米中貿易戦争は「国家安全法」で最終段階に突入した。

ランプ米大統領は29日、香港に対する優遇措置を撤廃するよう政権に指示したと明らかにした。香港の統制強化に向けた中国政府の「国家安全法」制定計画に対抗する。
トランプ大統領は、中国が香港の高度な自治に関する約束を破ったとし、香港国家安全法制定は香港や中国、世界にとって悲劇だと批判した>(以上「REUTERS」より引用)


トランプ米大統領は29日、中国への米国の対応措置について発表する。中国が香港への統制強化を決めたのを受け、制裁を含めた対応を明らかにする可能性がある。米国が一国二制度に基づく「高度な自治」を前提に香港に認めてきた優遇措置の見直しに踏み込むかどうかが焦点だ。ただ優遇措置の見直しは、香港や米国企業にも打撃を与えかねない難しさをはらむ。
中国が香港国家安全法の制定を決めたのを受け、トランプ政権は香港が「高度な自治」を維持できていないと判断。香港の優遇措置は継続困難との見解を米議会に伝達した。
想定のひとつが2019年11月に成立した「香港人権・民主主義法」にもとづく制裁措置だ。中国共産党関係者らの資産凍結・査証(ビザ)の発給停止措置のほか、香港向けの関税とビザ発給の優遇措置見直しが主な内容だ。ただ共産党関係者向け制裁は実効性に乏しく、優遇措置の見直しは米国や香港に打撃になりかねない問題を抱える。
香港から米国への渡航者は2019年に15万人に上った。中国本土と比べて香港在住者は簡単に米国ビザを取得できる。こうした往来が止まって困るのは中国よりも香港や米国だ。香港には米国企業約1300社が拠点を構え、アジア全域を統括する機能を持つケースも少なくない。
関税優遇撤廃も一筋縄ではいかない。米国は「香港政策法」で香港を「経済・貿易面で(中国本土とは)別の地域として扱う」と明記し、対中制裁関税を適用していない。
ただ、香港政府によると香港から米国への輸出額3040億香港ドル(約4兆2千億円、19年)のうち77%は中国本土から香港を経由して米国に向かう再輸出だ。大半は原産地が中国だとして、すでに制裁関税の対象になっているとみられる。また香港の輸出に占める米国向けのシェアは約8%で、米国が関税を上げたとしても「マクロ経済への影響は大きくない」(英調査会社オックスフォード・エコノミクス)。
一方、米国から香港への輸入額は2129億香港ドルで、電子機器などが多い。軍事技術に転用可能な半導体などを香港経由で仕入れる中国企業が多い。米国が香港への輸出管理を厳しくすれば、中国企業にとって打撃となる。
香港人権・民主主義法に基づく制裁措置が抱える難しさから、米国では様々な制裁手段を想定しているもようだ。スティルウェル米国務次官補は「対応措置には長大なリストがある」と述べ、経済制裁や中国当局者へのビザ停止などを具体例に挙げる。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、トランプ政権は米国に滞在する中国人の留学生や研究者のビザの効力の停止を検討している。大学院生ら約3千人が対象になるという。
「香港と中国を決済ネットワークから締め出すべきだ」(中国に関する現在の危機委員会)。米国の保守派の民間団体には、国際的な資金決済のネットワークである国際銀行間通信協会(SWIFT)の利用停止などを求める声もある。金融制裁に踏み込めば、アジアの金融センターである香港への影響は甚大だ。
香港は金融市場に強みを持つ。新規株式公開(IPO)を通じた企業の資金調達額は18、19年に世界1位だった。仏ナティクシスによると、10~18年の中国企業のオフショア市場での資金調達のうち株式は73%、債券は60%が香港市場だ。香港の金融機能を止めれば世界の金融市場は混乱が必至だ。市場で存在感を高める中国企業への打撃にとどまらず、米金融機関のビジネスにも大きな影響が及ぶ。
香港は北朝鮮やイランと違って、世界経済と密接につながる。香港への制裁は、香港企業や香港で活動する米企業にも影響が及ぶため、トランプ政権は慎重に検討するとみられる>(以上「日経新聞」より引用)



