制度を香港に導入する方針を採択、閉幕した。
但し、全人代立法法に基づく国家安全法の施行は、9月に行われる香港立法会(議会)選挙に先駆けて行われるはずであり、8月になる可能性が高い。
ドナルド・トランプ米大統領は全人代採択に先立つ26日、ホワイトハウス記者会との会見で、中国による国家安全法制度の香港導入に対して強力な制裁を科す意向であると語った。
さらにマイク・ポンペオ国務長官は27日に米議会向けに発表した公式見解の中で、「香港にはもはや中国からの自治はない(Hong Kong is no longer autonomous from China)」と述べ、同法制度は香港の自治と自由を損なう「悲惨な決定」と断じた。そして制裁措置は香港に対する特恵待遇を停止・撤廃する行政令であることも示唆した。
この公式見解前に予兆があった。ロバート・オブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)は24日夜の3大ネットワークNBCのテレビ番組「Meet the Press」で、「もしポンペオ国務長官が香港の自治を確信できなければ、米国は中国と香港に対して制裁を科すことになるだろう」と語っていたのだ。ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)と国務省連携の対中強硬姿勢のアピールである。
rule of lawrule by law
実はそれだけではなかった。くどい言い様に感じるだろうが、これまた我が国メディアが殆ど報じていない520日付の「米国対中戦略アプローチ(United States Strategic Approach to The Peoples Republic of China)」と題した報告書(A416枚)のことである(筆者注・29日付日本経済新聞のみが報道)。
この報告書は201912月に成立した国防権限法に従って作成され、ホワイトハウスが25日に米議会の要路に配布したもので、その内容は17年版「米国家安全保障戦略(NSS)」に沿ったものだ。
「イントロダクション」、「挑戦」、「アプローチ」、「実行」、「結論」の5章からなる同報告書の中で、今後の対中政策を示すものとして際立っているパラグラフを紹介する。
《米国は、中国共産党のrule of law rule by law の誤った同一視に反対する。反テロリズムと抑圧、代議制度と独裁政治、市場ベースの競争と国家主導の重商主義―これらの同一視にも反対する。》(筆者注:rule by lawは法を超越した統治権力=中国共産党を意味する)
《同様に、自由で開かれて法に則った国際秩序を弱体化しようとする北京(政府)の行動に対しても米国は妥協しないし、これからもすることはない。米国は戦略的撤退をしている、米国はこれから国際安全保障への関与を減らしていく、といった中国共産党の主張も米国は否定し続けていく。》
このように厳しいトーンではあるが、次のような件もある。
《競争は中国との関与を必然的に含むことになる。しかし、我々の関与は選択的で、結果主義(result-oriented)であり、双方の国益増進も伴うものである。》
抑制すべき点は、きちんと抑制しているのだ。

対中政策の「大転換」
では、この報告書は誰の手に成るものか。すでに書いたマット・ポッティンジャー大統領副補佐官(国家安全保障担当)が中心となり、NSCとペンタゴンが協力してまとめたものである。
一言でいえば、米国の対中政策の「大転換」を宣言したものだ。先の「結論」の冒頭で「抜本的な見直し(fundamental reevaluation)」という強い言葉が用いられていることからもそれは分かる。「従来の誤った前提」、「方針転換の必要性」といったワーディングが多用されている。
ただ、内容的に特に目新しい要素はなく、過激な表現もさほど見当たらないのは、ポッティンジャー氏らが執筆するに当たってワシントン政界の殆どの人間が受け入れるよう配慮したと思われる。特筆すべきは、現政権の対中政策方針やその実績を概観しているにもかかわらず、この報告書には「Trump」の文字が一度も出てこないことだ。
大統領選を控えたトランプ氏の“ヨイショ”記述がないのは、ポッティンジャー氏がこの報告書の中立的性格・非政治性を確保し、次期大統領が共和党のトランプ、民主党のバイデン両氏のいずれがなっても引き継がれる方針となることを意図したからではないか。
忖度して言えば、同氏が起案した対中政策の基本方針は中国人民と中国共産党政権をハッキリと区別しているのだ>(以上「現代ビジネス」より引用)




