鉄道貨物輸送の復活を歓迎する。
<全国で貨物列車の需要が増している。JR貨物(東京都)によると、コンテナ輸送の取り扱い量は、2011年度から6年間で282万トン増加。26両(積載量650トン)の貨物列車に換算すると、約4300編成分にも相当する。背景には、環境に配慮する「モーダルシフト」の潮流や、ドライバー不足に悩まされるトラック業界の現状がある。かつては不要論さえ存在した鉄道輸送が今、見直されている。(杉山雅崇)
JR貨物によると、コンテナ輸送量は、同社が発足した1987年度から上昇し続け、2007年度には2341万トンを記録。発足以来最高を更新した。
その後、リーマンショックや東日本大震災などの影響を受け減少したが、12年度から上昇傾向に。17年度には2243万トンを記録し、11年度の1961万トンから282万トン増加した。
18年度は西日本豪雨で山陽本線が不通になったことで2027万トンに減少したが、復旧が完了した19年度は回復する見込みという。
なぜ、コンテナ輸送量は増加傾向にあるのか。交通経済学が専門で、国交省運輸審議会委員の根元敏則・敬愛大(千葉県)教授は「トラックドライバーの慢性的な不足が要因の一つ」と分析する。
国交省によると、18年4月の貨物自動車運転手の有効求人倍率は2・68倍で、平均の1・35倍を大きく上回る。ドライバーが確保できないことから、鉄道や船舶の輸送へシフトしているという。
根元教授がさらに指摘したのはトラック輸送から、排ガスの少ない鉄道や海運に輸送手段を転換する「モーダルシフト」の潮流だ。根元教授は「鉄道への切り替えは、CO2削減に対する姿勢を顧客にPRできる。メーカーから小売り企業まで、鉄道を選ぶ企業が増えている」という。
JR貨物も、輸送力の強化に取り組んでいる。19年12月には、新たにけん引用の機関車13両とコンテナ約4000個の製造を発表している。
JR貨物の担当者は「今後もニーズが見込まれる路線の輸送力を強化し、大量の貨物を輸送していきたい」としている。
■全国の線路網活用、災害時も物流貢献
貨物列車の強みは、一度に大量の貨物を輸送できる効率性と、日本中に張り巡らされた路線を活用できることだ。巨大災害が起こるたびに、線路網を駆使して大量の物資を届けてきた。
2011年の東日本大震災では、津波や原発事故の影響で東北本線と常磐線の一部区間が不通に。仙台市のコンビナートが被災し、被災地は燃料が不足した。
このため、JR貨物は被災1週間後から緊急燃料輸送を実施。神奈川県の根岸から新潟、青森など日本海側を経由し、20時間以上かけて盛岡まで燃料を運んだ。福島にも新潟から列車を走らせ、計5・7万トンもの燃料を輸送した。
18年7月の西日本豪雨でもその経験は生かされた。トラックや船舶での代行輸送のほか、豪雨で不通になった広島、山口県にある山陽本線の区間を避け、鳥取、島根を通過するルートを設定。10月の復旧まで貨物を届けた。
JR貨物の担当者は「線路網を利用できるのは強み。代替輸送の確保と路線の強靱化を進め、今後も災害に備えていく」としている>(以上「神戸新聞」より引用)
在来線の貨物輸送量が復活しているという。省エネということからすればトラック輸送よりも鉄道貨物輸送の方が遥かに良いことは言うまでもない。
ただ輸送業者の全国ネットが完成するにつれて、長距離トラック輸送が当たり前となり、貨物列車から市中宅配トラックに積み替える手間から、鉄道貨物輸送が衰退していた。
しかしトラック運転手の人手不足と、トラック便の競争激化によりトラック輸送も合理化を図らざるを得なくなってきた。そこで鉄道貨物輸送が見直され「17年度には2243万トンを記録し、11年度の1961万トンから282万トン増加した」という。
日本は全国にくまなく鉄道網が整備されている。そうした社会インフラを有効利用しない手はない。「JR貨物も、輸送力の強化に取り組んでいる。19年12月には、新たにけん引用の機関車13両とコンテナ約4000個の製造を発表している」そうだ。鉄道貨物輸送の強化はトラック輸送を減らして、エネルギーの合理化と道路の混雑緩和にもなる。