 中共政府が香港に「国家安全法」を適用すると決定したことに対するトランプ氏の対抗措置として「香港に対する優遇措置を撤廃する」と発表したとロイターは短く報じた。それだけでは何のことか分らないのではないかと、その下に日経新聞の記事を引用した。
 つまり米国はこれまで香港窓口として対中貿易やアジアの金融センターとして利用してきた。そのために香港を特別扱いをしていた。
 つまり貿易の条件や関税に関して対中制裁措置を香港には及ぼさないとしていた。そうした優遇策をすべて取り消す、とトランプ氏は表明した。
 さらに米国の香港に対する優遇策は世界金融センターとしての機能を閉じることだ。世界には金融センターとしてロンドン、ニューヨーク、香港、シンガポール、そして東京の5都市がある。その一つを閉じることにしたのだ。そうすると何が起きるか。香港ドルの崩壊だ。

 香港に対する優遇策を撤廃した場合、日経新聞はなぜか米国不利を強調したいらしい。上記記事でご丁寧に解説図まで掲載している。「香港には米国企業約1300社が拠点を構え、アジア全域を統括する機能を持つケースも少なくない」と香港の米国企業が立ち行かなくなるのではないかと危惧している。
 しかし企業であれば利益のある所へ拠点を移すのは世の常だ。これまでは中国は稼げる市場だったから香港を特別扱いして米国企業が自由に進出できる道を開けていた。しかし今後は香港の自由は奪われ、かえって米国を敵対視する中国の対米「侵攻拠点」になりかねない。

 中国はこれからの世紀をこれまでと同様に躍進するつもりなら、米国の手助けが必要だ。なによりも香港で「元」「ドル」取引を行っていた金融センター機能が消えるなら、たちまち中国は外貨の枯渇に直面するだろう。まだ「元」は国際通貨として認められてないから、香港ドルの崩壊と同時に「元」の崩壊も起きるだろう。
 香港の金融センターの機能を取り消すとは具体的には米国ドルの換金システムSWIFTのコードを取り消すことだ。SWIFTとはドル換算コードのことだ。つまり日本から中国へ送金する場合、「円」をドルに換算し、次にそのドルを「元」に換金する、という段階を踏んでいる。そのドル換算し換金する際のシステムがSWIFTだ。

 日経新聞の記事に「香港は金融市場に強みを持つ。新規株式公開(IPO)を通じた企業の資金調達額は18、19年に世界1位だった。仏ナティクシスによると、10~18年の中国企業のオフショア市場での資金調達のうち株式は73%、債券は60%が香港市場だ。香港の金融機能を止めれば世界の金融市場は混乱が必至だ。市場で存在感を高める中国企業への打撃にとどまらず、米金融機関のビジネスにも大きな影響が及ぶ」とあるが、その通りだ。
 しかし香港の金融市場はシチーやウォールストリートの「信認」があって初めて成り立っていた。決してその逆ではない。中国の金融需要が巨額だったから、香港の金融市場での占有率が高かっただけだ。

 中国は自由市場を相手に「元」を垂れ流しに増刷して、世界各国に巨額投資を行ってきた。世界の新規マネーサプライの実に半分は中国のものだという。それは常軌を逸している。
 結果として芸材の世界は世界の金融資産総額が世界のGDPの4倍に達し、世界の債務総額が世界GDPの2.3倍に達するという金融バブル状態になっている。世界各国は金融緩和合戦を演じているが、その筆頭が中国の「元」だ。香港のSWIFTコードを取り消せば、香港ドルが崩壊し、香港の換金システムの閉鎖により中国の「元」が崩壊する。

 どう見てもトランプ氏が発動する対中「国家安全法」制裁措置の影響は中国に取った致命傷になる可能性の方が高い。期せずして、金融バブルのハードランディングが始まるのだろうか。習近平氏とトランプ氏との駆け引きがいよいよ最終段階に到達したようだ。

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