 引用記事は「現代ビジネス」誌に掲載された歳川 隆雄氏の習近平氏の「国家安全法」制定に関する論評だ。香港に対する「一国二制度」を壊してまで、習近平氏は自身の独裁体制を強化するのは何故だろうか。
 徹底して香港を中国化しなければならない理由が習近平氏にあるとしても、香港を中国化して習近平氏が手に入れるものと失うものとを比較して、果たして損得勘定が見合うのだろうか。

 おそらく、習近平氏は「国家安全法」を香港で施行すれば、自身の愚かさに気付くだろう。香港から対米貿易の優遇と世界金融センターの機能を除けば、何も残らない。雑然とした中国本土の貧困だけが香港に残されるだけだ。
 世界の金融センターと貿易自由都市という二枚看板だけで香港は「東洋の真珠」でありえた。しかしその両者を失えば中国にとって香港は普通に中国内にある「都市」の一つでしかない。その損失は計り知れないし、中共政府の中国は「終わりの始まり」の幕を開けたといえる。歳川氏の論評は中国を過大評価し過ぎている。

 トランプ氏は香港のswift(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication「国際銀行間金融通信協会」)のを取り消すと表明している。それは香港で対ドル交換が出来なくなることを意味している。つまり世界金融センターとしての機能を香港から奪うと表明したのだ。
 ことの重大さに習近平氏は気付いてないようだが、日本のエコノミストたちも意味を理解してないようだ。中国は巨額な貿易取引を行っているが、その約半分は香港で対ドル交換や換金を行っていた。そのチャンネルがなくなるのだ。

 そうすると香港が担っていた中国貿易の対ドル換金を代替する金融センターが必要となる。もちろん中国内の都市に、たとえば上海にSWIFTのコードを米国が与えるとは思わない。なぜなら中国は自由市場でないからだ。
 香港の役目を引き受ける金融センターは何処になるのか。それはアジアの金融センターでなければならない。世界金融センターでアジアにあるのはシンガポールと東京だけだ。

 シンガポールは経済規模からいって、潤沢な資金が常に市場で動いているとはいえない。そうすると東京が香港が担っていた世界金融センターの役目まで引き受けることになる。世界金融センターの中でも東京の比重が一段と高まることになる。
 そうした予測をしている論評に一つもお目に掛らないが、必ずそうなると私は予測する。横柄な態度で日本に接している習近平氏は日本の金融市場としての機能に頼らざるを得なくなる。そうした備えを日本政府はしているだろうか。

 いや、安倍自公政権には無理だろう。構造改革と称して日本を解体してハゲ鷹の餌食にし、国内では政治を私物化して私腹を肥やすだけしか目の向かない安倍氏とその仲間たちに世界金融センターの大変革など目に入ってないだろう。
 しかし香港が担っていた世界金融センターの半分でも東京が担うようになると、中共政府は日本に対して領海侵犯などの行為を少しは遠慮するのではないか。日本と良好な関係を維持しなければ中共政府は今以上に外貨不足に悩むようになる。

 そうした日本の金融センターとしての役割の変化に政府・金融関係者は準備しているだろうか。インバウンドどころではない、大きな利益をもたらす東京の金融市場の拡大に、政府は充分に備えているだろうか。
 日本の政治家に金融の専門家がいるだろうか。お仲間企業に随契で利益を付け回すしか能のない政治家とその仲間たちが牛耳っている官邸で、いかなる国際レベルの政治が出来るというのだろうか。

 国民もいつまでもマチマチとした幼稚な政治家を選び続けてはならない。大きく目を見開いて、選挙に臨まなければ日本は進路選択で誤る。
 未だに消費税廃止を言わない政治家たちは財務官僚のポチでしかない。それも政治家を見分けれ試験紙の一つではある。

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