そして見逃してならないのは鉄道事故と自動車交通事故率の相違だ。安全のためにもトラック輸送から鉄道貨物輸送に切り替えるのは望ましい。
「やってる感」だけのレジ袋追放よりも、本質的な省エネ社会への転換を図るべきだ。
JR貨物によると、コンテナ輸送量は、同社が発足した1987年度から上昇し続け、2007年度には2341万トンを記録。発足以来最高を更新した。
その後、リーマンショックや東日本大震災などの影響を受け減少したが、12年度から上昇傾向に。17年度には2243万トンを記録し、11年度の1961万トンから282万トン増加した。
18年度は西日本豪雨で山陽本線が不通になったことで2027万トンに減少したが、復旧が完了した19年度は回復する見込みという。
なぜ、コンテナ輸送量は増加傾向にあるのか。交通経済学が専門で、国交省運輸審議会委員の根元敏則・敬愛大(千葉県)教授は「トラックドライバーの慢性的な不足が要因の一つ」と分析する。
国交省によると、18年4月の貨物自動車運転手の有効求人倍率は2・68倍で、平均の1・35倍を大きく上回る。ドライバーが確保できないことから、鉄道や船舶の輸送へシフトしているという。
根元教授がさらに指摘したのはトラック輸送から、排ガスの少ない鉄道や海運に輸送手段を転換する「モーダルシフト」の潮流だ。根元教授は「鉄道への切り替えは、CO2削減に対する姿勢を顧客にPRできる。メーカーから小売り企業まで、鉄道を選ぶ企業が増えている」という。
JR貨物も、輸送力の強化に取り組んでいる。19年12月には、新たにけん引用の機関車13両とコンテナ約4000個の製造を発表している。
JR貨物の担当者は「今後もニーズが見込まれる路線の輸送力を強化し、大量の貨物を輸送していきたい」としている。
■全国の線路網活用、災害時も物流貢献
貨物列車の強みは、一度に大量の貨物を輸送できる効率性と、日本中に張り巡らされた路線を活用できることだ。巨大災害が起こるたびに、線路網を駆使して大量の物資を届けてきた。
2011年の東日本大震災では、津波や原発事故の影響で東北本線と常磐線の一部区間が不通に。仙台市のコンビナートが被災し、被災地は燃料が不足した。
このため、JR貨物は被災1週間後から緊急燃料輸送を実施。神奈川県の根岸から新潟、青森など日本海側を経由し、20時間以上かけて盛岡まで燃料を運んだ。福島にも新潟から列車を走らせ、計5・7万トンもの燃料を輸送した。
18年7月の西日本豪雨でもその経験は生かされた。トラックや船舶での代行輸送のほか、豪雨で不通になった広島、山口県にある山陽本線の区間を避け、鳥取、島根を通過するルートを設定。10月の復旧まで貨物を届けた。
JR貨物の担当者は「線路網を利用できるのは強み。代替輸送の確保と路線の強靱化を進め、今後も災害に備えていく」としている>(以上「神戸新聞」より引用)
在来線の貨物輸送量が復活しているという。省エネということからすればトラック輸送よりも鉄道貨物輸送の方が遥かに良いことは言うまでもない。
ただ輸送業者の全国ネットが完成するにつれて、長距離トラック輸送が当たり前となり、貨物列車から市中宅配トラックに積み替える手間から、鉄道貨物輸送が衰退していた。
しかしトラック運転手の人手不足と、トラック便の競争激化によりトラック輸送も合理化を図らざるを得なくなってきた。そこで鉄道貨物輸送が見直され「17年度には2243万トンを記録し、11年度の1961万トンから282万トン増加した」という。
日本は全国にくまなく鉄道網が整備されている。そうした社会インフラを有効利用しない手はない。「JR貨物も、輸送力の強化に取り組んでいる。19年12月には、新たにけん引用の機関車13両とコンテナ約4000個の製造を発表している」そうだ。鉄道貨物輸送の強化はトラック輸送を減らして、エネルギーの合理化と道路の混雑緩和にもなる。
そして見逃してならないのは鉄道事故と自動車交通事故率の相違だ。安全のためにもトラック輸送から鉄道貨物輸送に切り替えるのは望ましい。
「やってる感」だけのレジ袋追放よりも、本質的な省エネ社会への転換を図るべきだ。